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ブルンジの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブルンジの牛飼養数は1961年から2022年にかけて大きな変動を見せました。1961年の43万頭から1970年代には78万頭に増加しましたが、1980年代からの内戦や社会不安などの影響を受け減少。その後、2000年代以降は緩やかな改善を見せ、2022年には102万8926頭へと回復しました。しかし、2019年から2021年には再度急激な減少がみられるなど、依然として変動の激しい傾向が続いています。この推移は、ブルンジの経済や社会的背景、さらには触発される地政学的リスクとも密接に関係しています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 1,192,217
15.87% ↑
2022年 1,028,926
6.62% ↑
2021年 965,020
55.81% ↑
2020年 619,348
-18.08% ↓
2019年 756,036
-31.95% ↓
2018年 1,110,936
3.1% ↑
2017年 1,077,539
39.94% ↑
2016年 769,991
-3.33% ↓
2015年 796,530
-3.58% ↓
2014年 826,062
8.81% ↑
2013年 759,191
24.57% ↑
2012年 609,430
-6.76% ↓
2011年 653,580
9.59% ↑
2010年 596,412
7.61% ↑
2009年 554,234
17.52% ↑
2008年 471,614
-1.56% ↓
2007年 479,106
10.44% ↑
2006年 433,800
9.62% ↑
2005年 395,741
5.68% ↑
2004年 374,475
5.42% ↑
2003年 355,222
9.64% ↑
2002年 324,000
-10.11% ↓
2001年 360,440
0.54% ↑
2000年 358,492
0.87% ↑
1999年 355,416
-7.95% ↓
1998年 386,108
-1.78% ↓
1997年 393,110
2.5% ↑
1996年 383,522
-2.56% ↓
1995年 393,615
5% ↑
1994年 374,871
-10.53% ↓
1993年 418,974
-4.76% ↓
1992年 439,922
0.72% ↑
1991年 436,761
1.14% ↑
1990年 431,839
2.07% ↑
1989年 423,064
-1.44% ↓
1988年 429,243
1.75% ↑
1987年 421,857
-11.97% ↓
1986年 479,200
26.88% ↑
1985年 377,670
-8.95% ↓
1984年 414,800
1.47% ↑
1983年 408,800
-5.06% ↓
1982年 430,600
2.13% ↑
1981年 421,600
-29.73% ↓
1980年 600,000
-26.74% ↓
1979年 819,000
2.5% ↑
1978年 799,000
0.88% ↑
1977年 792,000
1.8% ↑
1976年 778,000
-0.77% ↓
1975年 784,020
3.02% ↑
1974年 761,022
0.65% ↑
1973年 756,096
4.32% ↑
1972年 724,780
6.13% ↑
1971年 682,905
-0.37% ↓
1970年 685,407
3.79% ↑
1969年 660,410
10.72% ↑
1968年 596,488
2.24% ↑
1967年 583,400
11.89% ↑
1966年 521,400
0.99% ↑
1965年 516,300
7.56% ↑
1964年 480,000
4.61% ↑
1963年 458,860
2.04% ↑
1962年 449,665
4.57% ↑
1961年 430,000 -

ブルンジの牛飼養数は、同国の農業と食糧経済に重要な役割を果たしています。特に、牛は農耕の補助に使用されるほか、乳製品の供給と農村部の所得向上に寄与し、小規模農業中心の同国経済の基盤を形成しています。この統計からは、約60年にわたる牛飼養数の動向が、ブルンジでの社会的および経済的課題を反映していることが読み取れます。

1961年から1979年にかけて、牛飼養数は増加傾向を示しました。この時期には、経済的安定が進みつつあった影響で、農業生産力の向上が実現しました。しかし1980年代に入ると、内戦の勃発や政治的な混乱により、牛飼養数は急激に減少しました。1980年から1981年にかけては約30万頭も大幅に減少し、動乱が畜産業や農村経済に与える重大な影響が浮き彫りになりました。

2000年代に入り、牛の飼養数は全体として緩やかな回復傾向を示しましたが、依然として1990年代までの飼養数には及ばない状況が続きました。この時期の増加は、和平プロセスの進展や国際的援助による農村支援が功を奏したと考えられます。しかしながら2011年以降になると、増加の速度が一時的に加速し、2013年には75万頭、2014年には80万頭を超えました。さらに2017年から2018年にかけては100万頭を突破するという記録的な増加が見られました。

この急激な増加の背景には、家畜再興プログラムや地域協力の枠組み強化、さらに地域的疫病対策の強化が一定の成果を上げたことが挙げられます。とはいえ、2019年以降には再び下落が生じ、2021年になると大幅に減少しました。新型コロナウイルス感染症の世界的流行が経済活動を縮小させたことや、地域内での輸送網の断絶が原因であった可能性があります。ただ2022年には持ち直しを見せ、100万頭以上を維持しましたが、その背景にある社会経済の不安定性への懸念は残っています。

課題としては、第一に地域的な紛争や社会不安と畜産業への深刻な影響が挙げられます。ブルンジのように食糧と牛飼養を生活基盤とする国では、家畜の減少は深刻な飢餓と貧困を引き起こす要因となり得ます。また、疫病管理や栄養改善の面でも革新的な技術を取り入れる必要があります。野放しの飼養形態が一部で続いていることや、気候変動の影響も課題として軽視できません。

具体的な対策として、政府および国際機関は、まず持続的な畜産業振興政策を構築するべきです。例えば、小規模農家を対象にした定期的な家畜医療サービスの提供や、疫病監視システムの導入、農村部での教育普及活動が求められます。また、地政学的影響を軽減するために地域間での協力体制を強化し、輸送や市場のインフラを整備することも重要です。さらに、気候変動への対策として、耐性のある家畜品種への転換や自然災害に備えた保険制度の充実が期待されます。

ブルンジの牛飼養数の推移は、単なる数字の移り変わりではなく、社会の安定性や持続可能性に深い影響を及ぼします。安定的な畜産基盤の構築は、ブルンジの未来における経済成長と貧困削減に大きく寄与するでしょう。このため、国際社会やブルンジの政府による継続した支援と、地域主導のアプローチが重要です。