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ニューカレドニアの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年最新版データによると、ニューカレドニアの牛飼養数は1961年の96,000頭から、長期間にわたり増減を繰り返しながらも、ここ数十年は顕著な減少傾向を示しています。ピーク時の1988年には136,000頭まで増加しましたが、その後減少に転じ、2022年には79,581頭と観測可能なデータ期間中で最も低い水準に達しています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 79,729
0.19% ↑
2022年 79,581
-1.11% ↓
2021年 80,478
-1.1% ↓
2020年 81,376
-0.86% ↓
2019年 82,086
0.65% ↑
2018年 81,555
-2.1% ↓
2017年 83,304
-3.09% ↓
2016年 85,961
-4.02% ↓
2015年 89,562
-3.7% ↓
2014年 93,000
1.09% ↑
2013年 92,000
8.74% ↑
2012年 84,604
-6% ↓
2011年 90,000 -
2010年 90,000 -
2009年 90,000 -
2008年 90,000 -
2007年 90,000
3.45% ↑
2006年 87,000
-13% ↓
2005年 100,000
-9.91% ↓
2004年 111,000 -
2003年 111,000
-0.28% ↓
2002年 111,308
1.19% ↑
2001年 110,000 -
2000年 110,000 -
1999年 110,000
16.54% ↑
1998年 94,387
-14.19% ↓
1997年 110,000 -
1996年 110,000 -
1995年 110,000
1.77% ↑
1994年 108,088
-9.93% ↓
1993年 120,000
-4% ↓
1992年 125,000
-0.32% ↓
1991年 125,397
4.5% ↑
1990年 120,000
-0.66% ↓
1989年 120,800
-11.18% ↓
1988年 136,000
4.62% ↑
1987年 130,000
4% ↑
1986年 125,000
2.46% ↑
1985年 122,000
0.97% ↑
1984年 120,824
-0.06% ↓
1983年 120,898
20.9% ↑
1982年 100,000
-9.09% ↓
1981年 110,000 -
1980年 110,000
-8.33% ↓
1979年 120,000
-4% ↓
1978年 125,000
8.7% ↑
1977年 115,000 -
1976年 115,000 -
1975年 115,000
4.55% ↑
1974年 110,000
-8.33% ↓
1973年 120,000
4.35% ↑
1972年 115,000
-4.42% ↓
1971年 120,315
0.01% ↑
1970年 120,300 -
1969年 120,300
1.95% ↑
1968年 118,000
2.61% ↑
1967年 115,000
2.68% ↑
1966年 112,000
8.21% ↑
1965年 103,500
8.83% ↑
1964年 95,100
-9.43% ↓
1963年 105,000
8.25% ↑
1962年 97,000
1.04% ↑
1961年 96,000 -

ニューカレドニアにおける牛飼養数の推移を見ると、初期の1960年代から1970年代にかけては緩やかに増加し、1988年には136,000頭というピークに到達しました。しかし、それ以降、短期的な変動を伴いながら全体的には減少の一途をたどり、2022年には79,581頭と過去最低値を記録しました。この変化には、いくつかの地政学的、経済的および環境的要因が影響していると考えられます。

まず、地政学的リスクとして、ニューカレドニアの特異な地理的位置や国際情勢の影響が挙げられます。国土が比較的小規模で火山性・サンゴ礁による地形特性を持つため、放牧可能な平地の確保や水資源の管理が大きな課題となっています。また、この地域では自然災害の影響も免れません。特に、台風や洪水など気象リスクが牛の生育や放牧環境に直接影響を与え、飼育可能な数が減少した可能性があります。このような地理的な特徴は、他国、特に農牧業の盛んなアメリカやオセアニア地域と比べて、生産基盤を脆弱化させ、持続可能な牛飼養が難しい状況を作り出しています。

さらに、疫病の影響も無視できません。感染症が発生すれば牛の死亡率が高まり、また特定地域での流行によって輸入輸出が制限される場合もあります。新型コロナウイルス感染症の拡大は、直近の数年間で飼養数の減少に一定の影響を及ぼしたと考えられます。ロジスティクスの断絶や飼料供給の不安定化は、多くの地域で畜産業に深刻な打撃を与えました。ニューカレドニアでも、こうしたグローバルな影響の一端が感じられます。

経済的な面では、牛の飼育にかかるコストが増加している可能性があります。燃料価格の高騰や輸入飼料の価格上昇は、小規模農家にとって大きな負担となります。ニューカレドニアの経済特性上、他地域からの輸入品への依存度が高いため、こうした外部要因が飼養数の減少に直接的な影響を与えていることは間違いありません。また、地元の政府支援や補助金政策の規模、貿易の自由化の進展状況についても詳細に検討する必要がありそうです。

今後対策を考える上で、いくつかの具体的なアプローチが提言されます。まず、持続可能な牧畜業への転換を促進することが急務です。従来の広範囲な放牧を見直し、環境負荷を軽減する集中的な飼育方法や、高栄養価かつ安定供給可能な飼料の確保に注力する必要があります。次に、畜産業を支える基盤整備として、灌漑システムの改良や台風対策の強化を行い、自然災害に対するレジリエンスを高めることが求められます。最後に、貿易政策の枠組みを再検討し、国際市場へプレゼンスを確立することで、国内での過剰依存を回避しながら生産性を維持できます。

結論として、ニューカレドニアの牛飼養数が大幅に減少している現状は、自然的要因と人為的要因が複雑に絡み合っています。この減少が地域経済や食料安全保障に与える影響を正確に測り、適切な政策介入が行われることが必要です。国際的な情報交換や技術支援も取り入れながら、畜産業の再構築に向けた取り組みを進めることで、この地域の持続的な発展を支える重要な第一歩となるでしょう。