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大韓民国の牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、大韓民国における牛の飼養数は長期的に見て増加傾向にあります。特に1960年代初頭では約110万頭だった飼養数が、2022年には約411万頭に達しています。この間、いくつかの減少と増加の変遷を経てきたことが特徴的です。2020年代に入ってからは一貫して増加しており、2022年には過去最高記録を更新しました。この背景には、農業政策、経済状況の変化、消費者の嗜好などが複雑に絡んでいると考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 4,035,076
-1.98% ↓
2022年 4,116,407
3.16% ↑
2021年 3,990,257
4.87% ↑
2020年 3,804,976
4.38% ↑
2019年 3,645,190
3.53% ↑
2018年 3,520,886
2.7% ↑
2017年 3,428,330
1.39% ↑
2016年 3,381,287
1.32% ↑
2015年 3,337,309
4.62% ↑
2014年 3,189,951
-4.55% ↓
2013年 3,342,131
-3.93% ↓
2012年 3,478,714
3.74% ↑
2011年 3,353,353
0.06% ↑
2010年 3,351,391
8.83% ↑
2009年 3,079,353
7.07% ↑
2008年 2,876,143
8.37% ↑
2007年 2,653,976
6.86% ↑
2006年 2,483,572
8.1% ↑
2005年 2,297,414
6.22% ↑
2004年 2,162,965
8.21% ↑
2003年 1,998,936
2.31% ↑
2002年 1,953,815
-0.01% ↓
2001年 1,954,025
-8.42% ↓
2000年 2,133,728
-14.19% ↓
1999年 2,486,495
-14.91% ↓
1998年 2,922,046
-10.91% ↓
1997年 3,279,849
-3.39% ↓
1996年 3,395,028
7.86% ↑
1995年 3,147,494
6.89% ↑
1994年 2,944,699
4.65% ↑
1993年 2,813,815
11.34% ↑
1992年 2,527,195
11.39% ↑
1991年 2,268,729
6.73% ↑
1990年 2,125,601
3.63% ↑
1989年 2,051,238
0.59% ↑
1988年 2,039,191
-14.55% ↓
1987年 2,386,451
-14.99% ↓
1986年 2,807,344
-4.63% ↓
1985年 2,943,584
10.99% ↑
1984年 2,652,000
19.73% ↑
1983年 2,215,000
26.29% ↑
1982年 1,753,892
16.47% ↑
1981年 1,505,930
-7.84% ↓
1980年 1,634,051
-7.27% ↓
1979年 1,762,079
-1.4% ↓
1978年 1,787,158
10.47% ↑
1977年 1,617,733
4.15% ↑
1976年 1,553,226
-5.37% ↓
1975年 1,641,353
-11.68% ↓
1974年 1,858,355
20.24% ↑
1973年 1,545,576
12.46% ↑
1972年 1,374,349
7.38% ↑
1971年 1,279,935
-1.29% ↓
1970年 1,296,673
5.84% ↑
1969年 1,225,103
1.2% ↑
1968年 1,210,518
-3.56% ↓
1967年 1,255,140
-3.25% ↓
1966年 1,297,305
-1.79% ↓
1965年 1,320,904
-2.64% ↓
1964年 1,356,790
-0.81% ↓
1963年 1,367,823
8.92% ↑
1962年 1,255,817
14.45% ↑
1961年 1,097,223 -

大韓民国における牛の飼養数の推移は、その国の農業や経済の状況を反映する重要な指標となっています。1961年の約110万頭から始まり、1973年には150万頭を超え、1980年代には急激な増加が見られました。このような増加の背景には、国内の農業促進政策が影響していると考えられます。特に1970年代から1980年代にかけて、工業化が進む一方で、農業分野でも経済成長を下支えする取り組みが行われ、家畜の飼養が積極的に奨励されました。この期間中、国民の所得が増えるとともに、牛肉と乳製品への需要も急激に高まり、飼養頭数が増えたと推察されます。

一方で、1990年代後半から2001年までの減少基調も見られます。このような減少の要因として、1997年に発生したアジア通貨危機などの経済的な混乱が挙げられます。国民の購買力の低下や経済環境の悪化により、牛肉や乳製品への需要が一時的に減少し、生産者が飼育を縮小せざるを得なかったと言えます。またこの時期には、家畜伝染病の懸念も大きな影響を与えた可能性があります。

2000年代以降に再び増加傾向が見られ、特に2010年代後半から2020年代前半にかけては一貫した増加が継続しています。2022年の飼養数は411万頭に達し、過去最高を記録しました。この急増の要因としては、国内の食文化の変化や高付加価値型家畜管理の普及が挙げられます。牛肉は高級食材として需要が拡大し、乳製品に対する輸入依存の削減を目指す政策も後押ししたと考えられます。また、韓国は地政学的に食品自給率向上の必要性を意識しており、家畜管理の重要性が高まっています。

しかしながら、このような増加傾向にはいくつかの課題もあります。まず、増加した頭数を適切に管理するための飼料や土地の確保が懸念されます。大韓民国の地理的制約により利用可能な農地は限られており、特に都市化が進む首都圏周辺では、飼育環境の悪化が課題となっています。さらに、牛肉消費の増加に伴う温室効果ガスの排出や環境への負荷も無視できない問題の一つです。また、牛飼育の経済的側面では、輸入飼料の価格変動に依存しているため、国際的な資源供給の安定性も大きな影響を与える可能性があります。

未来への示唆としては、持続可能な牛飼育モデルの構築が重要です。たとえば、環境負荷を軽減するために、メタン排出量を最小限に抑える飼料の開発や、高効率かつ低環境負荷の家畜管理技術の利用が求められます。さらに、国内飼料生産の強化、廃棄資源の再利用などにより、輸入への過度な依存を緩和することができます。また、政府主導で農業従事者への教育や補助金の提供を拡充し、気候変動の影響を受けにくい適応型の飼育体制を整えるべきです。

結論として、データが示す飼養数の増加は韓国の畜産業の成長を物語っていますが、それを維持しつつ地球規模の持続可能性に貢献することが今後の重要課題です。国際協力を通じて最新の技術を取り入れること、そして国民の意識を食文化においても変革していくことが必要です。こうした取り組みにより、韓国の牛飼育がさらに発展するだけでなく、地域や国際社会の持続可能な農業にも貢献できると期待されます。