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ギリシャの牛飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、ギリシャの牛飼養数は1961年から長期的な減少傾向にあります。1961年の1,074,286頭をピークとして、2022年には581,600頭と約46%の減少が見られます。しかし、2020年には一時的に631,500頭まで増加しており、その背景に特定の経済的要素や政策の影響が推測されます。この数字はギリシャの農業や畜産業の構造的な変化、さらには経済や環境の変動要因と深い関連性を示しています。

年度 飼養数(頭)
2022年 581,600
2021年 614,100
2020年 631,500
2019年 530,000
2018年 542,000
2017年 610,690
2016年 608,857
2015年 606,705
2014年 599,875
2013年 608,964
2012年 622,715
2011年 627,132
2010年 627,192
2009年 626,301
2008年 623,643
2007年 628,885
2006年 617,695
2005年 603,993
2004年 620,686
2003年 625,854
2002年 621,358
2001年 613,060
2000年 601,933
1999年 583,367
1998年 580,317
1997年 580,408
1996年 581,081
1995年 577,808
1994年 579,028
1993年 587,177
1992年 601,831
1991年 623,514
1990年 653,860
1989年 677,066
1988年 683,066
1987年 724,651
1986年 721,916
1985年 724,651
1984年 754,751
1983年 791,995
1982年 830,258
1981年 880,833
1980年 932,340
1979年 975,202
1978年 1,036,382
1977年 1,115,114
1976年 1,184,155
1975年 1,240,447
1974年 1,231,732
1973年 1,054,827
1972年 986,355
1971年 952,350
1970年 996,856
1969年 1,037,578
1968年 1,093,712
1967年 1,081,656
1966年 1,045,928
1965年 1,017,000
1964年 1,034,000
1963年 1,060,000
1962年 1,069,000
1961年 1,074,286

ギリシャの牛飼養数のデータを見ると、1961年から1980年代にかけて減少傾向が鮮明に現れ、以降2000年までは安定期を維持し、そこから現在まで再び減少するパターンが見受けられます。特に1981年以降の減少は顕著で、これはEU(欧州連合)への加盟後の農業政策の影響が大きいと考えられます。EU加盟に伴い生じた農業補助金の重点変更や競争力の低い小規模農家の縮小が、この減少の一因です。

また、近年では、ギリシャ全体の経済問題、特に債務危機が起きた2010年代初頭が牛飼養数の減少をさらに加速させた可能性があります。畜産業は高額な飼料コストや輸送費用の影響を強く受け、経済不安がその負担を増大させたと考えられます。しかし、興味深いことに2020年には牛飼養数が再び急増しています。この年の数値は631,500頭に達しており、この背景には特定の政府支援策、新型コロナウイルスパンデミックによる食料安定供給の重要性の認識、また輸入製品との競争緩和が関与しているかもしれません。

2022年時点では581,600頭に減少していますが、この急落の原因は、コロナ後の経済停滞、新たなEUの環境規制、または畜産から他分野へのシフトが挙げられます。さらに、気候変動が与える影響も考慮すべきであり、特に干ばつや気温上昇は地元牧草地の質を低下させ、飼料の価格上昇や生産量への悪影響をもたらしています。

ギリシャの牛飼養数を他国と比較すると、西ヨーロッパ諸国(フランスやドイツ)の規模に比べると非常に小規模ですが、バルカン諸国と比べると依然として広範な畜産基盤を保っています。しかし、地域間の競争や国際市場での価格圧力は、ギリシャの特有の経済的不安定性と結びつき、本分野を厳しい状況に追い込む要因となっています。

この課題に対応するためには、複合的な政策が必要です。一つは小規模農家を対象とした技術指導や環境に配慮した持続可能な畜産経営への支援です。また、EUの農業補助金制度の改革を利用して、気候変動対策に強い農業モデルへのシフトを進めるべきです。その一環として、草地管理政策の強化やストレス耐性の高い牛種の育成が重要になります。さらに、自治体間やバルカン地域での協力を強化し、地域共通の畜産振興策を講じることも成長の鍵となります。

また、短期的には飼料価格や畜産コストへの補助、そして牛乳や牛肉製品の地域市場を活性化させる国内販売促進策も必要です。新型コロナの経験を踏まえ、国内での食料自給率向上を目指す動きが今後の課題解決の一助となるでしょう。

結論として、ギリシャの牛飼養数の推移は、単なる数値の変動にとどまらず、環境、経済、政策と大きく結びついた複雑な現象です。今後は気候変動の影響を受けつつも、地域特有の強みを活かした持続可能な畜産の確立が鍵となるでしょう。この目標を達成するためには、国内外の協力と先進的な政策の実施が欠かせません。ギリシャの牛飼養数についての取り組みは、地域の安定と食料安全保障の確保のために重要な一歩といえます。