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ボリビア (多民族国家)の牛飼養数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、ボリビア(多民族国家)の牛の飼養数は1961年から急激に増加を続けています。1961年の1,830,000頭から2022年には10,739,448頭に達し、約5.9倍に成長しています。特に2000年代以降の増加速度が顕著であり、近年では年間20万頭を超える増加が見られています。このような増加は、ボリビアの農牧業の強化や需要増加を反映していますが、同時に環境負荷や資源管理などの課題も浮かび上がっています。

年度 飼養数(頭)
2022年 10,739,448
2021年 10,385,482
2020年 10,103,767
2019年 9,741,474
2018年 9,556,000
2017年 9,304,000
2016年 9,119,000
2015年 8,948,602
2014年 8,798,354
2013年 8,847,434
2012年 8,620,784
2011年 8,400,439
2010年 8,189,786
2009年 7,985,230
2008年 7,786,802
2007年 7,586,526
2006年 7,409,002
2005年 7,217,507
2004年 7,033,582
2003年 6,851,256
2002年 6,673,475
2001年 6,500,096
2000年 6,911,930
1999年 6,392,425
1998年 6,225,688
1997年 6,061,216
1996年 5,886,283
1995年 5,737,977
1994年 5,603,739
1993年 5,463,082
1992年 5,349,406
1991年 5,228,026
1990年 5,131,659
1989年 5,475,891
1988年 5,401,561
1987年 5,238,591
1986年 5,055,183
1985年 5,515,100
1984年 5,214,626
1983年 5,616,600
1982年 4,601,600
1981年 4,487,800
1980年 4,698,700
1979年 4,523,200
1978年 4,208,600
1977年 3,578,280
1976年 3,398,110
1975年 3,244,035
1974年 3,096,000
1973年 2,658,810
1972年 2,564,875
1971年 2,411,840
1970年 2,290,800
1969年 2,190,000
1968年 2,183,658
1967年 2,131,900
1966年 2,080,000
1965年 2,030,000
1964年 1,980,000
1963年 1,930,000
1962年 1,880,000
1961年 1,830,000

ボリビアにおける牛飼養数は、1960年代から2020年代まで約60年以上にわたり、持続的な増加を見せています。特に、1970年代後半や1980年代前半では急激な増加が見られました。1983年には5,616,600頭と、それまでの水準を大きく超えましたが、その後、一部の年で減少が確認される時期もありました。2000年代以降、再び安定した成長傾向を取り戻し、2020年以降は10,000,000頭を突破しました。

この牛飼養数の推移には、国内外での牛肉や乳製品の需要の増加、農牧業技術の向上、輸出の拡大政策が重要な背景として挙げられます。ボリビアは南アメリカの中でも広大な牧草地を有する農業国として知られており、牛肉や飼料作物の生産量は国内外の消費を支える大きな柱となっています。一方、ボリビアは森林地帯や湿地が豊富な生態系を持つ国でもあり、過剰な牛飼養活動は地球温暖化の一因とされる温室効果ガス(特にメタン)の排出量の増加や、牧場拡大のための森林伐採など、環境破壊との関連が指摘されています。

他国と比較してみると、ボリビアの牛飼養数はブラジルやアルゼンチンといった南アメリカの主要な農牧業国に比べ規模は小さいものの、成長率の高い水準を示しています。例えば、アルゼンチンは長年にわたり放牧技術の成熟が進んでいるため、牛飼養数の成長は安定的です。一方でボリビアは基盤整備が発展途上段階にあるため、急激な成長を続けています。日本や韓国、ドイツなどの先進国においては、持続可能な畜産政策が進む中で牛飼養数がむしろ抑制される傾向にあり、ボリビアとの差は明確となっています。

課題として指摘されるのは、持続可能な農牧業の実現に向けた取り組みの遅れです。たとえば、牧場の無秩序な拡大は、生物多様性の喪失や土壌の過剰利用につながる危険があります。また、気候変動にも悪影響を及ぼす可能性があり、特にアマゾン川流域への影響が懸念されています。加えて、牛肉の輸出拡大に依存する経済構造は国際的な価格変動の影響を受けやすく、経済不安定性を助長する可能性も否定できません。

今後の対策として、持続的な牧畜業発展の枠組みを構築する必要があります。具体的には、森林伐採を最小限に抑えた形での牧場整備や、家畜管理技術の導入により効率的な飼養を目指すべきです。また、牧畜における温室効果ガス排出を削減するため、バイオテクノロジーの活用や代替技術の開発を進めることが推奨されます。ボリビア国内の政策だけでなく、周辺諸国との協力を通じて地域的な問題解決にも寄与することが重要です。

結論として、ボリビアの牛飼養数の成長は、経済的には大きな潜在力を持つ一方で、環境面での課題も顕在化しています。ボリビア政府および国際社会は、持続可能性を主眼とした政策転換を行い、未来の農牧業を健全な形で発展させる取り組みを強化する必要があります。それが、国土の保全と地域住民の福祉、さらには長期的な経済成長の実現へとつながるでしょう。