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アルジェリアの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アルジェリアの牛の飼養数は1961年の61万1000頭から2022年には173万8340頭と、おおむね上昇傾向を示してきました。ただし、1970年代後半から1980年代前半にかけて急増した後、1990年代には一時的な減少が見られました。その後は再び増加傾向をたどりましたが、2016年以降はやや減少傾向が続き、近年も横ばいとなっています。この推移の背景には、農業政策、気候変動、人口動態、経済の変化が影響していると考えられます。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 1,806,339
3.91% ↑
2022年 1,738,340
0.22% ↑
2021年 1,734,476
-0.33% ↓
2020年 1,740,183
-2.58% ↓
2019年 1,786,351
-1.65% ↓
2018年 1,816,280
-4.16% ↓
2017年 1,895,126
-8.95% ↓
2016年 2,081,306
-3.17% ↓
2015年 2,149,549
4.87% ↑
2014年 2,049,652
7.34% ↑
2013年 1,909,455
3.55% ↑
2012年 1,843,930
3% ↑
2011年 1,790,140
2.43% ↑
2010年 1,747,700
3.88% ↑
2009年 1,682,433
2.54% ↑
2008年 1,640,730
0.42% ↑
2007年 1,633,810
1.61% ↑
2006年 1,607,890
1.38% ↑
2005年 1,586,070
-1.71% ↓
2004年 1,613,700
3.41% ↑
2003年 1,560,545
3.29% ↑
2002年 1,510,770
-6.34% ↓
2001年 1,613,040
1.11% ↑
2000年 1,595,259
0.99% ↑
1999年 1,579,653
19.92% ↑
1998年 1,317,240
4.93% ↑
1997年 1,255,410
2.24% ↑
1996年 1,227,940
-3.05% ↓
1995年 1,266,620
-0.2% ↓
1994年 1,269,130
-3.4% ↓
1993年 1,313,820
-1.49% ↓
1992年 1,333,730
2.58% ↑
1991年 1,300,180
-6.64% ↓
1990年 1,392,700
-0.9% ↓
1989年 1,405,330
-2.05% ↓
1988年 1,434,670
1.32% ↑
1987年 1,416,000
5.15% ↑
1986年 1,346,670
-4.9% ↓
1985年 1,416,000
0.86% ↑
1984年 1,403,900
-14.86% ↓
1983年 1,649,000
9.86% ↑
1982年 1,501,000
9.05% ↑
1981年 1,376,400
0.98% ↑
1980年 1,363,000
2.67% ↑
1979年 1,327,610
9.46% ↑
1978年 1,212,880
7.32% ↑
1977年 1,130,160
11.38% ↑
1976年 1,014,720
1.23% ↑
1975年 1,002,430
10.14% ↑
1974年 910,140
4.36% ↑
1973年 872,090
-2.01% ↓
1972年 890,000
-3.05% ↓
1971年 918,000
3.73% ↑
1970年 885,000
1.61% ↑
1969年 871,000
3.57% ↑
1968年 841,000
4.99% ↑
1967年 801,000
14.43% ↑
1966年 700,000
16.28% ↑
1965年 602,000
13.37% ↑
1964年 531,000
1.14% ↑
1963年 525,000
-13.93% ↓
1962年 610,000
-0.16% ↓
1961年 611,000 -

アルジェリアの牛の飼養数推移を見てみると、1961年には約61万頭であったものが、1970年代後半までに急増し、1980年代には約130万から160万頭の範囲で推移しました。その後、1990年代に一時的な減少が見られたものの、2000年代には回復し、2014年にはついに200万頭を超えるまでになりました。ただし、2016年をピークに減少傾向が顕著となり、2022年時点では173万8340頭とやや減少が続いています。

このような推移には、以下の要因が関係していると考えられます。

一つ目は、アルジェリアの農業政策の影響です。同国では国連独立直後の1960年代から、農業セクターへの投資を進め、食料自給率の向上を図りました。この結果、農業用地の開拓や家畜数の増加が促進されました。その後、1970年代の石油ブームの恩恵を受けて農業インフラの整備が進んだことで、牛の飼養数は急激に増加しました。しかし、1980年代に原油価格が下落すると、経済縮小や財政難により農業部門への支援が減少し、牛の飼養数が下がる結果となりました。

二つ目として、降雨量の変動や干ばつを含む気候条件が挙げられます。アルジェリアは乾燥気候が支配的で、特に農業や牧畜は降水量に強く依存しています。1990年代の減少傾向は、干ばつの影響も一因と考えられており、飼料供給の不安定化が牛の飼養に影響を与えました。また近年の気候変動の影響により、牧草地の減少や水資源の不足が飼育にさらなる負担をもたらしています。

三つ目に、アルジェリア国内の消費構造や食生活の変化が見逃せません。同国は牛乳や牛肉などの乳製品や肉製品の消費が増加したものの、消費需要に対して供給体制が整っていない課題があります。消費需要の伸びが進む一方で、生産者がいかに効率的に供給を維持するのかが重要な問題となっています。

さらに地政学的背景としては、地域内外の紛争や不安定な経済状況が影響しています。南北に広がるサハラ砂漠を抱える地理的位置のため、砂漠化が進む中で家畜飼養のコストが増えており、牧畜業者にとって経済的な負担が増加しています。また、新型コロナ感染症の影響で国際的な経済活動が停滞し、飼料輸入コストが増大したことも、飼養数の伸びにブレーキをかけた要因だと推測されます。

今後の課題としては、効率的な家畜管理の技術向上が挙げられます。例えば、牛の健康管理を徹底するためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)技術を活用した監視体制の構築が必要です。また、近隣地域や国際機関との協力を通じて、気候変動への対策を進めることが重要です。乾いた地域での牧草供給を安定させるために、持続可能な農業技術を普及させるプロジェクトを進めることが望ましいです。

総じて、アルジェリアの牛飼養数はこれまで増減を繰り返しながらも増加傾向を維持していましたが、近年は停滞を見せています。これを打破するには、気候変動への対応や飼料供給の安定化、さらに地元の畜産業の近代化を支援する政策が急務です。国際連合および地域協力機関と連携することで、同国の牧畜業が持続的に発展を遂げる基盤を整えることが期待されます。