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ガーナの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したガーナの牛飼養数に関する最新データによれば、1961年の50万頭から2022年の約223万頭まで、牛の飼養数は長期的に大幅に増加しています。この間には一時的な減少も見られましたが、総じて安定した増加傾向が確認されています。特に2000年代以降の増加ペースが目立ち、2020年以降には過去最高の水準を記録しています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 2,291,454
2.35% ↑
2022年 2,238,857
2.98% ↑
2021年 2,174,000
3.08% ↑
2020年 2,109,000
8.54% ↑
2019年 1,943,000
1.09% ↑
2018年 1,922,000
1.1% ↑
2017年 1,901,000
4.74% ↑
2016年 1,815,000
4.67% ↑
2015年 1,734,000
4.65% ↑
2014年 1,657,000
4.21% ↑
2013年 1,590,000
3.05% ↑
2012年 1,543,000
3% ↑
2011年 1,498,000
3.03% ↑
2010年 1,454,000
1.11% ↑
2009年 1,438,000
1.13% ↑
2008年 1,422,000
1.07% ↑
2007年 1,407,000
1.08% ↑
2006年 1,392,000
1.38% ↑
2005年 1,373,000
1.03% ↑
2004年 1,359,000
1.12% ↑
2003年 1,344,000
1.05% ↑
2002年 1,330,000
1.14% ↑
2001年 1,315,000
1% ↑
2000年 1,302,000
1.09% ↑
1999年 1,288,000
1.19% ↑
1998年 1,272,900
1% ↑
1997年 1,260,300
1% ↑
1996年 1,247,861
2.56% ↑
1995年 1,216,677
2.5% ↑
1994年 1,187,000
1.57% ↑
1993年 1,168,640
0.79% ↑
1992年 1,159,431
-2.95% ↓
1991年 1,194,633
4.35% ↑
1990年 1,144,787
0.74% ↑
1989年 1,136,421
-0.75% ↓
1988年 1,144,978
-2.12% ↓
1987年 1,169,777
3.08% ↑
1986年 1,134,870
0.25% ↑
1985年 1,132,000
5.01% ↑
1984年 1,078,000
7.8% ↑
1983年 1,000,000
8.23% ↑
1982年 924,000
11.59% ↑
1981年 828,000
2.99% ↑
1980年 804,000
3.08% ↑
1979年 780,000
4.7% ↑
1978年 745,000
-2.23% ↓
1977年 762,000
-8.08% ↓
1976年 829,000
-7.68% ↓
1975年 898,000
-15.36% ↓
1974年 1,061,000
10.29% ↑
1973年 962,000
3.11% ↑
1972年 933,000
3.32% ↑
1971年 903,000 -
1970年 903,000
0.33% ↑
1969年 900,000
5.88% ↑
1968年 850,000
6.25% ↑
1967年 800,000
6.67% ↑
1966年 750,000 -
1965年 750,000
7.14% ↑
1964年 700,000
16.67% ↑
1963年 600,000
9.09% ↑
1962年 550,000
10% ↑
1961年 500,000 -

FAOが公開した牛飼養数推移データを詳しく見ていくと、ガーナでは1961年の約50万頭から2022年の約223万頭へと、約60年の間に牛の飼養数は4倍以上に拡大しています。この長期的な増加傾向の背景には、ガーナの経済成長、食料需要の拡大、酪農業の発展が密接に関わっています。ただし、すべての年で一貫した上昇が見られたわけではなく、特に1975年から1980年にかけて大幅な減少が観察された点が注目されます。この時期には、ガーナで深刻な経済危機が生じており、牛の飼養数もその影響を大きく受けた可能性が高いと考えられます。

ガーナの酪農業は、同国の主力産業のひとつとして発展しており、牛は乳、肉、農業労働力を提供する重要な資源です。それにも関わらず、1970年代後半から1980年代前半には自然災害である干ばつや持続的な悪天候が農業全般を脅かしました。この影響で飼料不足が深刻化し、牛飼養の継続が難しくなったと推測されます。一方で1990年代以降は、気候条件や政府政策の改善により、牛飼養数は大きく回復し、その後も安定的な増加を続けています。

2000年代以降の大幅な増加は、ガーナの人口増加および都市化の進展と関連が深いと言えます。都市化が進む中で、動物性タンパク質の需要が著しく高まっており、牛肉や乳製品が現地の食文化や市場においてより大きな役割を担うようになっています。また、国際的な援助機関や政府による政策的な支援も、牛の飼養数増加を押し上げる要因となっています。

しかしながら、この増加が持続可能であるかどうかは別の問題です。牛の大規模な飼養は環境負荷を伴います。ガーナでは、農地の拡大により森林が減少し、二酸化炭素の排出量が増加するリスクが懸念されています。また、気候変動の影響で今後の降雨パターンが不安定化する可能性があり、地域の農業生産性に新たな課題が生じる恐れがあります。

将来的には、酪農業をより持続可能な形で発展させるための具体的な対策が求められます。例えば、ガーナ政府や地方自治体が気候変動に強い農法を推進するほか、効率的な牧草栽培技術や水資源利用システムを導入することが挙げられます。また、牛の健康管理を強化し、病気予防や治療のための獣医サービスを充実させることも重要です。さらに、民間セクターとの協力を通じて、乳製品の加工・販売産業を発展させることも牛飼養の価値を高めるための方策となります。

結論として、ガーナの牛飼養数の増加は同国の経済成長と食料安全保障に寄与する一方で、環境問題や持続可能性の課題と直面する場面が増えていくと考えられます。これらの課題に対処するためには、国と国際機関が協力して総合的な酪農政策を策定し、それを地域レベルまで展開していく必要があります。具体的には、緑の技術の適用や輸出市場拡大の支援、地域紛争を未然に防ぐための土地管理の枠組み構築などが有効です。こうした取り組みによって、ガーナは経済的成長と環境保護の両立を目指したモデルケースを世界に提示することができるでしょう。