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ドミニカの牛飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによれば、ドミニカでの牛飼養数は1961年に5,500頭であったものの、その後10年間で著しい減少を記録し1970年には3,168頭となりました。その後、1986年に10,000頭に到達し、1987年から1990年にかけて急激な増加を見せましたが、1990年代以降はほぼ安定した値を維持しています。現在(2022年時点)では13,999頭に達しており、横ばいながらもわずかに増加しています。

年度 飼養数(頭)
2022年 13,999
2021年 13,982
2020年 13,965
2019年 13,943
2018年 13,893
2017年 13,908
2016年 13,932
2015年 13,968
2014年 14,000
2013年 14,000
2012年 14,000
2011年 13,750
2010年 13,500
2009年 13,500
2008年 13,500
2007年 13,500
2006年 13,500
2005年 13,400
2004年 13,400
2003年 13,400
2002年 13,400
2001年 13,400
2000年 13,400
1999年 13,400
1998年 13,400
1997年 13,400
1996年 13,400
1995年 13,400
1994年 13,400
1993年 13,450
1992年 13,500
1991年 13,500
1990年 13,750
1989年 14,200
1988年 12,900
1987年 12,600
1986年 10,000
1985年 9,100
1984年 8,400
1983年 8,000
1982年 7,800
1981年 7,500
1980年 7,200
1979年 6,800
1978年 6,400
1977年 6,000
1976年 5,600
1975年 5,200
1974年 4,800
1973年 4,400
1972年 4,000
1971年 3,600
1970年 3,168
1969年 3,400
1968年 3,600
1967年 3,800
1966年 4,100
1965年 4,400
1964年 4,700
1963年 4,900
1962年 5,200
1961年 5,500

1961年からのデータを見ると、ドミニカにおける牛飼養数は時代ごとに顕著な変化を辿ってきたことが分かります。1960年代はほぼ一貫して減少傾向にありましたが、これは農業の効率化が進む中で、飼養の需要が減少したことや、土地利用の変化が主要な要因として考えられます。特に、この期間に見られる人口増加や耕地への転用が牧草地面積を縮小させた可能性があります。1970年の飼養数3,168頭は、当時のドミニカ経済や農業における牛の位置付けの低下を反映していると言えそうです。

しかし1970年代以降、牛飼養数は再び増加に転じ、1986年には10,000頭を突破しました。この急激な増加の背景には、酪農・畜産への依存が高まったほか、輸出向けの牛肉生産の強化や、地域経済を活性化させるための政策的な後押しが含まれると考えられます。また、1987年から1989年の間に見られる12,600頭から14,200頭への45%近い急増は、外部需要の高まりを受けた生産拡大の結果である可能性があります。

一方、1990年代以降は緩やかな横ばい傾向が見られ、13,400頭程度の飼養数が長期的に維持されました。この安定は、国内および地域市場における供給と需要のバランスが取れていることを示していると同時に、大規模な生産変動が起きにくい成熟した産業構造であることも示唆しています。ただし、2011年以降、13,750頭から2022年には13,999頭へとわずかではありますが、再び増加に転じる兆候がうかがえます。この増加の背景には、新型コロナによる食肉需要の変化や地域経済回復への投資が推測されます。

未来への課題としては、牛飼養がもたらす環境負荷、特に温室効果ガスであるメタン排出の問題にどう取り組むかが挙げられます。他国、例えばアメリカやヨーロッパでは、代替タンパク源の台頭や飼養効率を向上させる技術開発が進んでおり、ドミニカもこれらの新技術を導入する必要があると考えられます。さらに、地政学的要因が輸出入貿易に影響を及ぼす中、輸出市場への依存を最小限に抑える多角化戦略が重要となるでしょう。

結論として、ドミニカの牛飼養数の推移は、地域経済や政策、さらには国際的な需要と供給の動向に大きく左右されてきました。この現状を踏まえ、環境に配慮した持続可能な生産体制を構築することが、今後の最も重要な課題と言えます。国や国際機関が行うべき具体的な対策として、飼料効率化技術の導入、生態系の保護との両立を目指した牧草地の管理、地域ブランドの確立による高付加価値化が挙げられます。地元の生産者の支援を強化するとともに、国際的な連携を広げることで、環境・経済の両面で十分な成果を挙げることが期待されます。