世界の牛飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2016年度の牛飼養数ランキングによると、1位はブラジル（約2億1819万頭）、2位はインド（約1億8915万頭）、3位はアメリカ合衆国（約9188万頭）で、こうした上位3か国が世界の飼養数を大きく牽引しています。アフリカ地域では、エチオピア（5位、約5949万頭）が最多であり、アジア地域では中国（4位、約6339万頭）が続いています。日本は62位（約382万頭）に位置しており、近隣国である韓国（67位、約338万頭）と比較してもやや高い飼養数を維持しています。一方で、牛飼養の少ない国としては、シンガポールやクック諸島などがあり、それぞれ数百頭以下で構成されています。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	ブラジル	南アメリカ	218,190,768
2	インド	アジア	189,154,198
3	アメリカ合衆国	北アメリカ	91,888,000
4	中国	アジア	63,390,530
5	エチオピア	アフリカ	59,486,667
6	アルゼンチン	南アメリカ	52,636,778
7	パキスタン	アジア	42,800,000
8	メキシコ	南アメリカ	33,779,290
9	スーダン	アフリカ	30,632,000
10	タンザニア連合共和国	アフリカ	27,101,741
11	チャド	アフリカ	26,211,379
12	オーストラリア	オセアニア	24,971,349
13	バングラデシュ	アジア	23,785,000
14	コロンビア	南アメリカ	22,555,549
15	ケニア	アフリカ	20,529,190
16	ナイジェリア	アフリカ	19,884,104
17	フランス	ヨーロッパ	19,373,382
18	ロシア連邦	ヨーロッパ	18,620,932
19	ミャンマー	アジア	16,570,928
20	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	16,494,055
21	インドネシア	アジア	16,004,097
22	ウガンダ	アフリカ	14,368,000
23	トルコ	アジア	13,994,071
24	パラグアイ	南アメリカ	13,858,584
25	南アフリカ	アフリカ	13,400,272
26	ニジェール	アフリカ	12,783,548
27	ドイツ	ヨーロッパ	12,466,586
28	ウズベキスタン	アジア	12,181,000
29	ウルグアイ	南アメリカ	11,993,000
30	南スーダン	アフリカ	11,830,800
31	カナダ	北アメリカ	11,610,000
32	マリ	アフリカ	10,941,300
33	マダガスカル	アフリカ	10,301,490
34	ニュージーランド	オセアニア	10,151,854
35	イギリス	ヨーロッパ	10,033,000
36	ブルキナファソ	アフリカ	9,457,934
37	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	9,119,000
38	ネパール	アジア	7,302,808
39	アイルランド	ヨーロッパ	7,221,200
40	ギニア	アフリカ	6,758,600
41	カザフスタン	アジア	6,413,205
42	スペイン	ヨーロッパ	6,257,057
43	ポーランド	ヨーロッパ	5,939,046
44	イタリア	ヨーロッパ	5,929,767
45	カメルーン	アフリカ	5,829,739
46	ジンバブエ	アフリカ	5,528,242
47	ペルー	南アメリカ	5,525,454
48	イラン（イスラム共和国）	アジア	5,504,972
49	ベトナム	アジア	5,496,557
50	アフガニスタン	アジア	5,234,400
51	アンゴラ	アフリカ	5,078,430
52	ニカラグア	南アメリカ	5,054,372
53	エジプト	アフリカ	5,012,217
54	ソマリア	アフリカ	4,850,000
55	タイ	アジア	4,700,000
56	中央アフリカ共和国	アフリカ	4,531,428
57	ベラルーシ	ヨーロッパ	4,298,300
58	オランダ	ヨーロッパ	4,294,000
59	エクアドル	南アメリカ	4,127,311
60	モンゴル	アジア	4,080,936
61	キューバ	南アメリカ	4,013,900
62	日本	アジア	3,824,000
63	ザンビア	アフリカ	3,793,263
64	グアテマラ	南アメリカ	3,768,400
65	ウクライナ	ヨーロッパ	3,750,000
66	セネガル	アフリカ	3,549,369
67	大韓民国	アジア	3,381,287
68	モロッコ	アフリカ	3,300,000
69	ナミビア	アフリカ	3,173,767
70	ドミニカ共和国	南アメリカ	2,994,143
71	カンボジア	アジア	2,881,394
72	チリ	南アメリカ	2,820,774
73	ホンジュラス	南アメリカ	2,800,567
74	フィリピン	アジア	2,553,747
75	ベルギー	ヨーロッパ	2,501,349
76	アゼルバイジャン	アジア	2,484,272
77	トルクメニスタン	アジア	2,346,289
78	ベナン	アフリカ	2,339,000
79	タジキスタン	アジア	2,278,072
80	エリトリア	アフリカ	2,108,957
81	ルーマニア	ヨーロッパ	2,092,414
82	アルジェリア	アフリカ	2,081,306
83	オーストリア	ヨーロッパ	1,957,610
84	モーリタニア	アフリカ	1,953,000
85	ラオス人民民主共和国	アジア	1,923,000
86	モザンビーク	アフリカ	1,861,346
87	イラク	アジア	1,860,887
88	ガーナ	アフリカ	1,815,000
89	イエメン	アジア	1,697,277
90	コートジボワール	アフリカ	1,639,180
91	ポルトガル	ヨーロッパ	1,635,000
92	デンマーク	ヨーロッパ	1,568,288
93	スイス	ヨーロッパ	1,555,396
94	パナマ	南アメリカ	1,554,200
95	キルギスタン	アジア	1,527,763
96	ボツワナ	アフリカ	1,500,000
97	ハイチ	南アメリカ	1,495,766
98	マラウイ	アフリカ	1,470,895
99	スウェーデン	ヨーロッパ	1,436,050
100	チェコ	ヨーロッパ	1,415,658
101	コスタリカ	南アメリカ	1,390,917
102	ルワンダ	アフリカ	1,214,244
103	シリア・アラブ共和国	アジア	1,090,000
104	コンゴ民主共和国	アフリカ	1,044,874
105	グルジア	アジア	992,100
106	スリランカ	アジア	945,150
107	エルサルバドル	南アメリカ	941,703
108	フィンランド	ヨーロッパ	909,021
109	セルビア	ヨーロッパ	892,751
110	ノルウェー	ヨーロッパ	872,145
111	ハンガリー	ヨーロッパ	821,000
112	ブルンジ	アフリカ	769,991
113	マレーシア	アジア	737,827
114	リトアニア	ヨーロッパ	722,602
115	アルメニア	アジア	701,535
116	ギニアビサウ	アフリカ	693,350
117	チュニジア	アフリカ	646,100
118	ギリシャ	ヨーロッパ	608,857
119	エスワティニ	アフリカ	605,259
120	シエラレオネ	アフリカ	579,793
121	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	576,000
122	ブルガリア	ヨーロッパ	550,201
123	イスラエル	アジア	506,700
124	レソト	アフリカ	494,007
125	アルバニア	ヨーロッパ	492,393
126	スロベニア	ヨーロッパ	484,192
127	ガンビア	アフリカ	465,381
128	スロバキア	ヨーロッパ	457,586
129	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	455,191
130	トーゴ	アフリカ	446,183
131	クロアチア	ヨーロッパ	444,613
132	ラトビア	ヨーロッパ	419,084
133	オマーン	アジア	381,500
134	サウジアラビア	アジア	361,362
135	コンゴ	アフリカ	339,720
136	ジブチ	アフリカ	304,542
137	ブータン	アジア	303,297
138	北マケドニア	ヨーロッパ	254,768
139	エストニア	ヨーロッパ	248,236
140	プエルトリコ	南アメリカ	244,044
141	東ティモール	アジア	228,876
142	リビア	アフリカ	202,849
143	ルクセンブルク	ヨーロッパ	201,416
144	モルドバ共和国	ヨーロッパ	186,116
145	ジャマイカ	南アメリカ	160,000
146	中国、台湾 中国省	アジア	147,068
147	バヌアツ	オセアニア	115,540
148	ガイアナ	南アメリカ	110,707
149	アラブ首長国連邦	アジア	108,384
150	ベリーズ	南アメリカ	97,806
151	パプアニューギニア	オセアニア	92,833
152	モンテネグロ	ヨーロッパ	89,269
153	レバノン	アジア	86,265
154	ニューカレドニア	オセアニア	85,961
155	アイスランド	ヨーロッパ	79,923
156	ヨルダン	アジア	74,742
157	フィジー	オセアニア	70,034
158	キプロス	アジア	63,147
159	コモロ	アフリカ	50,681
160	サモア	オセアニア	48,509
161	リベリア	アフリカ	42,932
162	ガボン	アフリカ	39,471
163	スリナム	南アメリカ	35,763
164	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	34,126
165	カタール	アジア	27,909
166	クウェート	アジア	24,246
167	カーボベルデ	アフリカ	22,902
168	パレスチナ国	アジア	22,820
169	ミクロネシア連邦	オセアニア	17,188
170	ソロモン諸島	オセアニア	15,053
171	マルタ	ヨーロッパ	14,356
172	ドミニカ	南アメリカ	13,932
173	トンガ	オセアニア	11,941
174	バルバドス	南アメリカ	11,034
175	セントルシア	南アメリカ	10,847
176	バーレーン	アジア	8,093
177	フランス領ポリネシア	オセアニア	7,384
178	赤道ギニア	アフリカ	5,338
179	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	5,000
180	モーリシャス	アフリカ	4,533
181	グレナダ	南アメリカ	4,485
182	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	3,266
183	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	2,000
184	フェロー諸島	ヨーロッパ	1,826
185	中国、香港特別行政区	アジア	1,579
186	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,362
187	ブルネイ ダルサラーム	アジア	795
188	バハマ	南アメリカ	750
189	セーシェル	アフリカ	270
190	シンガポール	アジア	189
191	クック諸島	オセアニア	125
192	ニウエ	オセアニア	113
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2016年度の牛飼養数ランキングに基づく分析から、経済、文化、地理条件が生産・飼養力に与える影響が鮮明に読み取れます。牛飼養は肉牛や乳牛の育成を含み、食糧供給や農業経済に重要な役割を果たします。ランキング1位のブラジルは、広大な土地資源と湿潤な気候を持つため牧畜に非常に適しており、特に牛肉生産大国としても知られています。同様に、2位のインドは、牛が宗教的・文化的な観点から重要視され、農村部の労働力や酪農産業としての活用も進んでいます。これらの国々が世界市場における牛関連製品の供給力を担っています。

また、エチオピア（5位）の高順位は特筆すべき点です。アフリカ地域での畜産業は家族単位の小規模な飼養が多く、経済的な基盤として特に重要です。このような国々で牛の飼養数が多い理由には、牛乳や乳製品が日常的な栄養供給源となること、農業や輸送活動に労働力として活用されることが挙げられます。しかし、気候変動や水資源の不足が牧草地や飼料の確保に悪影響を及ぼしている点は見過ごせません。この問題は、将来的にアフリカ全体の畜産業に深刻な影響を与えるリスクを含みます。

日本は62位で、牛飼養数は約382万頭と、アジア地域内では中間的な位置付けにあります。日本の牛飼養の状況は、主に肉牛および乳牛の高品質化に重点が置かれています。規模的には小さいものの、和牛というブランドを活かして高付加価値の輸出も行われています。しかし、人口減少や農業従事者の高齢化、牧草地の減少といった国内特有の構造的な課題に直面しており、持続可能な生産方式や輸入飼料への依存軽減が重要なテーマです。

一方で、中国やアメリカ合衆国のような広大な土地を持つ国々と比較すると、日本や韓国のような小規模農業の国々は、土地資源や輸入飼料への依存度、経済効率性などの観点で異なる課題に直面しています。例えば、環境負荷を軽減するための放牧型畜産への移行や、天然資源の持続可能な利用法の模索が必要です。

さらに、地政学的リスクとして、牛飼養数が紛争地域や疫病の影響を受けやすい点も強調されます。特に東アフリカ地域では内戦や飢饉が飼養継続を妨げ、牛そのものが食糧危機時の貴重な資産として扱われることがあります。また、牛の感染症や輸出入規制の変動が市場供給に波及的な影響を及ぼす可能性もあります。そのため、国際的な協力や獣医サービスの強化が求められています。

未来への具体的な対策としては、以下のような取り組みが考えられます。まず、大規模農業国は、パリ協定などの気候変動対策を優先事項とし、低炭素型の牧畜業の実現を目指すべきです。一方、小規模農業国においては、技術的・経済的支援を通じた生産効率の向上が必要です。また、輸出入の多い国々は、貿易障壁の解消と国際検疫基準の強化を図ることで、安定供給を実現するべきです。そして、地域的な疫病や災害対策を強化するため、牛の健康管理や予防接種プログラムを推進することが望まれます。

全体として、牛飼養数は各国の経済や社会的背景、資源分布を反映した指標であり、将来の課題を解決する上でも重要な意味を持っています。畜産業の環境的持続可能性と経済的発展を両立させるため、より広範な国際協調と技術革新が求められる時代に突入しています。