国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、ブルキナファソの米の生産量は1961年の30,171トンから2022年の438,982トンまで、概ね増加傾向を見せています。近年では2010年以降急速な成長が見られ、特に2020年には451,421トンに達し、過去最高を記録しました。しかし一方で、エネルギー資源や地政学的リスクが農業の安定性に影響を及ぼしており、課題も浮き彫りとなっています。
ブルキナファソの米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 438,982 |
2021年 | 451,014 |
2020年 | 451,421 |
2019年 | 376,527 |
2018年 | 350,392 |
2017年 | 325,566 |
2016年 | 384,690 |
2015年 | 325,138 |
2014年 | 347,501 |
2013年 | 305,382 |
2012年 | 319,390 |
2011年 | 240,866 |
2010年 | 270,658 |
2009年 | 213,584 |
2008年 | 195,102 |
2007年 | 68,916 |
2006年 | 113,700 |
2005年 | 93,516 |
2004年 | 74,501 |
2003年 | 95,494 |
2002年 | 89,104 |
2001年 | 109,868 |
2000年 | 103,087 |
1999年 | 94,209 |
1998年 | 88,998 |
1997年 | 89,516 |
1996年 | 111,807 |
1995年 | 84,025 |
1994年 | 61,009 |
1993年 | 53,809 |
1992年 | 46,700 |
1991年 | 38,600 |
1990年 | 47,800 |
1989年 | 41,841 |
1988年 | 39,080 |
1987年 | 21,790 |
1986年 | 37,949 |
1985年 | 50,334 |
1984年 | 40,993 |
1983年 | 40,000 |
1982年 | 42,800 |
1981年 | 45,238 |
1980年 | 40,212 |
1979年 | 46,922 |
1978年 | 39,721 |
1977年 | 37,610 |
1976年 | 45,449 |
1975年 | 39,900 |
1974年 | 35,200 |
1973年 | 31,100 |
1972年 | 33,604 |
1971年 | 36,879 |
1970年 | 36,285 |
1969年 | 39,068 |
1968年 | 40,905 |
1967年 | 43,540 |
1966年 | 30,000 |
1965年 | 24,700 |
1964年 | 34,000 |
1963年 | 25,000 |
1962年 | 45,220 |
1961年 | 30,171 |
ブルキナファソの米生産量推移を見ると、数十年に渡る増加傾向が確認できます。1961年から1980年代初頭まではおおむね4万トン前後で推移していましたが、1985年以降、生産量の上昇が徐々に顕著になりました。1990年代になると再び安定と成長を見せる一方、一部の年度では異常気象や社会的な混乱による減少の兆しも見られます。例えば1987年には21,790トンと急減し、統計の中でも最も低い生産量となっています。これは西アフリカ地域での混乱や天候不順の影響を受けた結果と考えられます。しかし、その後、技術革新や政策の改善により1990年代末から21世紀に入ると飛躍的な成長を遂げ、2008年以降には10万トンを大きく突破しました。
また、2010年以降になると特に目覚ましい増加が観測され、2020年には初めて45万トンを超えました。この急激な成長は主に農業技術の進化、灌漑整備、および政府の農業支援政策の拡大によるものです。また、地域住民の自給自足を超える生産協力に加え、中国やインドなど農業支援を積極的に行う国からの支援も一役買っています。しかし、その一方で、近年は地域的な紛争や気候変動の影響もあり、生産がやや停滞する傾向も見られます。2022年の438,982トンは前年をやや下回る結果であり、これが一時的な停滞か、それとも構造的な課題であるのかについて注目されます。
ブルキナファソは現在も農業が主要な産業であり、米の生産は国内の食糧安定の要となっています。しかし、課題としては気候変動による干ばつや降雨量の変動、安定した灌漑設備の不足が深刻です。また、西アフリカ地域特有の地政学的リスク、特に隣接する国々での政治的不安定や過去の大規模な砂嵐が農業全般に及ぼす影響も無視できません。さらに、ブルキナファソの経済規模(GDP)の限界から、資金力による技術導入や肥料への依存が制限される部分も課題として挙げられます。
これらを踏まえると、持続可能な生産システムを目指す対策が必要不可欠です。具体的には、灌漑施設の整備を国際機関や他国の協力によって進めることが重要です。例えば、西アフリカ諸国との地域協力の枠組みを活用し、水資源の共同管理や設備の共同開発に取り組むべきです。また、現地の農業従事者に対して、気候変動に対応する農作物の多様化を推奨し、例えば耐乾性の高い品種の米や輪作技術の普及を促すことも有効です。さらに、自然災害や紛争の影響を緩和するために、国内安定化政策の他、農業分野を中心とした外貨投資の誘致が求められます。
結論として、ブルキナファソの米生産は多くのポテンシャルを抱えつつも、依然として地政学的リスクや気候変動の課題に直面しています。しかし、効率的な農業支援政策と国際的な協力体制を強化すれば、国内食糧自給率のさらなる向上が期待されるでしょう。そして、それはブルキナファソ全体の経済と社会の安定に直接的に寄与する重要な役割を果たすと考えられます。