Skip to main content

アンティグア・バーブーダの牛飼養数推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アンティグア・バーブーダの牛飼養数は、1961年から2009年までおおむね増加または安定していた一方で、2010年以降急激に減少し、2022年時点では3,257頭となっています。この長期間にわたるデータは、国内畜産業における重要な変化の経緯や背景を明らかにするものであり、特に近年の急激な減少は注目に値します。

年度 飼養数(頭) 増減率
2023年 3,813
17.07% ↑
2022年 3,257
-3.24% ↓
2021年 3,366
-3.11% ↓
2020年 3,474
-4.59% ↓
2019年 3,641
-19.78% ↓
2018年 4,539
-9.22% ↓
2017年 5,000 -
2016年 5,000
-1.3% ↓
2015年 5,066
1.32% ↑
2014年 5,000 -
2013年 5,000 -
2012年 5,000 -
2011年 5,000 -
2010年 5,000
-65.75% ↓
2009年 14,600 -
2008年 14,600
0.69% ↑
2007年 14,500
1.4% ↑
2006年 14,300 -
2005年 14,300 -
2004年 14,300
2.14% ↑
2003年 14,000
1.45% ↑
2002年 13,800
1.47% ↑
2001年 13,600
3.39% ↑
2000年 13,154
-2.56% ↓
1999年 13,500
-3.57% ↓
1998年 14,000
-3.45% ↓
1997年 14,500
-3.33% ↓
1996年 15,000
-4.46% ↓
1995年 15,700
-1.88% ↓
1994年 16,000 -
1993年 16,000 -
1992年 16,000 -
1991年 16,000 -
1990年 16,000 -
1989年 16,000
-11.11% ↓
1988年 18,000 -
1987年 18,000 -
1986年 18,000 -
1985年 18,000
12.5% ↑
1984年 16,000 -
1983年 16,000 -
1982年 16,000
6.67% ↑
1981年 15,000 -
1980年 15,000
15.38% ↑
1979年 13,000
30% ↑
1978年 10,000
28.21% ↑
1977年 7,800
1.3% ↑
1976年 7,700
2.67% ↑
1975年 7,500
0.39% ↑
1974年 7,471
-4.22% ↓
1973年 7,800
-2.5% ↓
1972年 8,000 -
1971年 8,000
2.56% ↑
1970年 7,800
0.65% ↑
1969年 7,750
5.44% ↑
1968年 7,350
5% ↑
1967年 7,000
3.7% ↑
1966年 6,750
-3.57% ↓
1965年 7,000 -
1964年 7,000
16.67% ↑
1963年 6,000
1.69% ↑
1962年 5,900
2.43% ↑
1961年 5,760 -

アンティグア・バーブーダにおける牛飼養数は、1961年時点の5,760頭から1978年には10,000頭、1980年には15,000頭と着実に増加しました。この成長は、当時の農村経済の発展や肉・乳製品の需要拡大、また伝統的な畜産業の共存的な経営によるものと考えられます。しかし、1990年代に入ると増加傾向は止まり、むしろ飼養数の維持に注力する時期が続きました。この間も安定した供給力を維持していたものの、1995年以降は徐々に減少が目立つようになり、特に2010年には飼養数がわずか5,000頭に急減しました。

2010年以降の急激な減少は、いくつかの要因が重なった結果と推測されます。一つの可能性として考えられるのが、環境要因および自然災害の影響です。カリブ海地域はハリケーンや旱魃など自然災害のリスクが高い地域であり、これらが家畜の飼育環境や飼料生産に直接的な悪影響を及ぼすことがあります。加えて、アンティグア・バーブーダにおける土地資源の制約や都市化の進行により、農業や牧畜に適した利用可能な土地が減少している点も考慮すべきです。

また、地政学的な背景を考慮すると、世界的な食糧価格の変動や輸入畜産品への依存度が増加している可能性が示唆されます。国内で飼育された牛の経済的競争力が低下し、海外からの安価な牛肉や乳製品が市場を占めるようになったことで、牧畜業者は収益性の低下に苦しみ、多くが廃業や規模縮小を余儀なくされた可能性があります。

さらに疫病のリスクも、畜産の減少に影響している可能性があります。特定の伝染病が家畜群に流行した場合、政府や農家が強制的な対策を実施しなければならない場合も考えられます。このような場合、飼養環境の復活には多大な時間とコストが必要となります。

このような状況を踏まえ、以下のような具体的な対策が重要です。まず、農業・畜産業の復興を目指し、現地の土地利用計画や育成プログラムの見直しを図るべきです。持続可能な農業技術の導入や、自然災害に強い牧草品種の育成支援も効果的でしょう。また、地域内外の市場への輸出を促進するため、ブランド化や高付加価値化を目指す取り組みも必要です。地域間協力により、他のカリブ諸国と共同で畜産物の需給バランスを改善する枠組みを確立することも一案です。

結論として、アンティグア・バーブーダの牛飼養数はこの50年で劇的な変移を示しており、最近の急激な減少には多くの要因が絡んでいます。この問題に対処するためには、国レベルだけでなく、地域および国際的な協力を活用し、農村経済の再建と家畜生産の持続可能な発展を目指す長期的な戦略を立てることが必要です。