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ソマリアの米生産量推移(1961年~2023年)

国連の食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ソマリアの米生産量は1970年以降大きく変動を見せています。1970年代後半から1980年代前半にかけて生産量が増加した後、1980年代後半には安定期に入りました。しかし1990年代以降は内戦や自然災害などの影響から減少傾向が続き、特に2010年代以降は深刻な低迷が見られます。2022年の時点での生産量は1,588トンであり、全盛期の1989年の19,700トンと比較すると8%以下の水準にまで落ち込んでいます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,000
25.97% ↑
2022年 1,588
-2.73% ↓
2021年 1,632
2.49% ↑
2020年 1,593
3.54% ↑
2019年 1,538
-12.91% ↓
2018年 1,766
19.86% ↑
2017年 1,474
7.16% ↑
2016年 1,375
-43.88% ↓
2015年 2,450
308.33% ↑
2014年 600
-69.54% ↓
2013年 1,970
-63.22% ↓
2012年 5,356
25.43% ↑
2011年 4,270
-50.23% ↓
2010年 8,580
65% ↑
2009年 5,200
-48.08% ↓
2008年 10,014
-37.41% ↓
2007年 16,000
11.59% ↑
2006年 14,339
-1.17% ↓
2005年 14,509
-19.4% ↓
2004年 18,000
50% ↑
2003年 12,000 -
2002年 12,000
200% ↑
2001年 4,000
100% ↑
2000年 2,000 -
1999年 2,000 -
1998年 2,000
-28.8% ↓
1997年 2,809
-2.75% ↓
1996年 2,888
44.42% ↑
1995年 2,000
21.21% ↑
1994年 1,650
-67% ↓
1993年 5,000
-66.67% ↓
1992年 15,000
50% ↑
1991年 10,000
-33.33% ↓
1990年 15,000
-23.86% ↓
1989年 19,700
64.17% ↑
1988年 12,000 -
1987年 12,000
0.84% ↑
1986年 11,900
12.26% ↑
1985年 10,600
152.38% ↑
1984年 4,200
7.69% ↑
1983年 3,900
-79.47% ↓
1982年 19,000
-2.56% ↓
1981年 19,500
21.12% ↑
1980年 16,100
29.84% ↑
1979年 12,400
8.77% ↑
1978年 11,400
42.5% ↑
1977年 8,000
122.22% ↑
1976年 3,600
9.09% ↑
1975年 3,300
94.12% ↑
1974年 1,700
6.25% ↑
1973年 1,600
-38.46% ↓
1972年 2,600
85.71% ↑
1971年 1,400
40% ↑
1970年 1,000 -

ソマリアの米生産量データを見ると、1970年から1980年初頭まで、生産量は着実に増加しました。特に1977年から1982年にかけては大きな伸びを示し、最大19,500トンにも到達しています。しかし、それ以降の推移にはいくつかの特徴的なパターンが見られます。

1983年以降の急激な生産量減少は、内戦の深刻化および洪水や旱魃といった自然災害が主要な原因と考えられます。1990年代初頭には生産が再び回復する兆しを見せ、1990年には15,000トンを記録しましたが、1991年から約10年間は一桁台の生産低迷が続きました。一時的に回復する年もありましたが、安定した生産量には至っていません。

2000年代以降、米生産量の推移は依然として不安定であり、2020年代には生産量がさらに縮小しました。この低迷は2つの主な理由に起因します。まず、長引く国内紛争とその結果としての治安悪化です。これにより農作業の継続が困難となり、農業インフラの維持や拡充が著しく制限されています。第二に、気候変動の影響も調査結果から浮かび上がっています。特に乾燥化が進む中で農業用水の確保が難しく、既存の水資源インフラが老朽化していることが、米生産のさらなる阻害要因となっています。

国際的な視点から見ても、ソマリアの米生産状況は著しく低水準です。例えば、近隣諸国であるエチオピアやケニアでは農業分野への公共投資や灌漑技術の導入が進んでおり、米生産量が一定の水準を維持できています。一方でソマリアは、国内体制の不安定さから農業分野への十分な投資が行われていません。

将来に向けた課題としては、国内の農業インフラの再構築と気候変動対策が挙げられます。具体的には、治安の回復と統治能力の向上を通じて農村部の安定化を進めることが求められます。また、灌漑施設の近代化や干ばつ耐性のある農作物の導入といった技術的対応も併せて必要です。さらに、国際援助や地域協力を通じて、農業に関連する人的・資金的リソースを確保することが肝要です。

これらの対策を講じることで、ソマリアは過去のピーク時に匹敵する、あるいはそれを超える米生産量を達成する可能性があります。ただし、これには長期的な取り組みが不可欠です。国際社会は引き続き支援を強化し、国内農業セクターの復興を後押しする必要があります。ソマリアの米生産量の復興は、同国の食糧安全保障や地域全体の安定にも寄与する重要な要素といえるでしょう。