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ソマリアの米生産量推移(1961-2022)

国連の食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ソマリアの米生産量は1970年以降大きく変動を見せています。1970年代後半から1980年代前半にかけて生産量が増加した後、1980年代後半には安定期に入りました。しかし1990年代以降は内戦や自然災害などの影響から減少傾向が続き、特に2010年代以降は深刻な低迷が見られます。2022年の時点での生産量は1,588トンであり、全盛期の1989年の19,700トンと比較すると8%以下の水準にまで落ち込んでいます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,588
2021年 1,632
2020年 1,593
2019年 1,538
2018年 1,766
2017年 1,474
2016年 1,375
2015年 2,450
2014年 600
2013年 1,970
2012年 5,356
2011年 4,270
2010年 8,580
2009年 5,200
2008年 10,014
2007年 16,000
2006年 14,339
2005年 14,509
2004年 18,000
2003年 12,000
2002年 12,000
2001年 4,000
2000年 2,000
1999年 2,000
1998年 2,000
1997年 2,809
1996年 2,888
1995年 2,000
1994年 1,650
1993年 5,000
1992年 15,000
1991年 10,000
1990年 15,000
1989年 19,700
1988年 12,000
1987年 12,000
1986年 11,900
1985年 10,600
1984年 4,200
1983年 3,900
1982年 19,000
1981年 19,500
1980年 16,100
1979年 12,400
1978年 11,400
1977年 8,000
1976年 3,600
1975年 3,300
1974年 1,700
1973年 1,600
1972年 2,600
1971年 1,400
1970年 1,000

ソマリアの米生産量データを見ると、1970年から1980年初頭まで、生産量は着実に増加しました。特に1977年から1982年にかけては大きな伸びを示し、最大19,500トンにも到達しています。しかし、それ以降の推移にはいくつかの特徴的なパターンが見られます。

1983年以降の急激な生産量減少は、内戦の深刻化および洪水や旱魃といった自然災害が主要な原因と考えられます。1990年代初頭には生産が再び回復する兆しを見せ、1990年には15,000トンを記録しましたが、1991年から約10年間は一桁台の生産低迷が続きました。一時的に回復する年もありましたが、安定した生産量には至っていません。

2000年代以降、米生産量の推移は依然として不安定であり、2020年代には生産量がさらに縮小しました。この低迷は2つの主な理由に起因します。まず、長引く国内紛争とその結果としての治安悪化です。これにより農作業の継続が困難となり、農業インフラの維持や拡充が著しく制限されています。第二に、気候変動の影響も調査結果から浮かび上がっています。特に乾燥化が進む中で農業用水の確保が難しく、既存の水資源インフラが老朽化していることが、米生産のさらなる阻害要因となっています。

国際的な視点から見ても、ソマリアの米生産状況は著しく低水準です。例えば、近隣諸国であるエチオピアやケニアでは農業分野への公共投資や灌漑技術の導入が進んでおり、米生産量が一定の水準を維持できています。一方でソマリアは、国内体制の不安定さから農業分野への十分な投資が行われていません。

将来に向けた課題としては、国内の農業インフラの再構築と気候変動対策が挙げられます。具体的には、治安の回復と統治能力の向上を通じて農村部の安定化を進めることが求められます。また、灌漑施設の近代化や干ばつ耐性のある農作物の導入といった技術的対応も併せて必要です。さらに、国際援助や地域協力を通じて、農業に関連する人的・資金的リソースを確保することが肝要です。

これらの対策を講じることで、ソマリアは過去のピーク時に匹敵する、あるいはそれを超える米生産量を達成する可能性があります。ただし、これには長期的な取り組みが不可欠です。国際社会は引き続き支援を強化し、国内農業セクターの復興を後押しする必要があります。ソマリアの米生産量の復興は、同国の食糧安全保障や地域全体の安定にも寄与する重要な要素といえるでしょう。