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リベリアの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供したデータによると、リベリアの牛飼養数は1961年の19,000頭から徐々に増加し、1970年代には比較的安定的に上昇を続けました。しかし、1980年代後半から1990年代にかけての推計では、リベリア内戦などによる社会的不安の影響で減少、あるいは停滞が見られました。2000年代以降は再び増加傾向が見られるものの、2016年からはやや変動のある成長が示されています。2022年の飼養数は45,052頭で、過去最高水準を記録しました。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 44,868
-0.41% ↓
2022年 45,052
1.78% ↑
2021年 44,264
-2.55% ↓
2020年 45,423
1.47% ↑
2019年 44,766
5.35% ↑
2018年 42,494
-0.34% ↓
2017年 42,639
-0.68% ↓
2016年 42,932
-2.97% ↓
2015年 44,244
2.89% ↑
2014年 43,000
2.38% ↑
2013年 42,000
5% ↑
2012年 40,000
0.5% ↑
2011年 39,800
0.76% ↑
2010年 39,500
1.28% ↑
2009年 39,000
1.3% ↑
2008年 38,500
1.32% ↑
2007年 38,000
2.7% ↑
2006年 37,000
2.78% ↑
2005年 36,000 -
2004年 36,000 -
2003年 36,000 -
2002年 36,000 -
2001年 36,000 -
2000年 36,000 -
1999年 36,000 -
1998年 36,000 -
1997年 36,000 -
1996年 36,000 -
1995年 36,000 -
1994年 36,000 -
1993年 36,000 -
1992年 36,000
-2.7% ↓
1991年 37,000
-2.63% ↓
1990年 38,000
-5% ↓
1989年 40,000
-4.76% ↓
1988年 42,000 -
1987年 42,000 -
1986年 42,000 -
1985年 42,000 -
1984年 42,000 -
1983年 42,000
2.44% ↑
1982年 41,000
2.5% ↑
1981年 40,000
2.56% ↑
1980年 39,000
2.63% ↑
1979年 38,000
2.7% ↑
1978年 37,000
2.78% ↑
1977年 36,000
2.86% ↑
1976年 35,000
2.94% ↑
1975年 34,000
3.03% ↑
1974年 33,000
3.13% ↑
1973年 32,000
3.23% ↑
1972年 31,000
3.33% ↑
1971年 30,000
7.14% ↑
1970年 28,000
3.7% ↑
1969年 27,000
3.85% ↑
1968年 26,000
4% ↑
1967年 25,000
4.17% ↑
1966年 24,000
4.35% ↑
1965年 23,000
4.55% ↑
1964年 22,000
4.76% ↑
1963年 21,000
5% ↑
1962年 20,000
5.26% ↑
1961年 19,000 -

リベリアにおける牛の飼養数は、国の食糧、経済、社会環境の変化を反映しており、その推移から多くの興味深い点が浮かび上がります。1961年から1970年代までは穏やかではあるものの、一貫した増加傾向が見られました。この時期の成長は、リベリアが比較的平穏で、農業生産が徐々に拡大していたことを示しています。また、地域の肉用需要や地元市場の成長も要因と考えられます。

一方で、1980年代後半から1990年代にかけて、牛の飼養数は急激に減少しました。この時期は、リベリア内戦が続いた激動の時代で、農業基盤が崩れ、多くの農家が放棄されたり、移動を余儀なくされた結果として、牛の頭数が減少した可能性が高いです。また、この間のデータは持続的な不安定な状況を反映し、農業施設や必要なインフラの不足が深刻であったことを示しています。

2000年代以降になると、長引いた内戦が終結し、国が徐々に復興の道へ進む中で、牛飼養数は回復に向かいました。ただし、その増加スピードは国際的な標準と比較すると緩やかで、中国やインドといった大規模牛飼産業を持つアジア諸国、あるいはアメリカのような畜産大国とは異なり、リベリアの牛飼養の規模や成長率は限定的なものであることが分かります。

2016年から2022年のデータにおいては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行や自然災害の影響などが間接的に影響を与えた可能性があります。例えば、国境封鎖や物流の停滞は、飼料の供給や農業市場への影響をもたらしましたが、2022年時点では過去最高の45,052頭を記録しており、回復基調が確認されます。

リベリアにおける課題としては、まず農業インフラの整備が挙げられます。適切な飼料供給ネットワークを構築し、衛生管理の向上に取り組むことで、家畜の死亡率を下げ、持続可能な増加が可能になるでしょう。また、疾病管理体制の強化も課題の一つです。家畜の感染症は地域全体の農業効率に多大な影響を及ぼす可能性があるため、獣医師の育成やワクチンプログラムの普及が重要となります。

地政学的背景についても考慮する必要があります。西アフリカ地域では、特定地域における紛争や気候変動の影響が農業に及ぼすリスクが高いとされており、リベリアでも特に干ばつや洪水の発生が牛の飼養に直接的かつ深刻なマイナスの影響を与える可能性があります。このようなリスクに対処するためには、地域的な協力体制の強化が求められます。たとえば、近隣諸国と協調して災害対応プログラムを構築し、情報共有や防災インフラの整備を進めることが実効的な対策となります。

内戦からの復興が続くリベリアにとって、農業基盤の回復と強化は食糧安全保障や経済の安定に不可欠です。国際社会や国際機関からの支援を受けつつ、長期的な飼養頭数の拡大と持続可能な畜産業の発展を目指すことが重要です。教育や訓練を通じて農民の技術力を高め、地域社会全体が牛飼養の動向に積極的に関与できるような仕組みを構築すべきです。家畜産業の安定成長には、農業、教育、インフラの各分野での全面的な改革が必要となります。