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モロッコの米生産量推移(1961年~2023年)

モロッコにおける米生産量は、1960年代初頭から長期的な変動を見せています。時代ごとに収穫量の不安定性が大きく、近年では特に2012年から2020年までほぼ安定的に増加を見せる一方で、2021年以降は再び減少に転じています。この状況は、気候変動と水資源問題、または農業技術の改善による影響が顕著に現れていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 56,222
14.48% ↑
2022年 49,110
-3.52% ↓
2021年 50,901
-22.53% ↓
2020年 65,700
1.71% ↑
2019年 64,598
2.48% ↑
2018年 63,037
9.25% ↑
2017年 57,698
8.14% ↑
2016年 53,354
-15.71% ↓
2015年 63,298
91.51% ↑
2014年 33,051
-12.37% ↓
2013年 37,716
-45.77% ↓
2012年 69,554
289.88% ↑
2011年 17,840
-64.69% ↓
2010年 50,520
0.96% ↑
2009年 50,040
12.4% ↑
2008年 44,520
34.3% ↑
2007年 33,150
-2.5% ↓
2006年 34,000
-20.63% ↓
2005年 42,840
45.22% ↑
2004年 29,500
74.56% ↑
2003年 16,900
-36.3% ↓
2002年 26,530
-32.97% ↓
2001年 39,580
57.06% ↑
2000年 25,200
-27.27% ↓
1999年 34,650
73.08% ↑
1998年 20,020
-37.52% ↓
1997年 32,040
-39.96% ↓
1996年 53,360
1437.75% ↑
1995年 3,470
-95.01% ↓
1994年 69,550
30% ↑
1993年 53,500
142.08% ↑
1992年 22,100
-10.09% ↓
1991年 24,580
635.93% ↑
1990年 3,340
-24.26% ↓
1989年 4,410
-86.79% ↓
1988年 33,380
-31.81% ↓
1987年 48,950
139.01% ↑
1986年 20,480
1083.82% ↑
1985年 1,730
-61.89% ↓
1984年 4,540
14.07% ↑
1983年 3,980
9.34% ↑
1982年 3,640
-81.18% ↓
1981年 19,340
-32.71% ↓
1980年 28,740
51.26% ↑
1979年 19,000
-13.64% ↓
1978年 22,000
-7.6% ↓
1977年 23,810
32.57% ↑
1976年 17,960
-38.49% ↓
1975年 29,200
138.37% ↑
1974年 12,250
17.34% ↑
1973年 10,440
-24.89% ↓
1972年 13,900
414.81% ↑
1971年 2,700
-93.25% ↓
1970年 40,000
-21.57% ↓
1969年 51,000
24.39% ↑
1968年 41,000
49.09% ↑
1967年 27,500
10.89% ↑
1966年 24,800
18.1% ↑
1965年 21,000
-16% ↓
1964年 25,000
25% ↑
1963年 20,000
17.65% ↑
1962年 17,000
13.33% ↑
1961年 15,000 -

モロッコの米生産量の推移を振り返ると、1961年から始まるデータは15,000トンという modestな規模からスタートしました。その後、1970年代には不安定な変動を繰り返し、特に1971年には2,700トンまで急落するなど、顕著な減少が見られました。一方で、1987年には48,950トンまで急増するなど、短期的な増産期も確認できます。この生産量の大幅な上下動は、気候条件や灌漑施設の整備状況に依存している可能性が高いです。

注目すべきは、2012年以降の生産量増加傾向です。例えば、2012年には69,554トンと過去最高を記録し、その後2020年には65,700トンに達するなど、高い生産量を維持しています。しかし2021年以降は緩やかな減少が始まり、2022年には49,110トンまで落ち込んでいます。この下落は干ばつの影響や水資源不足、さらには土壌の劣化が関係していると言えるでしょう。

モロッコは、米の主要生産地としては地中海沿岸部や川の流域に適した地域があります。しかしながら、これらの地域でも他の作物との競合が激化しており、米生産が必ずしも優先されていない現状があります。さらに、急激な気候変動と雨季パターンの変化が、収穫期とその質に直接影響を及ぼしています。

地域間比較の視点から見ると、モロッコの米生産量はアジア諸国、例えば中国やインドの主要稲作地域と比較すると非常に小規模です。例えばインドは年間1億8,000万トン以上を生産しており、これはモロッコの生産量の数千倍以上に相当します。しかしながら、アメリカやヨーロッパの一部に近い規模と見なされ、品種や灌漑技術の改良次第では輸入依存からの脱却が可能と考えられます。

一方、モロッコにおける地政学的リスクも無視できません。特に水資源の配分問題が、国内他地域や隣国との間で緊張を生み出す可能性があります。また、長期的にはサハラ砂漠の拡大が農地確保を阻害するリスクも含まれています。

モロッコの米生産を改善するためには、いくつかの具体的な対策が挙げられます。第一に、持続可能な農業技術の導入が急務となります。特に、水資源の効率的な利用を可能にする灌漑技術の革新やドローンを活用した農地管理が必要です。第二に、地域間協力を強化し、農地の適正配分や技術支援を拡大することが求められます。また、品種改良を含む農業研究開発の分野への投資が、生産の安定化と収量向上の鍵となります。加えて、国際的な支援の枠組みを利用し、輸出市場の開拓や栽培技術の向上を図るべきです。

結論として、モロッコの米生産量は過去数十年にわたり変動を繰り返してきましたが、近年では気候変動や水資源問題により新たな課題に直面しています。本データから読み取れるのは、適切な政策と技術支援が行われれば、輸入代替や地域経済の活性化につながる可能性があることです。欧州や米国の事例を参考にしつつ、持続可能なモデルを模索することが、モロッコの米生産にとって重要な次のステップとなるでしょう。