国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、スリランカの米生産量は長期的には増加傾向を示し、特に2020年と2021年には5,000,000トンを超えるピークを記録しました。しかし、2022年には再び急激に減少し、3,392,905トンに落ち込みました。これは国内の農業政策や気候条件、経済状況に関連していると考えられます。
スリランカの米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 3,392,905 |
2021年 | 5,149,596 |
2020年 | 5,120,924 |
2019年 | 4,592,056 |
2018年 | 3,929,831 |
2017年 | 2,383,153 |
2016年 | 4,420,085 |
2015年 | 4,819,000 |
2014年 | 3,381,000 |
2013年 | 4,621,000 |
2012年 | 3,845,941 |
2011年 | 3,894,890 |
2010年 | 4,300,620 |
2009年 | 3,651,670 |
2008年 | 3,875,000 |
2007年 | 3,131,000 |
2006年 | 3,342,000 |
2005年 | 3,246,000 |
2004年 | 2,628,000 |
2003年 | 3,071,200 |
2002年 | 2,859,480 |
2001年 | 2,695,080 |
2000年 | 2,859,900 |
1999年 | 2,857,100 |
1998年 | 2,692,340 |
1997年 | 2,239,370 |
1996年 | 2,061,520 |
1995年 | 2,809,890 |
1994年 | 2,683,690 |
1993年 | 2,570,000 |
1992年 | 2,339,700 |
1991年 | 2,389,000 |
1990年 | 2,538,000 |
1989年 | 2,063,437 |
1988年 | 2,476,613 |
1987年 | 2,127,832 |
1986年 | 2,588,177 |
1985年 | 2,661,211 |
1984年 | 2,419,700 |
1983年 | 2,483,526 |
1982年 | 2,155,629 |
1981年 | 2,229,346 |
1980年 | 2,133,199 |
1979年 | 1,917,223 |
1978年 | 1,890,493 |
1977年 | 1,677,294 |
1976年 | 1,252,624 |
1975年 | 1,154,161 |
1974年 | 1,602,311 |
1973年 | 1,312,420 |
1972年 | 1,312,450 |
1971年 | 1,395,780 |
1970年 | 1,615,932 |
1969年 | 1,375,959 |
1968年 | 1,359,542 |
1967年 | 1,158,154 |
1966年 | 980,746 |
1965年 | 764,158 |
1964年 | 1,074,049 |
1963年 | 1,045,908 |
1962年 | 1,029,194 |
1961年 | 923,024 |
スリランカの米生産量推移を分析すると、全体的には1961年から2022年にかけて増加の傾向が見られます。この間、生産量は1961年の923,024トンから2020年には5,120,924トンへと約5倍以上に成長しました。しかし、一部の年には大きな変動もあり、その背景には政策や自然災害、国際的な経済動向が影響していることが確認できます。
特に注目されるのは、近年の生産量の大幅な減少です。例えば、2021年の5,149,596トンという記録的な生産量の後、2022年には3,392,905トンまで減少しました。この減少の背景には、政府が化学肥料の使用を禁止し、有機農業を全面的に推進したことが挙げられます。これにより農業生産性が短期間で急落し、農業従事者に大きな打撃を与えたとの報告がありました。また2020年から続く新型コロナウイルスの影響や、それに伴う経済危機も、生産性の低下と食糧確保の不安定要因として関連性が示唆されています。
さらに地政学的なリスクに関して言及すると、スリランカは長い内戦の歴史を抱えており、特に1980年代後半から2000年代初頭までは内戦による農地荒廃や労働力の不足が、米の生産量にも影響を及ぼしました。今後もこうした地政学的リスクが続けば、農業セクターの安定に影響を与える可能性があります。
これらを踏まえ、スリランカの米生産における課題は多く挙げられます。気候変動の影響を受けやすい農業構造、農家の持続可能な収入確保、有機農業への移行のバランス、そして輸出入政策の適正化などがその代表例です。例えば、有機農業への移行は長期的には環境や健康にプラスですが、生産性をフルに向上させるためには科学的な技術支援や、実効性のある移行期間の設定が必要です。
将来的な対策として、まずは施策の安定化と柔軟な政策転換が鍵となります。化学肥料と有機肥料のバランスを取りながら、農家への技術支援や教育の強化を行う必要があります。さらに、灌漑インフラの整備や気候変動対策を進めることで、生産の安定を図ることができます。また、インドや中国といった近隣諸国と協力し、技術支援や食糧輸出入の連携を深めることも重要です。国際機関や国としての支援強化も検討すべきです。
結論として、スリランカは過去のデータから見ても農業生産のポテンシャルが高い国です。しかし、現代の課題に応じた適切な政策とインフラ整備が欠かせません。そして、地域コミュニティや国際社会との連携を強化することで、持続可能な農業成長が期待されます。