Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、2022年のパラグアイの牛飼養数は13,513,375頭となっています。1961年からの長期推移を見ると、着実な増加傾向を示していますが、2014年の14,465,581頭をピークに近年は減少傾向を見せています。一方で、平均的には過去半世紀で牛飼養数がおよそ3倍に増加しており、パラグアイの畜産業が国内外で重要な役割を果たしていることが分かります。
パラグアイの牛飼養数推移(1961-2022)
年度 | 飼養数(頭) |
---|---|
2022年 | 13,513,375 |
2021年 | 13,919,507 |
2020年 | 14,026,143 |
2019年 | 13,801,993 |
2018年 | 13,500,965 |
2017年 | 13,821,526 |
2016年 | 13,858,584 |
2015年 | 14,216,256 |
2014年 | 14,465,581 |
2013年 | 13,376,456 |
2012年 | 13,291,164 |
2011年 | 12,437,120 |
2010年 | 12,305,442 |
2009年 | 11,643,386 |
2008年 | 10,496,641 |
2007年 | 10,464,001 |
2006年 | 9,982,932 |
2005年 | 9,837,798 |
2004年 | 9,622,340 |
2003年 | 10,128,377 |
2002年 | 9,260,000 |
2001年 | 9,889,260 |
2000年 | 9,736,860 |
1999年 | 9,647,220 |
1998年 | 9,832,800 |
1997年 | 9,793,683 |
1996年 | 9,764,524 |
1995年 | 9,788,400 |
1994年 | 9,100,000 |
1993年 | 8,600,000 |
1992年 | 7,886,000 |
1991年 | 7,626,617 |
1990年 | 8,253,900 |
1989年 | 8,073,625 |
1988年 | 7,779,558 |
1987年 | 7,374,269 |
1986年 | 7,150,815 |
1985年 | 6,956,200 |
1984年 | 6,794,868 |
1983年 | 6,650,689 |
1982年 | 6,551,693 |
1981年 | 6,341,384 |
1980年 | 5,854,400 |
1979年 | 5,703,300 |
1978年 | 5,809,500 |
1977年 | 5,799,900 |
1976年 | 5,567,700 |
1975年 | 5,043,300 |
1974年 | 4,844,700 |
1973年 | 4,756,000 |
1972年 | 4,548,200 |
1971年 | 4,459,000 |
1970年 | 4,340,000 |
1969年 | 4,300,000 |
1968年 | 4,300,000 |
1967年 | 4,300,000 |
1966年 | 4,350,000 |
1965年 | 4,400,000 |
1964年 | 4,350,000 |
1963年 | 4,300,000 |
1962年 | 4,499,565 |
1961年 | 4,695,412 |
パラグアイは南米の内陸国であり、その豊富な牧草地と適した気候により、牛肉生産を中心とした畜産業が突出した経済的な役割を果たしています。1961年には約4,695,412頭であった牛飼養数は、農業の近代化や畜産業の需要増加に支えられ、2022年には13,513,375頭に達しました。これは60年以上で約2.9倍の増加を示しており、畜産業が国の主要な経済基盤の一つとして発展してきたことを物語っています。
特に1976年から1989年にかけて年々増加が顕著で、8,073,625頭に達した時期は南米全体の畜産業の中で注目される存在となりました。しかし、1991年に一時的に牛飼養数が減少し、その後の10年間で緩やかな増減を経ながら、再び2010年代に強い上昇を記録しました。この急激な増加は、パラグアイ産牛肉が高品質であると評価され、海外市場、とりわけブラジルやロシア、欧州連合への輸出が拡大したためと考えられます。
しかしながら、2014年の14,465,581頭をピークに、全体として減少傾向が見られます。これは、2022年では2018年に比べ約1万頭の減少に該当し、一定の停滞要因について考察が求められます。その背景には、気候変動による干ばつや洪水など自然災害の影響、さらには新型コロナウイルスによる物流の混乱などが考えられます。特に自然災害は牧草地の収量低下をもたらし、飼育コストの上昇と牛の健康状態への悪影響を及ぼしました。また、これらの要因が小規模牧場の経営を圧迫し、廃業が増えたことも統計に現れている可能性があります。
さらに、地政学的なリスクも見逃せません。地域内ではブラジルやアルゼンチンといった競争力のある近隣諸国が存在しており、とりわけ牛肉の世界輸出市場では激しい競争が繰り広げられています。パラグアイの畜産業はこうした国際競争の中で、より効率的な生産システムを構築する必要性に迫られています。
この減少傾向に対し、いくつかの具体的な対応策が提案されます。一つは、畜産業における技術革新の導入です。例えば、家畜の健康状態を監視するためのデジタル技術や、気候変動に耐性のある牧草品種の開発が効果的です。また、国際市場へのさらなるアクセスを広げるため、輸出における品質管理基準の整備と認証取得を進めることも重要です。環境保護と経済発展の両立を図るため、持続可能な牧草地利用や森林保護政策を強化する必要もあります。
さらに、地域レベルでの協力体制の強化も効果的です。ラテンアメリカ諸国との連携を深め、畜産業に関する研究・技術交流を進めることが将来の競争力を高める鍵となります。また、国内でのインフラ整備、特に地方部の道路網や輸送手段の向上は、農産物の迅速な輸送に寄与し、輸出効率を高めます。
結論として、パラグアイの牛飼養数の推移は、全体的な増加が牧畜の国の重要性を物語っていますが、近年の減少は注意が必要な課題とされています。これに対応するための技術的革新や政策的支援、地域協力が鍵となります。国際情勢の変化と自然災害に備えつつ、持続可能な畜産業の発展を目指す取り組みが今後の課題であると考えられます。