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コスタリカの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、2022年のコスタリカにおける牛の飼養数は1,675,490頭となっています。このデータは1961年から2022年までの動向を示しており、初期の増加から長期的な減少傾向を挟みつつ、近年は緩やかな回復が見られます。しかし全体としてはピークの1984年(2,429,000頭)よりも遥かに低い水準にあります。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 2,196,700
31.11% ↑
2022年 1,675,490
3.32% ↑
2021年 1,621,727
13.58% ↑
2020年 1,427,793
-12.59% ↓
2019年 1,633,467
3.24% ↑
2018年 1,582,179
6.8% ↑
2017年 1,481,399
6.51% ↑
2016年 1,390,917
6.68% ↑
2015年 1,303,854
0.22% ↑
2014年 1,301,000
0.08% ↑
2013年 1,300,000 -
2012年 1,300,000
-3.7% ↓
2011年 1,350,000 -
2010年 1,350,000
3.85% ↑
2009年 1,300,000
1% ↑
2008年 1,287,100
7.26% ↑
2007年 1,200,000
9.09% ↑
2006年 1,100,000
-4.35% ↓
2005年 1,150,000
6.39% ↑
2004年 1,080,900
-6.03% ↓
2003年 1,150,200
-5.68% ↓
2002年 1,219,500
-5.38% ↓
2001年 1,288,900
-5.1% ↓
2000年 1,358,200
-4.85% ↓
1999年 1,427,500
-6.52% ↓
1998年 1,527,000
-0.13% ↓
1997年 1,529,000
-3.53% ↓
1996年 1,585,000
-3.65% ↓
1995年 1,645,000
-13.15% ↓
1994年 1,894,000
-10.74% ↓
1993年 2,122,000
-0.47% ↓
1992年 2,132,000
-1.98% ↓
1991年 2,175,000
-1.18% ↓
1990年 2,201,000
1.52% ↑
1989年 2,168,000
-1.01% ↓
1988年 2,190,189
-4.53% ↓
1987年 2,294,000
-0.52% ↓
1986年 2,306,000
-0.13% ↓
1985年 2,309,000
-4.94% ↓
1984年 2,429,000
2.71% ↑
1983年 2,364,800
3.89% ↑
1982年 2,276,300
0.06% ↑
1981年 2,275,010
4.29% ↑
1980年 2,181,385
4.22% ↑
1979年 2,093,100
4.55% ↑
1978年 2,002,000
4.27% ↑
1977年 1,920,087
4.29% ↑
1976年 1,841,034
2.83% ↑
1975年 1,790,361
2.82% ↑
1974年 1,741,299
-1.42% ↓
1973年 1,766,313
6.72% ↑
1972年 1,655,052
5.18% ↑
1971年 1,573,617
5.17% ↑
1970年 1,496,260
5.17% ↑
1969年 1,422,706
5% ↑
1968年 1,354,958
2.26% ↑
1967年 1,325,000
2.38% ↑
1966年 1,294,206
6.92% ↑
1965年 1,210,457
6.64% ↑
1964年 1,135,105
6.3% ↑
1963年 1,067,819
6.14% ↑
1962年 1,006,093
5.8% ↑
1961年 950,940 -

コスタリカの1961年から2022年までの牛飼養数推移を見ると、1960年代から1970年代後半にかけて顕著な増加が見られます。この時期、飼養数は1961年の950,940頭から1978年には2,002,000頭に増加し、1984年には過去最高の2,429,000頭を記録しました。この伸びは、国内の人口増加や食料供給の増強ニーズ、さらには酪農および畜産業全体の成長によるものと考えられます。

しかし、1985年以降は減少の兆しが顕著です。1985年から1995年までの間に飼養数は約30%減少し、1995年には1,645,000頭にまで落ち込みました。この減少は、農地の利用競争、国際市場の変動、特定地域の土地利用転換、さらには環境保護に関連する政策の導入など、多くの地政学的要因と関連があります。特に1980年代後半から1990年代初頭にかけて、牧草地の開発圧力の低下や森林保護の重要性が高まった結果、伝統的な牧畜業は一定の縮小を余儀なくされました。

2000年代に入るとさらに飼養数が低下し、2003年には1,150,200頭となり、1984年のピークの半数以下にまで落ち込みました。この縮小は家畜生産コストの増加、農村人口の減少、そして国際的な自由貿易協定による競争激化とも関係があると考えられます。一方で、2007年以降、飼養数は若干の回復傾向を示しており、特に2016年以降には増加ペースが加速しました。2022年には1,675,490頭まで回復しており、酪農業や肉牛生産の再評価が背景にある可能性があります。

しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが社会および経済に与えた影響も見逃せません。2020年には再び減少傾向を記録して1,427,793頭に戻りましたが、その後の回復は、世界的な食品需給の混乱や輸送ネットワークの再構築の中で、コスタリカの牛飼養産業が一定の適応を示したことを示唆しています。

このような牛飼養数の推移は、次のような課題を浮き彫りにします。まず、地政学的な要因として、地域の土地利用政策や森林保全の取り組みが、畜産業の展開に与える影響を十分に調整する必要があります。また、環境持続性を確保しつつ、地域経済の食料供給能力を強化する政策が求められます。加えて、若年層の農業・畜産業への参入促進や、技術革新を通じて効率的な生産を実現することが、今後の大きな課題となります。

具体的な対策としては、政府や業界団体が協力し、小規模農家への支援を拡大することが挙げられます。これは低コストでの飼養技術に関する研修やサポート体制を整備することで可能です。また、牛肉や乳製品の輸出市場の多様化を図り、国内外からの競争圧力に耐えられる産業構造を構築する必要があります。さらに、環境規制に準じた生産方法の確立や、森林保全との両立を図る持続可能な牧畜の実践が重要です。

結論として、このデータは、コスタリカにおける牛飼養数が地政学的要因や環境政策、国際市場の影響を受けていることを明確に示しています。今後、持続可能性と経済性を両立させた畜産業の展開が求められるとともに、地域間での連携および国際的な協力が鍵となるでしょう。