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ソロモン諸島の米生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新データによると、ソロモン諸島の米生産量は1960年代のごく僅かな生産量から始まり、1970年代後半に急増した後、一時減少し、その後は比較的安定した量を維持しています。直近の2022年では2,754トンであり、過去35年以上、ほぼ同水準にとどまっています。この推移は、国内農業の発展や社会的・地政学的影響が生産量に大きく関係していることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,753
-0.04% ↓
2022年 2,754
0.19% ↑
2021年 2,748
0.19% ↑
2020年 2,743
-0.38% ↓
2019年 2,754
-0.03% ↓
2018年 2,755
0.29% ↑
2017年 2,747
0.24% ↑
2016年 2,740
0.07% ↑
2015年 2,738
-0.37% ↓
2014年 2,748
-0.37% ↓
2013年 2,759
0.28% ↑
2012年 2,751
-0.96% ↓
2011年 2,777
6.12% ↑
2010年 2,617
4.69% ↑
2009年 2,500
-10.71% ↓
2008年 2,800 -
2007年 2,800
-13.85% ↓
2006年 3,250
8.33% ↑
2005年 3,000
20% ↑
2004年 2,500
28.4% ↑
2003年 1,947
-14.12% ↓
2002年 2,267
8.83% ↑
2001年 2,083
-53.96% ↓
2000年 4,524
39.63% ↑
1999年 3,240
149.23% ↑
1998年 1,300
-32.72% ↓
1997年 1,932
-24.82% ↓
1996年 2,570
-1.87% ↓
1995年 2,619
0.29% ↑
1994年 2,611
0.29% ↑
1993年 2,604
0.29% ↑
1992年 2,596
0.3% ↑
1991年 2,589
0.3% ↑
1990年 2,581
-60.29% ↓
1986年 6,500
9.17% ↑
1985年 5,954
-16.58% ↓
1984年 7,137
-24.72% ↓
1983年 9,481
-10.03% ↓
1982年 10,538
-24% ↓
1981年 13,866
-2.74% ↓
1980年 14,256
39.44% ↑
1979年 10,224
33.51% ↑
1978年 7,658
22.16% ↑
1977年 6,269
63.72% ↑
1976年 3,829
209.54% ↑
1975年 1,237
1.39% ↑
1974年 1,220
0.08% ↑
1973年 1,219
-7.72% ↓
1972年 1,321
-55.92% ↓
1971年 2,997
55.28% ↑
1970年 1,930
35.72% ↑
1969年 1,422
-30.02% ↓
1968年 2,032
1236.84% ↑
1967年 152
-50.16% ↓
1966年 305
8.93% ↑
1965年 280
7.69% ↑
1964年 260
8.33% ↑
1963年 240
9.09% ↑
1962年 220
10% ↑
1961年 200 -

ソロモン諸島における米生産量の推移を見ていくと、1961年の生産量200トンから始まり、逐年増加傾向をたどりましたが、1967年には152トンへ急落しました。その後1968年には2,032トンへと急増し、1970年代は生産量の大きな変動を伴いながら増加が続きました。特に1979年から1980年にかけては10,224トンから14,256トンと急激に伸びを見せました。しかし、1980年代半ば以降は生産量が減少を始め、1990年代からは2,500トン前後で落ち着きを見せています。

この変化の背景には、国内の農業政策や気候条件の変動、さらには地政学的な要因が関与していると考えられます。特に1970年代後半から1980年代初頭にかけての大幅な生産量増加は、農業技術の導入や稲作推進政策の成果である可能性が高いと考えられます。一方で、経済的な停滞やインフラの未整備、さらに1990年代の政治的不安定が農業全体に悪影響を及ぼしたと推測されます。

ソロモン諸島の米生産は、その後、2000年代以降は比較的安定した2,500~3,000トン前後の範囲で推移しています。これは、国内消費の一部を補うには適しているものの、総需要から見ると依然として輸入依存が高い状況を反映しています。また、国内生産が一定の水準以上に伸びない理由として、インフラ設備の改善が遅れていることや、小規模の農村経済が主流であることなど、構造的な課題が挙げられます。

気候変動の影響も見逃すことはできません。ソロモン諸島のような島嶼国は洪水や干ばつなどの異常気象のリスクが高く、これが稲作に悪影響を及ぼしている可能性があります。こうした環境的要因は、同様の課題を持つ他の島国や発展途上国でも観察されています。

今後の課題として、安定した生産量の維持に加え、国際的な支援や協力を活用して農業技術や灌漑システムの導入を進めることが考えられます。特に、日本やインド、中国といった稲作大国と連携し、技術支援や資金援助を得ることで、より効率的な農業体制を整えることが重要です。さらに、地域間の共同事業や農村開発を進めることで、長期的な食糧安全保障への貢献が期待されます。

また、地政学的リスクを考慮し、国際市場への過度な依存を軽減するため、国内生産の向上を目指す必要があります。内需に加え、輸出産業として農業を発展させることが可能になれば、経済的な独立性や地域の安定性が向上するでしょう。国際連合や地域協力機関を通じた包括的な支援体制を構築することが望まれます。

総じて、この数十年間のデータは、早急に解決すべき課題と可能な対策を明示しています。農業政策の改善、技術革新の導入、地域との連携強化を進めることで、ソロモン諸島の米生産量が持続可能な形で拡大していくことを期待したいです。