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ジャマイカの牛飼養数推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年更新データによると、ジャマイカの牛飼養数は1961年以降増加傾向を示していましたが、2006年を境に大幅に減少し、その後は低い水準で推移しています。1961年の240,000頭から1992年にはピークの460,000頭を記録しましたが、2022年には152,625頭と、ピーク時の約33%まで減少しています。この減少は、農業における構造的な変化や地政学的リスクの影響と関連していると考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 151,499
-0.74% ↓
2022年 152,625
-3.63% ↓
2021年 158,370
-1.02% ↓
2020年 160,000 -
2019年 160,000 -
2018年 160,000 -
2017年 160,000 -
2016年 160,000
0.57% ↑
2015年 159,100
-5.3% ↓
2014年 168,000
-1.18% ↓
2013年 170,000
-1.16% ↓
2012年 172,000
1.18% ↑
2011年 170,000 -
2010年 170,000
1.19% ↑
2009年 168,000
-4.55% ↓
2008年 176,000
-4.86% ↓
2007年 185,000
-11.9% ↓
2006年 210,000
-41.67% ↓
2005年 360,000
-6.49% ↓
2004年 385,000
-10.47% ↓
2003年 430,000
7.5% ↑
2002年 400,000 -
2001年 400,000 -
2000年 400,000 -
1999年 400,000 -
1998年 400,000 -
1997年 400,000
-4.76% ↓
1996年 420,000
-6.67% ↓
1995年 450,000
2.27% ↑
1994年 440,000
-4.35% ↓
1993年 460,000 -
1992年 460,000
9.52% ↑
1991年 420,000
10.53% ↑
1990年 380,000
10.14% ↑
1989年 345,000
-1.43% ↓
1988年 350,000
-5.41% ↓
1987年 370,000 -
1986年 370,000
12.12% ↑
1985年 330,000
-8.33% ↓
1984年 360,000
5.88% ↑
1983年 340,000
13.33% ↑
1982年 300,000
9.09% ↑
1981年 275,000
-5.17% ↓
1980年 290,000
6.23% ↑
1979年 273,000
1.11% ↑
1978年 270,000
-4.26% ↓
1977年 282,000
0.71% ↑
1976年 280,000
1.45% ↑
1975年 276,000
0.73% ↑
1974年 274,000
0.74% ↑
1973年 272,000
0.74% ↑
1972年 270,000 -
1971年 270,000 -
1970年 270,000
8% ↑
1969年 250,000
4.17% ↑
1968年 240,000 -
1967年 240,000 -
1966年 240,000 -
1965年 240,000 -
1964年 240,000 -
1963年 240,000 -
1962年 240,000 -
1961年 240,000 -

ジャマイカの牛飼養数は、1961年から1992年にかけて一貫した増加を見せました。この背景には、農業政策の発展や国内需要の増加がありと推測されます。しかし、1990年代以降、牛の飼養数は不安定な変動を見せ、2006年には急激な下落を記録しました。この年代には210,000頭となり、以降も大幅な回復の兆しは見られず、2022年時点では152,625頭に留まっています。

この顕著な減少の理由には、いくつかの要因が挙げられます。まず、ジャマイカは輸入依存度の高い経済構造を持っており、国際市場の価格競争が国内の畜産業に直接影響を及ぼしている可能性があります。特に、より安価に輸入が可能な牛肉や乳製品が国内市場を圧迫し、小規模農家の生産意欲が低下した点は見逃せません。さらに、地政学的リスクや自然災害も重要な要素です。ジャマイカは飢饉や洪水、ハリケーンといった災害の影響を受けやすく、これが牛の飼養環境に悪影響を与えたと考えられます。

また、新型コロナウイルス感染症による影響も見逃せません。2020年からの世界的なパンデミックは物流やサプライチェーンに大きな混乱を及ぼし、この混乱は畜産業にも影響を与えました。たとえば、国際貿易の制限や国内経済の停滞が、牛の飼養及び維持費用の増加を招き、生産者が飼養数を減らす一因となった可能性があります。

このような状況を踏まえ、今後はいくつかの具体的な対策の検討が必要です。第一に、政府による技術支援や金融融資の拡充が求められます。特に、牛乳や牛肉の付加価値製品の生産支援を行うことで、農家が市場競争力を高めることが可能と考えられます。第二に、輸入品に対する競争を緩和するための貿易政策の見直しも不可欠です。国内市場での価格バランスを維持しつつ、規模の小さな畜産農家の利益を守る仕組みを作ることが推奨されます。さらに、災害リスクに対する対策を強化するため、気候変動に適応した農業技術の普及も重要になります。

結論として、ジャマイカの牛飼養数の減少は、経済、環境、地政学的な側面が複雑に絡み合った結果であるといえます。この課題を克服するためには、国内外の利害関係者が協力して、持続可能な畜産業の基盤を築く施策を策定する必要があります。国際機関や地域連携を活用し、政策的、技術的支援を強化することで、畜産業の復活を支える取り組みが期待されます。