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ソマリアの牛飼養数推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、ソマリアの牛飼養数は1961年の約315万頭から2022年の約453万頭まで増減を繰り返しながら推移しています。この期間の全体的な増加傾向はあるものの、特に1990年代から2000年代初頭、そして最近の2020年代にかけて減少傾向が見られます。これには、内戦や自然災害、経済的不安定要因が大きく影響していると考えられます。

年度 飼養数(頭)
2022年 4,535,919
2021年 4,661,658
2020年 4,816,403
2019年 4,800,000
2018年 4,789,337
2017年 4,800,000
2016年 4,850,000
2015年 4,889,370
2014年 4,900,000
2013年 4,870,000
2012年 4,870,000
2011年 4,850,000
2010年 4,800,000
2009年 4,780,000
2008年 4,800,000
2007年 4,815,000
2006年 5,350,000
2005年 5,500,000
2004年 5,400,000
2003年 5,350,000
2002年 5,319,000
2001年 5,256,000
2000年 5,139,000
1999年 5,132,000
1998年 5,300,000
1997年 5,600,000
1996年 5,400,000
1995年 5,200,000
1994年 5,000,000
1993年 4,200,000
1992年 3,300,000
1991年 3,500,000
1990年 4,000,000
1989年 4,800,000
1988年 4,983,000
1987年 4,770,000
1986年 4,571,000
1985年 4,494,000
1984年 4,296,000
1983年 4,201,000
1982年 4,574,000
1981年 4,473,000
1980年 4,358,000
1979年 4,479,000
1978年 4,532,000
1977年 4,040,000
1976年 3,620,000
1975年 3,744,000
1974年 3,400,000
1973年 3,650,000
1972年 3,700,000
1971年 3,650,000
1970年 3,800,000
1969年 3,800,000
1968年 3,650,000
1967年 3,500,000
1966年 3,400,000
1965年 3,350,000
1964年 3,300,000
1963年 3,250,000
1962年 3,200,000
1961年 3,150,000

ソマリアの牛飼養数の変動は、同国の歴史的、地理的、経済的、そして地政学的な背景を反映しています。1961年から2022年のデータを見てみると、1960年代から1980年代にかけては牛飼養数が順調に増加し、一時的な減少を挟みながらも持続的な成長を見せていました。この時期の増加は、ソマリアが農牧業を主な産業とする国であり、牛が食糧や貴重な収入源として重視されていたことに由来します。

しかし、1991年以降、ソマリアでは内戦が深刻化し、飼養数は350万頭程度にまで急激に減少しました。これは、紛争による社会的混乱や農牧業のインフラ崩壊、農地や牧草地が破壊されたことが主要な要因です。その後、1990年代半ばから2000年代にかけては一時的に回復し、2005年には550万頭に達しました。この回復は、国際社会からの人道援助や、ソマリア国内で牧畜が依然として主要な経済活動として機能していたことが影響したとみられます。

しかしながら、2007年以降、再び減少傾向が始まり、特に2021年から2022年にかけて顕著な落ち込みが見られます。この背景には、気候変動による干ばつや洪水といった自然災害、加えて継続的な政治的混乱や社会的不安定が影響しています。特にソマリアは気候変動の影響をモロに受けやすい国であり、干ばつが牧草地の減少を引き起こし、それにより乳牛の飼養や乳製品生産に負の影響を与えています。また、近年のパンデミックは物流や交易を停滞させたことで飼養環境を更に悪化させる一因となりました。

このような減少傾向を食い止めるには、いくつかの対策が必要です。まず第一に、国内のインフラ整備と治安改善が求められます。内陸部の道路網の改善は、牛乳や肉製品の市場への流通を円滑にし、牧畜業を活性化することによって経済の安定を推進できるでしょう。次に、気候変動への適応策の導入が欠かせません。例えば、干ばつ耐性のある作物を牧草地に導入する試みや、地下水の利用を促進するための水資源管理プログラムが考えられます。

さらに、国際的な援助機関や地域のパートナーと協力し、危機に対応した早期警戒システムや被害軽減措置を構築することも急務です。ソマリアの牛飼養数が再び増加基調に入るためには、農牧民への技術支援や資金援助が必要となります。具体的には、感染症管理や飼料管理の技術提供、金融機関を通じたローンの提供などが有効です。加えて、周辺国との協力強化を通じて地域全体の牧畜業を統合的に発展させる政策も模索されるべきでしょう。

ソマリアの牛飼養数の推移は、同国の社会経済や地政学的要因を如実に映し出したものです。継続的な減少傾向を食い止めるためには、国内外での協調的な取り組みが不可欠です。牛はソマリアにおいて生活の糧であるだけでなく、経済の基盤を支える重要な要素です。その持続可能な発展を実現することが、地域全体の安定をもたらす鍵となるでしょう。