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チリの米生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)の最新データによると、1961年以降、チリの米生産量は大きな変動を繰り返してきました。過去数十年間の生産量は、1979年の181,170トンや2018年の192,808トンといったピークの年もあれば、1969年の36,719トンや2022年の100,557トンといった低迷の年も確認されています。この傾向には、気候変動、技術的な要因、国内外の経済環境が相互に影響していると考えられます。近年の傾向として、米生産量は減少する方向に向かっており、2022年には突出して低い値が記録されました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 109,233
8.63% ↑
2022年 100,557
-31.17% ↓
2021年 146,085
-13.91% ↓
2020年 169,697
-2.97% ↓
2019年 174,897
-9.29% ↓
2018年 192,808
50.79% ↑
2017年 127,866
-26.52% ↓
2016年 174,008
6.39% ↑
2015年 163,560
21.26% ↑
2014年 134,884
3.51% ↑
2013年 130,307
-13.01% ↓
2012年 149,788
14.89% ↑
2011年 130,375
37.71% ↑
2010年 94,673
-25.64% ↓
2009年 127,311
4.87% ↑
2008年 121,400
10.1% ↑
2007年 110,268
-31.22% ↓
2006年 160,315
37.22% ↑
2005年 116,832
-2.04% ↓
2004年 119,265
-15.32% ↓
2003年 140,849
-0.76% ↓
2002年 141,927
-0.93% ↓
2001年 143,261
6.07% ↑
2000年 135,060
121.41% ↑
1999年 61,000
-41.56% ↓
1998年 104,375
19.21% ↑
1997年 87,552
-42.7% ↓
1996年 152,795
4.73% ↑
1995年 145,899
9.63% ↑
1994年 133,080
1.88% ↑
1993年 130,629
-2.17% ↓
1992年 133,531
14.02% ↑
1991年 117,115
-13.89% ↓
1990年 136,012
-26.55% ↓
1989年 185,186
14.14% ↑
1988年 162,251
10.35% ↑
1987年 147,033
16.08% ↑
1986年 126,667
-19.14% ↓
1985年 156,649
-5.07% ↓
1984年 165,010
42.79% ↑
1983年 115,560
-11.91% ↓
1982年 131,180
31.52% ↑
1981年 99,740
4.51% ↑
1980年 95,440
-47.32% ↓
1979年 181,170
72.89% ↑
1978年 104,790
-12.68% ↓
1977年 120,010
22.91% ↑
1976年 97,640
27.83% ↑
1975年 76,380
122.36% ↑
1974年 34,350
-37.49% ↓
1973年 54,953
-36.31% ↓
1972年 86,284
28.59% ↑
1971年 67,100
-11.98% ↓
1970年 76,234
107.61% ↑
1969年 36,719
-60.72% ↓
1968年 93,488
11.3% ↑
1967年 84,000
9.52% ↑
1966年 76,700
-4.07% ↓
1965年 79,956
-0.6% ↓
1964年 80,440
1.48% ↑
1963年 79,270
1.01% ↑
1962年 78,480
-25.06% ↓
1961年 104,720 -

チリの米生産量の推移を見ると、特に1960年代から1980年代にかけての変動が特徴的です。例えば、1969年には36,719トンと極端に低い生産量を記録しましたが、その後、1979年には181,170トンと5倍以上に増加しています。このような大きな変動は当時の農業技術の進展や気候条件、さらに政策的な要因による影響の可能性が考えられます。技術的な進歩により、収穫量が増加した時期もありますが、一方で干ばつや洪水などの自然災害の影響で一時的に生産量が著しく減少した可能性も指摘されています。

特に近年の状況に焦点を当てると、2018年には192,808トンという近年最高の数値が見られた一方で、その後は減少傾向が続き、2022年には100,557トンにまで落ち込みました。この減少傾向は、気候変動に伴う降雨パターンの変化や、農地の縮小、肥料価格の高騰などが原因と推測されます。また、新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の混乱や労働力不足も生産に影響を与えた可能性があります。

チリ国内における米の消費需要は比較的安定しているため、国内生産量の減少は輸入依存度の高さを引き起こしていると考えられます。主要輸入先となる国々には、アジアの米生産大国である中国やインドなどが挙げられますが、これらの国々も自国内の需要拡大や気候変動の影響を受け、輸出量が制限される可能性があります。そのため、安定した供給を続けるには、単に輸入に依存するだけでなく、国内での生産効率を向上させることが求められます。

課題解決のためには、農業用水の効率的な利用や干ばつ対策が急務です。具体的には、先進的な灌漑設備の導入や耐乾燥性の高い品種の開発が必要です。また、地域生産者の協力による共同体的な農業生産の強化や、政府が米生産支援のための補助金制度を展開することも有効です。さらに、輸出国との長期的な取引協定を結び、安定した供給チェーンを作ることも重要な課題となるでしょう。

将来的には気候変動がさらに加速し、農業全般に影響を与えることが予測される中、チリにおける米生産の課題は他国の農業の課題とも深い関連性を持っています。特に、気温の上昇や降水量の変動が激しい地域では、これらのリスクを軽減するための国際的協力が必須です。例えば、気候情報の共有や技術移転を促進する枠組みを通じて、効率的な農業実施のモデルを提案することができるでしょう。

結論として、チリの米生産量の減少を解決するには、短期的な対策として国内生産の効率化と輸入先の確保が必要です。一方で、長期的には気候変動に適応した持続可能な農業政策を評価し実行することが求められます。以上を通じて、国内需要を満たしつつ、食糧安全保障の問題を解決していくことがチリの未来にとって重要です。