国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、パプアニューギニアにおける牛の飼養数は1961年の21,082頭から1975年の125,000頭まで急激に増加しましたが、その後は減少傾向が続き、2022年には91,165頭となっています。特に1980年代以降、全体的には横ばいもしくは緩やかな減少が見られます。
パプアニューギニアの牛飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 91,165 |
2021年 | 91,416 |
2020年 | 91,668 |
2019年 | 91,919 |
2018年 | 92,405 |
2017年 | 92,673 |
2016年 | 92,833 |
2015年 | 92,905 |
2014年 | 93,000 |
2013年 | 93,000 |
2012年 | 94,000 |
2011年 | 93,000 |
2010年 | 94,000 |
2009年 | 94,000 |
2008年 | 94,000 |
2007年 | 94,000 |
2006年 | 93,000 |
2005年 | 92,000 |
2004年 | 91,000 |
2003年 | 90,000 |
2002年 | 89,000 |
2001年 | 88,000 |
2000年 | 87,000 |
1999年 | 87,000 |
1998年 | 86,000 |
1997年 | 87,000 |
1996年 | 88,000 |
1995年 | 90,000 |
1994年 | 93,000 |
1993年 | 94,000 |
1992年 | 96,000 |
1991年 | 98,000 |
1990年 | 99,000 |
1989年 | 100,000 |
1988年 | 100,600 |
1987年 | 105,000 |
1986年 | 116,000 |
1985年 | 117,000 |
1984年 | 120,000 |
1983年 | 122,000 |
1982年 | 123,000 |
1981年 | 128,264 |
1980年 | 129,000 |
1979年 | 132,499 |
1978年 | 131,476 |
1977年 | 131,500 |
1976年 | 131,596 |
1975年 | 125,000 |
1974年 | 119,967 |
1973年 | 106,945 |
1972年 | 96,128 |
1971年 | 84,742 |
1970年 | 76,094 |
1969年 | 66,598 |
1968年 | 59,314 |
1967年 | 50,026 |
1966年 | 44,156 |
1965年 | 39,849 |
1964年 | 33,503 |
1963年 | 29,129 |
1962年 | 24,583 |
1961年 | 21,082 |
FAOが公開したデータは、パプアニューギニアにおける牛の飼育状況を半世紀以上にわたって詳細に反映しています。このデータからは1960年代から1970年代にかけて非常に大きな増加が起きた一方で、1980年代以降は減少傾向へと転じたことが読み取れます。この初期の急激な増加は、同国の開発政策や畜産業の成長を象徴する一つの指標と考えることができます。しかしながら、1976年以降は約13万頭をピークに停滞し、その後1980年代には緩やかな減少、1990年代以降はほぼ横ばいの状態が続いています。
特に1980年代における顕著な減少の背景には、同国が直面していた経済的困難や畜産業への政策的支援の低下が関与している可能性があります。牛は食料生産だけでなく、農作業の補助や収益源としても重要な資源です。しかし、飼育環境の整備不足、土地利用の競合、伝染病の拡散、気候変動の影響などが、飼養数の減少要因として考えられます。さらに、パプアニューギニアの地勢的特徴は牧草地の確保を難しくし、飼料となる資源を安定的に供給することが難しい点も指摘されています。
この問題をさらに深掘りするためには、他国との比較が有効です。たとえば同じ太平洋地域でもニュージーランドは牧畜産業が盛んで、適切な政策と技術の導入により牛の飼養に対する高い経済効率を実現しています。同国と比較すると、パプアニューギニアでは畜産管理の近代化や技術水準の改善に課題が残っています。また、資源分配やインフラの整備も立ち遅れていることが、飼養数の停滞を説明する要因と見られます。
現在、パプアニューギニアの牛飼養数は9万頭台に留まっています。この数値を増加させるためには、持続可能な農牧業の発展が必要です。例えば、安定した飼料の供給システムを構築するために、即効性のあるプロジェクトを展開することが考えられます。また、牛の健康管理を強化し、伝染病対策を徹底することも重要です。これには、地域農業団体や農業指導員の活動を通じて専門知識を地域社会に共有することが含まれます。
さらに、地政学的な視点から見ると、地域の自然資源や土地争いが牧畜産業に余波を及ぼす可能性があります。例えば農地の確保をめぐる紛争や、気候変動による牧草地の減少は、将来的に牛の飼養数にさらなる影響を与えかねません。このリスクを軽減するには、地域住民と政策立案者が協働し、土地利用計画や紛争抑制策を講ずることが求められます。
結論として、パプアニューギニアの牛飼養数は、経済、環境、社会の複合的な圧力によって伸び悩んでいる現状があります。今後は持続可能な農牧業政策の推進、技術とインフラの改善、伝染病対策の強化などが不可欠です。また、国際協力の枠組みを活用し、畜産業の担い手である農民や生産者への支援を拡充することで、牛飼養数を徐々に回復させることが可能と考えられます。