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ラトビアの牛飼養数推移(1961年~2023年)

ラトビアの牛飼養数は1992年に約138万頭と高水準であったものの、その後急激な減少を見せ、2000年前後には40万頭を下回る水準となりました。しかし、2000年代後半にはやや増加傾向が見られ、特に2014年から2015年には40万頭を超えました。その後は緩やかな減少が続き、2022年時点で約39.1万頭となっています。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 368,060
-5.95% ↓
2022年 391,350
-0.54% ↓
2021年 393,470
-1.38% ↓
2020年 398,990
0.93% ↑
2019年 395,320 -
2018年 395,330
-4.12% ↓
2017年 412,314
-1.62% ↓
2016年 419,084
-0.7% ↓
2015年 422,019
3.82% ↑
2014年 406,500
3.41% ↑
2013年 393,100
3.28% ↑
2012年 380,600
0.29% ↑
2011年 379,500
0.34% ↑
2010年 378,200
-0.53% ↓
2009年 380,200
-4.64% ↓
2008年 398,700
5.73% ↑
2007年 377,100
-2.1% ↓
2006年 385,200
3.8% ↑
2005年 371,100
-1.98% ↓
2004年 378,600
-2.45% ↓
2003年 388,100
0.88% ↑
2002年 384,700
4.91% ↑
2001年 366,700
-3.09% ↓
2000年 378,400
-12.89% ↓
1999年 434,400
-8.91% ↓
1998年 476,900
-6.38% ↓
1997年 509,400
-5.15% ↓
1996年 537,060
-2.49% ↓
1995年 550,800
-18.75% ↓
1994年 677,900
-40.76% ↓
1993年 1,144,300
-17.25% ↓
1992年 1,382,900 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、ラトビアの牛飼養数は過去30年間で大きな変動を経験しています。この傾向は、1992年の独立を背景にした経済・政治的な変化と深く関連しています。ソビエト連邦の崩壊後、ラトビアは市場経済へ移行していく中で農業部門が大きな打撃を受け、多くの農家が牛の飼育規模を縮小または廃業に追い込まれました。この結果、1992年の138万頭が翌年には114万頭に減少し、その後も急激な減少を続け、1994年には67万頭にまで縮小しました。

21世紀初頭において、牛飼養数はさらに減少し、2000年には38万頭を下回りましたが、2000年代後半から2010年代前半にかけては、持続可能な農業政策やEU加盟後の補助金支援により、飼育頭数がやや回復しました。特に2014年から2015年には40万頭を超える水準に達しましたが、その後は減少傾向に転じ、2022年時点では再び39.1万頭に至っています。

この減少傾向の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず第一に、ラトビアの人口減少と農村部の過疎化が挙げられます。若い世代が都市部や国外を目指し、農業従事者が減少しているため、牛の飼育規模を拡大することが困難になっています。加えて、国際的な乳製品価格の変動や、ロシアとの政治緊張による輸出の減少も、経済的な圧力を引き起こしています。

また、気候変動も農業生産性に影響を及ぼしており、飼料の価格や供給の不安定化につながっています。例えば、近年の異常気象による干ばつが牧草地に影響を与え、一部の農家にとって牛の飼育が経済的に持続可能でなくなっています。

このような状況を改善するためには、いくつかの取り組みが求められます。まず、農村部の雇用創出や魅力的なインフラ整備を通じて若い世代をひきつける政策が必要です。さらに、政府と農業団体が連携し、環境にやさしい持続可能な畜産技術の導入を促進することも重要とされています。また、EU内市場の新たな機会を模索し、輸出先の多様化を図ることも課題の一つです。

加えて、気候変動への適応策も欠かせません。耐干ばつ性の高い飼料作物の開発や、地下水資源の効率的な利用を進めることで、異常気象の影響を軽減することが可能になります。

ラトビアの牛飼養数の推移は、単に農業セクターの変化を示すだけでなく、国全体の経済構造や社会動態を反映したものです。今後、この傾向を持続可能な形で安定させるためには、国内外の政策資源を効果的に活用し、産業を多面的に支える戦略開発が必要です。