国際連合食糧農業機関(FAO)が最新データとして公開した2022年度の米生産量ランキングによると、世界一の米生産国は中国(約2億850万トン)、次いでインド(約1億9624万トン)が上位を占めています。この2カ国が世界の米生産量全体で約50%を占めるほど圧倒的なシェアを持っています。日本は約1036万トンで12位に位置し、アメリカ合衆国は約727万トンで14位にランクインしています。アジア諸国が上位を独占しており、米がこの地域の主要な作物であることが明確です。一方で、生産量が極めて低い国々もあり、地域間での差が際立っています。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 208,494,800 |
2 | インド | アジア | 196,245,700 |
3 | バングラデシュ | アジア | 57,189,193 |
4 | インドネシア | アジア | 54,748,977 |
5 | ベトナム | アジア | 42,672,339 |
6 | タイ | アジア | 34,317,028 |
7 | ミャンマー | アジア | 24,680,200 |
8 | フィリピン | アジア | 19,756,392 |
9 | カンボジア | アジア | 11,624,000 |
10 | パキスタン | アジア | 10,983,081 |
11 | ブラジル | 南アメリカ | 10,776,268 |
12 | 日本 | アジア | 10,363,900 |
13 | ナイジェリア | アフリカ | 8,502,000 |
14 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 7,274,170 |
15 | エジプト | アフリカ | 5,800,000 |
16 | ネパール | アジア | 5,486,500 |
17 | 大韓民国 | アジア | 4,998,223 |
18 | マダガスカル | アフリカ | 4,585,000 |
19 | ラオス人民民主共和国 | アジア | 3,594,800 |
20 | ペルー | 南アメリカ | 3,449,365 |
21 | スリランカ | アジア | 3,392,905 |
22 | マリ | アフリカ | 2,864,723 |
23 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 2,856,500 |
24 | コロンビア | 南アメリカ | 2,620,100 |
25 | ギニア | アフリカ | 2,523,305 |
26 | マレーシア | アジア | 2,364,453 |
27 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 2,061,443 |
28 | コートジボワール | アフリカ | 1,993,000 |
29 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 1,692,323 |
30 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 1,576,000 |
31 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 1,500,000 |
32 | セネガル | アフリカ | 1,409,120 |
33 | シエラレオネ | アフリカ | 1,397,000 |
34 | ウルグアイ | 南アメリカ | 1,372,700 |
35 | ガーナ | アフリカ | 1,283,000 |
36 | エクアドル | 南アメリカ | 1,252,800 |
37 | イタリア | ヨーロッパ | 1,236,960 |
38 | アルゼンチン | 南アメリカ | 1,222,426 |
39 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 1,149,000 |
40 | トルコ | アジア | 950,000 |
41 | ガイアナ | 南アメリカ | 929,600 |
42 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 920,095 |
43 | パラグアイ | 南アメリカ | 861,500 |
44 | ウガンダ | アフリカ | 730,000 |
45 | オーストラリア | オセアニア | 691,444 |
46 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 608,681 |
47 | アフガニスタン | アジア | 592,000 |
48 | ベナン | アフリカ | 525,014 |
49 | ニカラグア | 南アメリカ | 504,391 |
50 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 478,473 |
51 | ブルキナファソ | アフリカ | 438,982 |
52 | カザフスタン | アジア | 431,391 |
53 | モーリタニア | アフリカ | 403,000 |
54 | パナマ | 南アメリカ | 390,000 |
55 | モザンビーク | アフリカ | 365,000 |
56 | ウズベキスタン | アジア | 359,147 |
57 | スペイン | ヨーロッパ | 350,420 |
58 | カメルーン | アフリカ | 343,103 |
59 | リベリア | アフリカ | 288,000 |
60 | スリナム | 南アメリカ | 266,204 |
61 | メキシコ | 南アメリカ | 246,989 |
62 | チャド | アフリカ | 231,965 |
63 | ギニアビサウ | アフリカ | 224,000 |
64 | ギリシャ | ヨーロッパ | 214,750 |
65 | エチオピア | アフリカ | 208,000 |
66 | ケニア | アフリカ | 192,299 |
67 | キューバ | 南アメリカ | 183,932 |
68 | トーゴ | アフリカ | 169,608 |
69 | ポルトガル | ヨーロッパ | 155,570 |
70 | マラウイ | アフリカ | 147,000 |
71 | ニジェール | アフリカ | 144,000 |
72 | ハイチ | 南アメリカ | 140,000 |
73 | ルワンダ | アフリカ | 135,075 |
74 | ブルンジ | アフリカ | 127,484 |
75 | タジキスタン | アジア | 110,399 |
76 | コスタリカ | 南アメリカ | 103,740 |
77 | チリ | 南アメリカ | 100,557 |
78 | トルクメニスタン | アジア | 86,285 |
79 | 東ティモール | アジア | 76,000 |
80 | フランス | ヨーロッパ | 64,480 |
81 | ブルガリア | ヨーロッパ | 64,320 |
82 | ザンビア | アフリカ | 62,280 |
83 | 中央アフリカ共和国 | アフリカ | 51,773 |
84 | ホンジュラス | 南アメリカ | 51,129 |
85 | モロッコ | アフリカ | 49,110 |
86 | ガンビア | アフリカ | 44,597 |
87 | キルギスタン | アジア | 44,248 |
88 | ブータン | アジア | 41,049 |
89 | 南スーダン | アフリカ | 36,515 |
90 | スーダン | アフリカ | 33,000 |
91 | グアテマラ | 南アメリカ | 32,000 |
92 | エルサルバドル | 南アメリカ | 23,000 |
93 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 18,981 |
94 | ルーマニア | ヨーロッパ | 16,900 |
95 | ベリーズ | 南アメリカ | 15,364 |
96 | フィジー | オセアニア | 12,991 |
97 | イラク | アジア | 11,637 |
98 | アゼルバイジャン | アジア | 10,715 |
99 | アンゴラ | アフリカ | 10,563 |
100 | ハンガリー | ヨーロッパ | 10,150 |
101 | ブルネイ ダルサラーム | アジア | 4,200 |
102 | ウクライナ | ヨーロッパ | 3,090 |
103 | 南アフリカ | アフリカ | 3,082 |
104 | ソロモン諸島 | オセアニア | 2,754 |
105 | ジンバブエ | アフリカ | 1,923 |
106 | ガボン | アフリカ | 1,730 |
107 | ソマリア | アフリカ | 1,588 |
108 | コンゴ | アフリカ | 1,000 |
109 | エスワティニ | アフリカ | 1,000 |
110 | パプアニューギニア | オセアニア | 887 |
111 | サウジアラビア | アジア | 815 |
112 | アルジェリア | アフリカ | 307 |
113 | プエルトリコ | 南アメリカ | 179 |
114 | ミクロネシア連邦 | オセアニア | 178 |
115 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 125 |
116 | コモロ | アフリカ | 5 |
117 | 中国、香港特別行政区 | アジア | 0 |
2022年の米生産量ランキングから見える世界の農業の現状では、依然としてアジア地域が米の生産と消費において支配的なシェアを占めています。特に、中国とインドが1位、2位を占め、それぞれ約2億トンと約1.96億トンを生産しており、これは米が両国の主要な主食であり、国内市場と輸出市場の双方において重要な資源であることを示しています。また、バングラデシュ、インドネシア、ベトナム、タイといった国々が続き、総じて温暖で肥沃な地理的条件と長年の農業技術の発展がこの成果に寄与しています。
日本は世界の米生産量12位に位置し、独自の品質とブランドのある米を生産し続けていますが、量としては他のアジアの主要輸出国と比較するとやや少ない結果となっています。これは国内市場での需要が比較的安定していることと、農地面積の制限が影響しています。一方、アメリカは14位にランクインしており、輸出向けの品種改良や効率的な農業技術での生産が特徴です。
しかし、このデータには重要な課題も浮き彫りにされています。アフリカ諸国や中東地域では、米の生産量が総じて低く、多くの国で数百万トン以下にとどまっています。これは、気候条件や灌漑技術の不足、経済的な困難などが影響しているためです。例えばナイジェリアは、アフリカで最も大きな生産量を持ちながらも、約850万トンにとどまっており、需要と供給のギャップが課題とされています。このような地域では、米の自給率向上のための技術支援や投資が強く求められています。
また、地政学的リスクも見逃せない要素です。例えば、インドや中国のように隣国と国境線を共有する国々では、水資源の奪い合いや気候変動による不安定な降雨量が、米の生産に直接影響を与える可能性があります。一方で、多くの脆弱な国々が、紛争や経済制裁といった問題を抱えており、これが食糧不足や価格高騰をもたらすリスク要因となっています。
米の生産に関連する重大なリスクの中では、近年の気候変動も無視できません。洪水や干ばつ、台風などの異常気象がアジア地域を襲うことで、収穫量が急減する危険性は十分に考えられます。これに対応するため、例えば灌漑技術や水資源の効率利用を改善すること、気候変動に強い新品種の開発をさらに加速させるべきです。
今後の対策として必要なのは、地域別に異なるアプローチを取ることです。すでに高い米生産力を持つ国々では、生産効率と輸送インフラの整備、さらには国際市場での価格競争力を高めることが優先されます。一方、米の生産が不十分な国々では、灌漑施設の整備や農民への資金援助、技術開発が必須です。また、国際的な協力を通じて、輸出入のバランスを考慮した食糧配分の仕組みを構築するべきです。
結論として、2022年のデータは、世界における米の生産と需要が未だに地域的偏りを持っていることを示しています。短期的には、飢餓や食糧価格の高騰に伴う不安定な社会情勢に対応しつつ、長期的には持続可能で効率的な農業を推進するための具体的な政策が国際的に必要です。国連やFAOを含む国際機関が、技術援助や投資の橋渡し役として積極的な行動をとることが期待されます。