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ブータンの米生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の2024年7月に更新されたデータによると、ブータンにおける米生産量は1961年の37,000トンから2017年には86,385トンへと継続的に増加していましたが、その後は著しい減少傾向が現れています。2021年には40,508トンと急激に落ち込み、2022年でもわずか41,049トンと低水準に留まっています。このデータは、農業生産に対する持続的な支援の必要性、特に気候変動や地政学的状況の影響を受けやすい地域における対策の重要性を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 40,804
-0.6% ↓
2022年 41,049
1.34% ↑
2021年 40,508
-25.11% ↓
2020年 54,088
8.29% ↑
2019年 49,948
-21.82% ↓
2018年 63,890
-26.04% ↓
2017年 86,385
3.66% ↑
2016年 83,332
3.83% ↑
2015年 80,261
4.75% ↑
2014年 76,621
-2.68% ↓
2013年 78,730
0.92% ↑
2012年 78,014
-0.91% ↓
2011年 78,730
9.9% ↑
2010年 71,637
7.9% ↑
2009年 66,393
-14.21% ↓
2008年 77,391
3.98% ↑
2007年 74,432
2.65% ↑
2006年 72,513
6.66% ↑
2005年 67,982
25.14% ↑
2004年 54,324
20.98% ↑
2003年 44,902
20.09% ↑
2002年 37,391
-6.52% ↓
2001年 40,000
-9.71% ↓
2000年 44,300
-5.66% ↓
1999年 46,958
-2.33% ↓
1998年 48,076
-2.25% ↓
1997年 49,184
-0.58% ↓
1996年 49,473
-1.05% ↓
1995年 50,000
11.11% ↑
1994年 45,000
8.03% ↑
1993年 41,655
6.09% ↑
1992年 39,262
3.89% ↑
1991年 37,793
-31.48% ↓
1990年 55,157
28.27% ↑
1989年 43,000
-0.33% ↓
1988年 43,141
-33.63% ↓
1987年 65,000
3.17% ↑
1986年 63,000
1.61% ↑
1985年 62,000
-6.06% ↓
1984年 66,001
10% ↑
1983年 60,000
2.56% ↑
1982年 58,500
1.92% ↑
1981年 57,400
1.41% ↑
1980年 56,600
2.91% ↑
1979年 55,000
1.85% ↑
1978年 54,000
1.89% ↑
1977年 53,000
1.92% ↑
1976年 52,000
1.96% ↑
1975年 51,000
2% ↑
1974年 50,000
2.04% ↑
1973年 49,000
2.08% ↑
1972年 48,000
2.13% ↑
1971年 47,000
2.17% ↑
1970年 46,000
2.22% ↑
1969年 45,000
2.27% ↑
1968年 44,000
2.33% ↑
1967年 43,000
2.38% ↑
1966年 42,000
2.44% ↑
1965年 41,000
2.5% ↑
1964年 40,000
2.56% ↑
1963年 39,000
2.63% ↑
1962年 38,000
2.7% ↑
1961年 37,000 -

ブータンの米生産量は、1961年から2017年にかけておおむね拡大しており、特に1980年以降は技術革新や農業政策の改善がその背景にあると考えられます。例えば、1973年の49,000トンから1983年の60,000トンへの成長は、農業インフラの整備や耕作地の拡大が寄与した可能性があります。しかし、1988年から1999年までの期間には、収穫量が43,000トン前後にまで落ち込み、生産量が一時停滞していることから、自然災害や生産システムの課題に直面していたことが示唆されます。特に1989年には、地域衝突やインフラ不足による農業生産の停滞が影響を与えたとも考えられます。

その後、2000年代に入ると再び回復基調となり、2007年から2017年にかけては、74,432トンから86,385トンへの増加が記録されています。この間の生産性向上は、農業技術の近代化や気候適応型品種の導入が要因となった可能性があります。しかしながら、2018年以降、急激に生産量が減少しており、2021年には過去10年間で最低値となる40,508トンに達しました。この現象については、気候変動による洪水や干ばつの頻発、農地減少、あるいは農業従事者の高齢化や他産業への転換が農業セクターに悪影響を及ぼしていることが関連していると考えられます。

他国と比較すると、日本の稲作は農業機械化や政府の支援策によって安定を保っており、一方でインドやバングラデシュのような近隣諸国も気候変動に適応する品種開発が進んでいます。この相違を考慮すると、ブータンでは地域の農業を強化するための基盤整備が課題であると言えるでしょう。

今後の対策としては、気候変動への適応力を高めるための施策が重要です。具体的には、耐乾燥性や高収量を目指した品種改良、洪水や干ばつに対する灌漑システムの整備、さらには農業従事者への技術支援や若年層への農業教育の促進が求められます。また、農業におけるデジタル技術を利用し、気象データや耕地情報の可視化を進めることで、効率的な生産管理が可能となるでしょう。加えて、地域間協力の枠組みを強化し、農業技術やノウハウを共有することで、全体的な農業生産性を向上させることができます。

地政学的リスクや自然災害は今後も米生産動態に影響を与える可能性があるため、政府や国際機関は持続的で柔軟性のある支援体制を構築することが不可欠です。このような取り組みにより、ブータンの米産業は再び成長基調に乗り、食料安全保障の確立に寄与することでしょう。このことは、地域全体の安定にもつながる重要なステップとなります。