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東ティモールの牛飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、東ティモールの牛飼養数は1961年に24,000頭だったところから年々増減を繰り返しながら増加し、2022年には234,726頭に達しました。過去には、東ティモールが抱える紛争や社会不安の影響で、1970年代後半から1980年代初頭にかけて顕著な減少が見られました。一方で、近年では改善傾向が見られるものの、依然として不安定な変動があることが分かります。2015年と2019年には大幅な増加が見られ、2020年および2021年には再び減少しています。

年度 飼養数(頭)
2022年 234,726
2021年 222,894
2020年 245,030
2019年 285,701
2018年 232,814
2017年 227,739
2016年 228,876
2015年 221,767
2014年 176,280
2013年 176,058
2012年 173,115
2011年 170,222
2010年 161,654
2009年 148,402
2008年 145,343
2007年 142,418
2006年 139,426
2005年 136,446
2004年 133,641
2003年 146,000
2002年 162,000
2001年 166,195
2000年 120,000
1999年 96,692
1998年 161,104
1997年 146,485
1996年 136,849
1995年 124,408
1994年 122,189
1993年 93,153
1992年 84,568
1991年 76,907
1990年 68,028
1989年 63,300
1988年 57,139
1987年 53,593
1986年 51,947
1985年 49,761
1984年 45,000
1983年 40,000
1982年 35,000
1981年 30,000
1980年 30,700
1979年 40,000
1978年 50,000
1977年 60,000
1976年 70,200
1975年 78,000
1974年 85,495
1973年 82,949
1972年 77,945
1971年 70,607
1970年 67,035
1969年 56,797
1968年 48,917
1967年 44,212
1966年 51,434
1965年 43,138
1964年 36,213
1963年 29,067
1962年 27,919
1961年 24,000

1961年から2022年にわたる約60年以上の東ティモールの牛飼養数の推移を見ると、大きな増減がありました。1961年の24,000頭という少ない規模から、1970年代初期には継続的な増加により最高で85,495頭(1974年)に到達しました。しかし、その後、東ティモールの独立を巡る社会不安や紛争による大きな影響を受け、1975年から1980年にかけて壊滅的な減少が起こり、1980年時点で30,700頭にまで落ち込みました。この減少は、家畜の損失や飼育基盤の崩壊、農業インフラの減退が主な原因と考えられます。

1980年代後半以降、徐々に回復傾向が見られ、特に1994年以降は顕著な増加が確認できます。1994年には122,189頭と大台を超え、1997年には146,485頭となりましたが、1999年には再び大きく減少し、96,692頭に落ち込みました。この頃は東ティモール独立をめぐる地政学的な困難が大きな影響を与えていた時期に該当します。独立後の2000年代に入ると飼養数は再び大きく増加し、特に2015年には初めて200,000頭を超え、221,767頭に達しました。この成長は独立後の安定化や農村支援プロジェクトの強化が背景にあります。

一方、近年のデータを見ると、2019年にはこれまでで最大の285,701頭まで増加しましたが、2020年以降減少し、2020年には245,030頭、2021年には222,894頭と減少が続きました。2022年にはやや回復し234,726頭となりましたが、この変動は新型コロナウイルスの世界的な拡大や関連した物流の混乱、家畜政策が不安定だったことによるものと推察されます。

東ティモールの牛飼養数の安定的な増加は、農村経済、食糧安全保障、地域の伝統的な生活において重要な役割を果たします。ただし、過去に見られた急激な減少の要因を取り除き、安定した成長を維持するためには以下の課題への対策が必要です。まず、感染病の管理や飼料供給を確保するための農業インフラの整備が挙げられます。特に、輸送網の強化や市場アクセスの拡大は、より効率的な生産と販売を実現します。次に、地政学的なリスクや過去の経験から国際的な支援を活用した政策を積極的に取り入れることが重要です。

さらに、急激な増加や減少が与える地域経済への影響を緩和するために、農民が収入源を多様化し、自然災害や疫病のリスクに対応できる体制を構築することも欠かせません。特に、気候変動による干ばつや洪水などの自然災害から家畜を守るための保険制度や緊急支援体制の導入も効果的でしょう。

データが示していることは、東ティモールの養牛業が依然として多くの課題に直面している一方で、成長の潜在力も大きいということです。今後、国際機関の支援や地域間協力を積極的に活用し、持続可能な家畜経営モデルの導入を図ることが求められます。これにより、東ティモールの食糧安全保障や経済発展への基盤がさらに強化されると考えます。