世界の牛飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

2017年、Food and Agriculture Organization（FAO）のデータによれば、世界の牛の飼養数ランキングにおいて1位はブラジルで約2億1500万頭、2位はインドで約1億9000万頭、3位はアメリカ合衆国で約9400万頭の牛を飼育していました。これらの国は農業や食肉生産、乳製品生産などにおいて主要な役割を果たしており、グローバルにおける畜産業の中心地域です。一方で日本の牛飼養数は約382万頭で世界63位に位置し、アジアの中で中国、インド、パキスタンに次いで中規模の生産国となっています。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	ブラジル	南アメリカ	215,003,578
2	インド	アジア	190,485,261
3	アメリカ合衆国	北アメリカ	93,624,600
4	中国	アジア	61,841,430
5	エチオピア	アフリカ	60,392,019
6	アルゼンチン	南アメリカ	54,793,181
7	パキスタン	アジア	44,400,000
8	メキシコ	南アメリカ	34,277,868
9	スーダン	アフリカ	30,926,000
10	チャド	アフリカ	27,603,203
11	タンザニア連合共和国	アフリカ	27,463,464
12	オーストラリア	オセアニア	26,175,521
13	コロンビア	南アメリカ	24,328,158
14	バングラデシュ	アジア	23,935,000
15	ナイジェリア	アフリカ	20,057,095
16	フランス	ヨーロッパ	18,953,568
17	ロシア連邦	ヨーロッパ	18,346,089
18	ケニア	アフリカ	18,338,810
19	ミャンマー	アジア	17,645,629
20	インドネシア	アジア	16,429,102
21	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	16,058,763
22	ウガンダ	アフリカ	14,189,000
23	トルコ	アジア	14,080,155
24	パラグアイ	南アメリカ	13,821,526
25	ニジェール	アフリカ	13,550,559
26	南アフリカ	アフリカ	12,953,388
27	ウズベキスタン	アジア	12,471,000
28	ドイツ	ヨーロッパ	12,281,195
29	南スーダン	アフリカ	11,837,500
30	ウルグアイ	南アメリカ	11,739,000
31	カナダ	北アメリカ	11,510,000
32	マリ	アフリカ	11,415,900
33	マダガスカル	アフリカ	10,322,680
34	ニュージーランド	オセアニア	10,145,902
35	イギリス	ヨーロッパ	10,004,000
36	ブルキナファソ	アフリカ	9,647,073
37	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	9,304,000
38	アイルランド	ヨーロッパ	7,363,498
39	ネパール	アジア	7,347,487
40	ギニア	アフリカ	7,129,251
41	カザフスタン	アジア	6,764,212
42	スペイン	ヨーロッパ	6,465,747
43	ポーランド	ヨーロッパ	6,143,083
44	イタリア	ヨーロッパ	5,949,393
45	カメルーン	アフリカ	5,822,972
46	ベトナム	アジア	5,654,901
47	ペルー	南アメリカ	5,535,569
48	ジンバブエ	アフリカ	5,333,343
49	ニカラグア	南アメリカ	5,028,780
50	アンゴラ	アフリカ	4,980,370
51	アフガニスタン	アジア	4,977,000
52	イラン（イスラム共和国）	アジア	4,879,363
53	ソマリア	アフリカ	4,800,000
54	タイ	アジア	4,680,000
55	中央アフリカ共和国	アフリカ	4,448,224
56	モンゴル	アジア	4,388,455
57	エジプト	アフリカ	4,387,289
58	ベラルーシ	ヨーロッパ	4,361,400
59	エクアドル	南アメリカ	4,190,611
60	オランダ	ヨーロッパ	4,030,000
61	キューバ	南アメリカ	3,865,500
62	グアテマラ	南アメリカ	3,848,553
63	日本	アジア	3,822,000
64	ザンビア	アフリカ	3,718,729
65	ウクライナ	ヨーロッパ	3,682,300
66	セネガル	アフリカ	3,587,000
67	大韓民国	アジア	3,428,330
68	モロッコ	アフリカ	3,364,000
69	ドミニカ共和国	南アメリカ	3,000,000
70	ナミビア	アフリカ	2,951,510
71	チリ	南アメリカ	2,890,840
72	カンボジア	アジア	2,871,481
73	ホンジュラス	南アメリカ	2,815,415
74	フィリピン	アジア	2,547,614
75	アゼルバイジャン	アジア	2,476,339
76	ベナン	アフリカ	2,400,000
77	ベルギー	ヨーロッパ	2,385,988
78	トルクメニスタン	アジア	2,381,796
79	タジキスタン	アジア	2,317,294
80	エリトリア	アフリカ	2,113,239
81	ルーマニア	ヨーロッパ	2,049,700
82	ラオス人民民主共和国	アジア	1,984,000
83	オーストリア	ヨーロッパ	1,954,391
84	モザンビーク	アフリカ	1,951,337
85	ガーナ	アフリカ	1,901,000
86	イラク	アジア	1,899,370
87	アルジェリア	アフリカ	1,895,126
88	モーリタニア	アフリカ	1,873,677
89	イエメン	アジア	1,671,954
90	ポルトガル	ヨーロッパ	1,670,000
91	コートジボワール	アフリカ	1,666,978
92	キルギスタン	アジア	1,575,434
93	デンマーク	ヨーロッパ	1,545,417
94	スイス	ヨーロッパ	1,544,612
95	パナマ	南アメリカ	1,523,000
96	マラウイ	アフリカ	1,508,299
97	ハイチ	南アメリカ	1,507,970
98	コスタリカ	南アメリカ	1,481,399
99	スウェーデン	ヨーロッパ	1,448,590
100	チェコ	ヨーロッパ	1,421,242
101	ルワンダ	アフリカ	1,166,187
102	ボツワナ	アフリカ	1,100,375
103	コンゴ民主共和国	アフリカ	1,080,993
104	ブルンジ	アフリカ	1,077,539
105	スリランカ	アジア	1,000,880
106	グルジア	アジア	962,700
107	セルビア	ヨーロッパ	898,650
108	フィンランド	ヨーロッパ	893,178
109	エルサルバドル	南アメリカ	885,564
110	ノルウェー	ヨーロッパ	885,292
111	ハンガリー	ヨーロッパ	852,000
112	シリア・アラブ共和国	アジア	833,130
113	マレーシア	アジア	703,832
114	ギニアビサウ	アフリカ	702,202
115	リトアニア	ヨーロッパ	694,752
116	アルメニア	アジア	655,771
117	チュニジア	アフリカ	646,000
118	ギリシャ	ヨーロッパ	610,690
119	エスワティニ	アフリカ	602,248
120	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	576,000
121	ブルガリア	ヨーロッパ	557,866
122	シエラレオネ	アフリカ	546,881
123	イスラエル	アジア	509,100
124	スロベニア	ヨーロッパ	488,598
125	アルバニア	ヨーロッパ	475,215
126	レソト	アフリカ	461,573
127	クロアチア	ヨーロッパ	450,757
128	トーゴ	アフリカ	450,643
129	スロバキア	ヨーロッパ	446,112
130	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	444,522
131	ラトビア	ヨーロッパ	412,314
132	ガンビア	アフリカ	396,554
133	オマーン	アジア	389,130
134	サウジアラビア	アジア	364,958
135	コンゴ	アフリカ	338,492
136	ジブチ	アフリカ	306,601
137	ブータン	アジア	303,250
138	北マケドニア	ヨーロッパ	255,036
139	エストニア	ヨーロッパ	250,900
140	プエルトリコ	南アメリカ	239,056
141	東ティモール	アジア	227,739
142	リビア	アフリカ	204,196
143	ルクセンブルク	ヨーロッパ	202,281
144	モルドバ共和国	ヨーロッパ	182,339
145	ジャマイカ	南アメリカ	160,000
146	中国、台湾 中国省	アジア	143,993
147	ガイアナ	南アメリカ	107,395
148	アラブ首長国連邦	アジア	106,177
149	バヌアツ	オセアニア	100,000
150	ベリーズ	南アメリカ	99,860
151	パプアニューギニア	オセアニア	92,673
152	モンテネグロ	ヨーロッパ	86,649
153	フィジー	オセアニア	86,463
154	レバノン	アジア	85,169
155	ニューカレドニア	オセアニア	83,304
156	アイスランド	ヨーロッパ	80,895
157	ヨルダン	アジア	75,500
158	キプロス	アジア	66,862
159	コモロ	アフリカ	50,960
160	サモア	オセアニア	46,737
161	リベリア	アフリカ	42,639
162	パレスチナ国	アジア	40,813
163	ガボン	アフリカ	39,340
164	スリナム	南アメリカ	35,995
165	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	34,550
166	クウェート	アジア	30,630
167	カーボベルデ	アフリカ	29,599
168	カタール	アジア	24,958
169	ミクロネシア連邦	オセアニア	16,897
170	ソロモン諸島	オセアニア	15,066
171	マルタ	ヨーロッパ	14,184
172	ドミニカ	南アメリカ	13,908
173	トンガ	オセアニア	11,975
174	バルバドス	南アメリカ	10,956
175	セントルシア	南アメリカ	10,720
176	フランス領ポリネシア	オセアニア	7,525
177	バーレーン	アジア	6,898
178	赤道ギニア	アフリカ	5,366
179	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	5,000
180	グレナダ	南アメリカ	4,483
181	モーリシャス	アフリカ	3,815
182	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	3,021
183	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	2,000
184	フェロー諸島	ヨーロッパ	1,895
185	中国、香港特別行政区	アジア	1,557
186	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,375
187	バハマ	南アメリカ	751
188	ブルネイ ダルサラーム	アジア	651
189	セーシェル	アフリカ	290
190	シンガポール	アジア	189
191	クック諸島	オセアニア	124
192	ニウエ	オセアニア	113
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このデータは、牛飼養数という指標が、食肉や乳製品の生産量、農業の経済的影響、さらには国土利用や環境負荷にどのように関連しているかを知るための重要な手がかりを提供します。畜産は多くの国で食料供給の中核を成し、経済に大きな貢献を果たしていますが、同時に地球環境への影響という課題を抱えています。

ブラジルが1位となっているのは、同国が広大な土地を持ち、牛肉生産の世界輸出大国であることが背景にあります。この大規模な生産は経済的にはプラス要素ですが、アマゾン熱帯雨林の伐採や家畜によるメタンガスの排出など、環境破壊への影響も指摘されています。また、2位のインドは牛を神聖視する文化的背景もあり、牛肉消費よりも乳製品生産に重きを置いた牛の飼育が特徴的です。これに対し、3位のアメリカ合衆国では、非常に効率的な大規模畜産が行われており、牛肉輸出が国際市場で大きなシェアを持っています。

一方、中国やインド以外のアジア諸国では、牛の飼養数はインドほど多くはありませんが、地域需要に対応した規模の飼育が進んでいます。日本の牛飼養数が約382万頭で世界63位にランクインしているのは、国内市場向けの和牛や乳製品需要に特化していることによるものと言えます。韓国の飼養数（約343万頭）に近い規模であり、両国はアジアの中で高度化された畜産業のモデルケースとも位置づけられます。

このランキングが示すもう一つの重要な点は、アフリカ全土における飼養数の分布です。例えばエチオピアが5位、スーダンが9位にランクインするなど、アフリカでの牛飼養数は少なくありません。これらの地域では、牛は農業用労働力としても重要であり、食糧や収入源として多面的な役割を果たしています。しかしながら、牧草地の質や家畜の健康、栄養管理が十分ではない地域も多く、飢餓や水資源不足の影響にさらされやすいため、長期的な畜産業の持続可能性が懸念されています。

地政学的リスクとして注視すべきは、紛争地帯や自然災害の影響が牛の飼養に及ぼす影響です。特にスーダンや南スーダンのような政治的に不安定な地域では、紛争が家畜の健康維持や飼料供給に支障をきたしており、国際社会の支援が不可欠です。また、世界的に気候変動の進行によって牧草地の縮小や水資源不足が進んでいるため、畜産業が生態系に与える負担を軽減するための政策が求められています。

日本においては、飼養規模が限られているため、品質面で国際市場と競争する資源効率型の畜産が重視されていますが、輸入飼料への依存度の高さや人件費の増加などを克服するため、国内生産基盤の強化が必要です。また、気候変動に対応するため、低排出型の生産技術や循環型農業の普及が急務です。

今後、国際社会においては、畜産活動の効率性向上と持続可能性の確保が喫緊の課題です。例えば、エチオピアやスーダンでの技術支援や教育プログラム、日本ではスマート農業技術の導入の推進が一例です。また、国際機関は環境保護を柱とした家畜管理の基準を策定し、加盟国が採択を進められる枠組み作りを推進すべきです。こうした施策により、持続可能な畜産と環境保護が両立する未来を築くことが可能となるでしょう。