FAO(国際連合食糧農業機関)が公表した最新データによると、マラウイの牛飼養数は1961年の約37.5万頭から2022年の約207万頭まで、長期的に増加しています。特に2000年代以降、その増加傾向が顕著で、2021年には200万頭を突破しました。一方で、1980年代から1990年代前半にかけては下降傾向が見られ、また1997年に約59.8万頭とピークから大幅に減少する時期もありました。これらの変動には、気候変動や農業政策、地域情勢など複合的な要因が影響している可能性があります。
マラウイの牛飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 2,073,878 |
2021年 | 2,035,065 |
2020年 | 1,946,033 |
2019年 | 1,867,034 |
2018年 | 1,655,517 |
2017年 | 1,508,299 |
2016年 | 1,470,895 |
2015年 | 1,398,376 |
2014年 | 1,316,799 |
2013年 | 1,241,744 |
2012年 | 1,164,438 |
2011年 | 1,110,560 |
2010年 | 1,069,854 |
2009年 | 982,921 |
2008年 | 947,498 |
2007年 | 870,622 |
2006年 | 799,017 |
2005年 | 777,846 |
2004年 | 765,000 |
2003年 | 781,747 |
2002年 | 753,075 |
2001年 | 749,029 |
2000年 | 763,724 |
1999年 | 711,675 |
1998年 | 715,391 |
1997年 | 598,175 |
1996年 | 700,096 |
1995年 | 745,830 |
1994年 | 748,891 |
1993年 | 796,728 |
1992年 | 813,576 |
1991年 | 807,613 |
1990年 | 838,552 |
1989年 | 850,000 |
1988年 | 859,505 |
1987年 | 1,055,185 |
1986年 | 1,010,659 |
1985年 | 1,019,959 |
1984年 | 948,519 |
1983年 | 907,959 |
1982年 | 887,032 |
1981年 | 870,576 |
1980年 | 789,529 |
1979年 | 789,533 |
1978年 | 744,074 |
1977年 | 718,544 |
1976年 | 700,471 |
1975年 | 648,533 |
1974年 | 625,987 |
1973年 | 572,905 |
1972年 | 540,865 |
1971年 | 491,517 |
1970年 | 491,459 |
1969年 | 479,916 |
1968年 | 464,006 |
1967年 | 450,128 |
1966年 | 432,293 |
1965年 | 432,293 |
1964年 | 411,400 |
1963年 | 396,145 |
1962年 | 380,387 |
1961年 | 374,762 |
マラウイの牛飼養数は、1961年から2022年の間に5倍以上へと拡大しており、主に国内酪農・畜産業の基盤強化や農業管理政策の進展が、その増加を支えています。1960年代から1970年代にかけて比較的安定した増加が見られた一方で、1980年代後半から1990年代後半にかけて急激な減少が記録されています。この期間の減少は、主に干ばつや洪水といった異常気象、さらには農業改革の混乱や経済政策の転換期による影響が重なった結果と考えられます。
特に、1990年代の経済停滞期には家畜の飼養環境が悪化し、多くの農家が維持困難に直面しました。しかし、2000年以降、国内の農業復興や家畜管理技術の普及を目的にした政策が実施され、これが牛飼養数の劇的な回復をもたらしました。2010年代以降は年平均約50万頭近く増加しており、その成長率は世界的にも注目に値します。
マラウイの牛飼養数の成長は、人々の生活改善や食糧供給の増加に寄与する一方で、課題も存在します。これには、気候変動の影響や、広く普及する疎水インフラの欠如が挙げられます。また、急速な家畜増加による放牧地の拡大が環境破壊を引き起こす懸念もあります。他国との比較では、アメリカやインドなど、農業基盤が整った国々と比べると技術や資源の面での課題が浮き彫りとなります。そのため、マラウイが持続可能な形で畜産業を発展させるには、灌漑設備の導入や家畜健康管理の技術革新が不可欠です。
この背景には地政学的なリスクも無視できません。マラウイは内陸国であり、近隣のモザンビークやタンザニアとの国境問題や貿易協力の遅れが、家畜製品の輸出や市場流通に悪影響を及ぼしています。また、アフリカの他の地域で頻発する地域紛争が、間接的に国際的な支援予算の配分へも影響を与える恐れがあります。
未来を見据えては、地域間協力の枠組みを強化し、貿易ルートの整備を進めることが重要です。例えば、近隣諸国と連携して家畜健康対策や感染症予防プログラムを実施することで、生産性維持に役立つことが期待されます。また、国内外の投資を誘引するため、持続可能な飼養技術への移行や、環境配慮型の畜産業モデルの構築が急務です。このような取り組みは、長期的に事業の安定化を図り、マラウイ全体の経済成長と持続可能性を支える基盤となるでしょう。