国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、1961年から2022年にかけて、サモアの牛飼養数は大きな変動を見せています。1961年の15,736頭から始まり、1980年代から2000年代までは緩やかな増加が見られました。しかしながら、2009年から2015年にかけて急激な増加を記録、その後2020年にかけて減少傾向を示しています。2022年には再び42,029頭まで回復し、直近のデータでは安定化の兆しが見受けられます。これらの変動の背景には、地域特有の環境要因や社会経済的な事情、さらには新型コロナウイルス感染症の影響が考えられます。
サモアの牛飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 42,029 |
2021年 | 43,007 |
2020年 | 35,097 |
2019年 | 37,167 |
2018年 | 42,796 |
2017年 | 46,737 |
2016年 | 48,509 |
2015年 | 56,504 |
2014年 | 49,150 |
2013年 | 48,629 |
2012年 | 47,295 |
2011年 | 45,201 |
2010年 | 41,555 |
2009年 | 38,949 |
2008年 | 30,000 |
2007年 | 30,000 |
2006年 | 30,000 |
2005年 | 30,000 |
2004年 | 30,000 |
2003年 | 29,000 |
2002年 | 28,000 |
2001年 | 28,000 |
2000年 | 28,000 |
1999年 | 27,883 |
1998年 | 27,000 |
1997年 | 26,000 |
1996年 | 26,000 |
1995年 | 26,000 |
1994年 | 26,000 |
1993年 | 25,000 |
1992年 | 24,000 |
1991年 | 25,000 |
1990年 | 24,000 |
1989年 | 24,096 |
1988年 | 24,096 |
1987年 | 24,096 |
1986年 | 22,000 |
1985年 | 20,000 |
1984年 | 20,052 |
1983年 | 21,456 |
1982年 | 22,957 |
1981年 | 24,564 |
1980年 | 26,284 |
1979年 | 27,983 |
1978年 | 26,293 |
1977年 | 25,559 |
1976年 | 26,011 |
1975年 | 25,056 |
1974年 | 22,790 |
1973年 | 20,983 |
1972年 | 20,375 |
1971年 | 20,068 |
1970年 | 19,774 |
1969年 | 19,491 |
1968年 | 19,429 |
1967年 | 18,779 |
1966年 | 17,538 |
1965年 | 17,924 |
1964年 | 17,785 |
1963年 | 17,770 |
1962年 | 16,000 |
1961年 | 15,736 |
サモアの牛飼養数の動向は、この国における農業と畜産業の歴史的発展や経済状況、環境の変化を反映しています。1960年代から1970年代までのデータを見ると、飼養頭数は着実に増加し、安定した成長を遂げていました。この成長期には、牛肉への需要拡大や農業技術の改良が影響した可能性が高いです。1974年には飼養数が22,790頭となり、その後2000年代までおおむね緩やかな増加が続きました。
2009年を起点とする急激な増加は注目に値します。実際、2009年には飼養数が38,949頭と大幅に増加し、その後2015年にはピークとなる56,504頭を記録しました。この期間には、農業振興政策や輸出向け牛肉生産の強化が寄与したと考えられます。しかしこの増加は長続きせず、2016年以降は減少傾向となり、2020年には35,097頭にまで落ち込みます。
この減少傾向にはいくつかの要因が考えられます。まず、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による経済停滞が、輸出市場や畜産管理に大きな影響を与えたことが挙げられます。さらに、気候変動による天候不順や自然災害の影響も、サモアの農業に直接的なダメージをもたらしており、それが牛の飼養数減少に結びついた可能性があります。特にサモアのような太平洋の島嶼(とうしょ)国では、サイクロンや洪水による牧草地の喪失が深刻な問題です。
2021年から2022年にかけて、飼養数が若干回復を見せている点は前向きな兆候です。しかし、それでも過去のピーク時には及んでおらず、今後も安定した発展を遂げるためには解決すべき課題が多くあります。例えば、気候変動への適応が挙げられます。持続可能な牧草地管理や水資源の確保といった取り組みが、畜産業の基盤を強化するためには不可欠です。
また、地域経済の活性化が飼養数の推移に与える影響を考慮すると、輸出市場の拡大や、国内における畜産関連産業の支援も重要です。さらに、地政学的には、この地域が国際貿易や資源配分の中で果たす役割を考慮し、他国との協力体制を強化することも推進すべきでしょう。例えば、近隣諸国との農業技術や資源の共有は、サモアにとって大きな利点となる可能性があります。
結論として、サモアの牛飼養数は過去数十年にわたる社会経済的及び環境的変化を反映してきました。現在の減少傾向を反転させるためには、気候変動に対する適応策の導入、政府の農業政策強化、さらに国際協力の拡大が必要です。これらの課題に取り組むことで、サモアの畜産業が持続可能な発展を遂げ、地域の経済と食糧安全保障に貢献する未来が期待されます。