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アフリカのイメージが変わる!砂漠と大地の力で世界をリードする再生可能エネルギー先進国たち

アフリカのイメージが変わる!砂漠と大地の力で世界をリードする再生可能エネルギー先進国たち

アフリカ大陸と聞いて、多くの人は何を思い浮かべるでしょうか。雄大な自然、あるいは貧困や紛争といった課題かもしれません。しかし今、そのイメージを根底から覆す、力強い変革の波がアフリカを席巻しています。その主役は「再生可能エネルギー」です。
化石燃料に乏しいという弱点を、有り余る太陽、風、そして大地の熱という強みに変え、世界のエネルギー転換をリードしようとする国々があります。
この記事では、アフリカが誇る再生可能エネルギー先進国、モロッコ、ケニア、エチオピアの驚くべき挑戦と、それが拓くアフリカの新しい未来像に迫ります。

太陽の王国モロッコ:サハラ砂漠を世界の発電所に

アフリカ大陸の北西端、ヨーロッパと向き合うモロッコ。大規模な石油や天然ガス資源に恵まれなかったこの国は、エネルギー自給という国家的な課題を解決するため、国土に広がるサハラ砂漠の無尽蔵の太陽光に未来を賭けました。

象徴的プロジェクト「ノワール太陽光発電所」

モロッコの野心を象徴するのが、ワルザザート市近郊に建設された「ノワール・ワルザザート太陽光発電所(Noor Ouarzazate Solar Complex)」です。

  • 集光型太陽熱発電(CSP): 広大な土地に設置された無数の鏡で太陽光を中央のタワーに集め、その熱で溶融塩を加熱し、蒸気タービンを回して発電します。
  • 夜間でも発電可能: この技術の最大の強みは、熱を蓄えられる点です。これにより、太陽が沈んだ後も最大7時間以上発電を続けられ、電力供給の安定性を飛躍的に高めています。

この世界最大級の太陽光発電所は、世界銀行などの国際的な支援を受け、強力な王室のリーダーシップの下で推進されました。政府は「2030年までに電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を52%以上にする」という野心的な目標を掲げ、ヨーロッパへのクリーン電力輸出も視野に入れています。

大地の鼓動を力に:地熱発電の巨人ケニア

東アフリカの経済を牽引するケニアは、モロッコとは異なるアプローチで再生可能エネルギー大国の地位を築きました。その力の源は、大地の下に眠る地熱です。

地球の裂け目「グレート・リフト・バレー」の恵み

ケニアの国土を縦断する巨大な谷「グレート・リフト・バレー(大地溝帯)」は、プレート活動が活発で、地下に膨大な地熱エネルギーを秘めています。

  • 驚異の電源構成: ケニアでは、この地熱を利用した発電が電力供給の主軸となっており、電源構成の約47%(2022年時点)を地熱が占めています。これは世界でもトップクラスの比率です。
  • 国家プロジェクト「オルカリア地熱地帯」: アフリカ最大の地熱発電所群である「オルカリア」の開発は、日本の国際協力機構(JICA)や日本企業の技術協力も得て進められました。
  • 100%クリーン化への道: 天候に左右されず24時間稼働できる地熱を基盤に、ケニア政府は「2030年までに国内の全電力を100%再生可能エネルギーで賄う」という、世界でも極めて先進的な目標を掲げています。

ナイルの賜物:水力発電の大国エチオピア

内陸国エチオピアは、その豊富な水資源を活かした水力発電でアフリカのエネルギー地図を塗り替えようとしています。

その中心が、ナイル川の支流ブルーナイル川に建設中の「グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム(GERD)」です。完成すれば発電容量6,450メガワットという、アフリカ大陸最大の水力発電所となります。このダムはエチオピアの電力供給量を倍増させるだけでなく、周辺国への電力輸出拠点となることも期待されています。ただし、ナイル川下流のエジプトやスーダンとの水資源を巡る国際的な緊張も生んでおり、その動向が注目されています。

希望の大陸アフリカが拓く未来と課題

モロッコの太陽、ケニアの地熱、エチオピアの水力。これらの成功は、アフリカ大陸が秘める巨大な再生可能エネルギーのポテンシャルを示しています。

このエネルギー革命は、電力供給だけでなく、「エネルギー貧困」からの脱却、気候変動対策への貢献、新たな産業と雇用の創出など、計り知れない恩恵をもたらします。

もちろん、送電網の未整備、プロジェクトのための巨額な資金調達、政治的な安定性といった課題も残されています。しかし、かつて「暗黒大陸」と呼ばれたアフリかは、もはや単なる支援の対象ではありません。自らの手で持続可能な未来を切り拓き、世界のエネルギー地図を塗り替える「希望の大陸」へと、力強く変貌を遂げているのです。

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