国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ギニアビサウの米生産量は2022年に224,000トンに達し、過去数十年の変動を経て上昇傾向にあります。1960年代の年間約50,000トンから、2020年代には200,000トンを超える水準に伸長しています。一方で、内戦が発生した1990年代後半には生産量が一時的に減少し、2014年にも急激な落ち込みが見られました。この推移は社会的、地政学的影響を受けつつも、近年では持続可能な農業の普及や外部支援の拡大が生産量を押し上げる要因となっています。
ギニアビサウの米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 224,000 |
2021年 | 213,918 |
2020年 | 198,142 |
2019年 | 187,000 |
2018年 | 176,000 |
2017年 | 165,000 |
2016年 | 186,000 |
2015年 | 170,000 |
2014年 | 133,000 |
2013年 | 209,717 |
2012年 | 198,504 |
2011年 | 175,213 |
2010年 | 209,240 |
2009年 | 181,894 |
2008年 | 148,757 |
2007年 | 127,250 |
2006年 | 106,000 |
2005年 | 98,340 |
2004年 | 89,192 |
2003年 | 88,380 |
2002年 | 87,865 |
2001年 | 85,056 |
2000年 | 106,081 |
1999年 | 80,300 |
1998年 | 87,200 |
1997年 | 99,940 |
1996年 | 120,207 |
1995年 | 133,266 |
1994年 | 131,017 |
1993年 | 125,907 |
1992年 | 123,612 |
1991年 | 123,264 |
1990年 | 123,314 |
1989年 | 110,238 |
1988年 | 98,297 |
1987年 | 105,000 |
1986年 | 110,000 |
1985年 | 105,000 |
1984年 | 105,000 |
1983年 | 85,000 |
1982年 | 103,150 |
1981年 | 80,000 |
1980年 | 42,000 |
1979年 | 40,000 |
1978年 | 40,000 |
1977年 | 60,000 |
1976年 | 80,000 |
1975年 | 67,000 |
1974年 | 35,000 |
1973年 | 28,000 |
1972年 | 32,000 |
1971年 | 27,000 |
1970年 | 35,000 |
1969年 | 27,500 |
1968年 | 45,000 |
1967年 | 45,000 |
1966年 | 48,000 |
1965年 | 47,000 |
1964年 | 45,000 |
1963年 | 50,000 |
1962年 | 50,000 |
1961年 | 50,000 |
ギニアビサウの米生産量は、1961年には約50,000トンで推移し、その後長期間にわたり小規模な変動の中で展開してきました。しかし、1969年から1970年代初頭にかけては27,000~35,000トンと持続的に減少し、1971年には最低記録となる27,000トンを記録しました。この減少は、当時の政治的な混乱や、農業基盤の脆弱性が影響していると考えられます。
1970年代後半に入ると、少しずつ回復傾向が見られ、1982年の103,150トン以降は増加が顕著になりました。これに伴い、1986年には110,000トンを記録し、90年代の初頭までおおむね安定した攫上傾向が確認されます。しかし、1990年代後半には内戦がギニアビサウ経済を混乱させ、農業生産にも影響が出ました。この頃の米生産量は1998年に約87,200トン、1999年には約80,300トンと、かなり低い水準に落ち込んでいます。
2000年以降は持ち直し、特に2007年以降は明確な拡大基調が見え始めました。2010年には過去最高記録の209,240トンに届き、その後も概して増産が続き、2022年にはついに224,000トンに達しました。この増加は、農業技術の向上、外部支援によるインフラ整備、気候への適応策が寄与していると見られます。
ただし、これらのポジティブな数値の裏には依然として課題が存在します。例えば、2014年には突然の落ち込みが発生し、生産量が133,000トンと低下しました。これは干ばつや洪水など、自然災害に伴うリスクが顕在化していることを示しており、ギニアビサウの農業が依然として気候変動の影響を強く受けやすい脆弱な体制にあることを浮き彫りにしています。
また、同国の米生産は、輸出よりも国内の自給自足を目的としており、質的向上よりも量的増産に重きを置いています。このため、他国との競争において劣勢になりやすく、特にアフリカの近隣諸国やアジア(日本、中国、インドなど)の高度に近代化された米農業とは大きな差が見られます。例えば、2022年の日本の米生産量は約7,500,000トン、中国では約210,000,000トンと驚異的な規模を誇ります。ギニアビサウがこうした国々と同程度の持続可能な生産能力を構築するには、引き続き大規模な技術移転や外部支援が欠かせません。
今後の課題として、一つ目に災害に強い農業インフラの整備が挙げられます。干ばつや洪水でも被害を最小限に抑えられる潅漑設備や洪水対策が急務です。二つ目に、農業従事者への技術教育を充実させる必要があります。伝統的な農法に依存するだけでは、多雨や高温に対応する持続可能な生産は困難です。三つ目に、輸送や保管の効率化が重要です。生産後の損失を減らし、収益を大幅に向上させるためには、穀物貯蔵施設の整備と道路網の整備が必要です。
また、外部との協力により新しい市場を模索する機会も考えなければなりません。近年、ギニアビサウへの国際援助と技術導入は進展していますが、地域的な協調や国際機関を通じた連携をさらに強化することで、地域の経済全体の底上げにもつながります。
結論として、ギニアビサウの米生産量は長いスパンで見て増加傾向にあり、国家の食料安全保障において重要な進展を遂げています。一方で、災害リスクや農業技術の未熟さが安定した増産の妨げになっています。今後、国内政策と国際的な協力を融合させ、より持続可能で効率的な農業システムを築くことが、次の課題として大変重要です。