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カンボジアの米生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月更新)によると、カンボジアの米生産量は長期的には顕著な増加傾向を見せています。特に2000年代以降、技術革新や農業政策の成功を背景に、生産量が急増しています。最新のデータによると2021年に1,220万7,000トンの生産量を記録し、過去最高に達しました。しかし2022年には1,162万4,000トンとやや減少が見られ、これは気候変動や外的要因の影響と考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 11,624,000
2021年 12,207,000
2020年 10,936,000
2019年 10,885,700
2018年 10,892,000
2017年 10,518,000
2016年 9,952,000
2015年 9,335,000
2014年 9,324,000
2013年 9,390,000
2012年 9,290,940
2011年 8,779,000
2010年 8,245,320
2009年 7,585,870
2008年 7,175,473
2007年 6,727,000
2006年 6,264,123
2005年 5,986,200
2004年 4,170,284
2003年 4,710,957
2002年 3,822,509
2001年 4,099,016
2000年 4,026,092
1999年 4,040,900
1998年 3,509,871
1997年 3,414,917
1996年 3,404,000
1995年 3,447,800
1994年 2,223,500
1993年 2,383,350
1992年 2,221,000
1991年 2,400,000
1990年 2,500,000
1989年 2,672,000
1988年 2,500,000
1987年 1,815,000
1986年 2,093,000
1985年 1,812,000
1984年 1,260,000
1983年 2,039,000
1982年 1,949,000
1981年 1,490,000
1980年 1,717,000
1979年 538,000
1978年 1,000,000
1977年 1,000,000
1976年 1,100,000
1975年 1,080,000
1974年 635,000
1973年 1,050,000
1972年 1,927,000
1971年 2,732,000
1970年 3,814,000
1969年 2,503,000
1968年 3,251,000
1967年 2,457,000
1966年 2,376,000
1965年 2,500,000
1964年 2,760,000
1963年 2,622,000
1962年 2,039,000
1961年 2,383,000

カンボジアの米生産は、1960年代には年間200万トンから300万トンで推移しており、その後の1970年代には内戦や政治的不安定な状況が続き、生産量が急激に減少しました。この時期、例として1974年にはわずか63万5,000トンと歴史的な最低水準に落ち込みました。しかし、1980年代に入り、復興が始まるとともに生産量は徐々に増加し、1999年には400万トンを超える大台に達しました。それ以降、特に2000年以降は急激な伸びを見せ、2021年には過去最高の1,220万7,000トンを記録しています。

この急増の背景には、農業技術の進展、灌漑システムの整備、政府の農業支援策の強化があります。加えて、カンボジアの米の需要は国内消費だけでなく、国際市場でも増加しており、特に近年では中国やEU諸国に向けた輸出が大きく寄与しています。

一方で、課題も存在します。生産量の推移からもわかるように、2022年に約1,162万4,000トンと前年度を下回る結果となりました。これは、気候変動による洪水や干ばつなどの影響が背景にあると考えられます。また、インフラ整備が一部の地域で未だ進んでいないことや、農業機械化の普及が限定的である地域もあるため、全体としての効率が十分とは言い難い状況です。

さらに、カンボジアは輸出依存度が高い国の一つであり、世界市場における価格変動や貿易摩擦の影響を受けやすい点もリスクとして挙げられます。特に近年では国際的な物流網の混乱に加え、地域的な紛争や新型コロナウイルスの影響が、米の輸出と生産量にも間接的に影響を与えている可能性があります。

未来への課題の一つとして、気候変動への対策が挙げられます。降雨量の変動や異常気象に対する耐性を高めるため、耐久性のある米の品種開発、計画的な灌漑技術の導入、農業資源の持続可能な利用が不可欠です。加えて、農業機械化やデジタル技術の利用促進により、生産性を向上させることも重要です。これらは生産コストの削減にもつながります。

また、輸出に依存しすぎない安定した農業経済の確立も必要でしょう。これは、例えば国内での加工業(製粉・食品加工産業)の促進や地域間貿易協力の強化といった対応によって達成できます。カンボジアの米農業の拡大途上国に向けた輸出は、経済的には良い兆候ですが、長期的にはバランスの取れた経済構造が求められます。

さらに政府や国際機関が、農家への技術支援と教育プログラムを強化することも鍵となります。これにより、農民自身が持続可能な農業を実施しやすくなり、依存的な状況を脱するきっかけをつくることが期待できます。地政学リスクの回避や、近隣諸国との協力関係の構築を目指し、地域経済圏を安定させることも重要です。

結論として、カンボジアの米生産は、過去の紆余曲折を経て、現在では安定的かつ増大する動向にあります。しかし、気候変動の影響や輸出依存といった課題が残る中、懸命な農業政策の策定と近代化が将来的な持続可能性にとって不可欠です。また、国内外の市場環境の変化や国際協力の枠組みを活用しながら、これらの課題に果敢に対処していくことが求められます。