Skip to main content

インドの米生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、インドの米生産量は1961年の53,494,496トンから2022年の196,245,700トンへと大幅に増加しました。この62年間で、インドの米生産量は約3.67倍に拡大しており、とりわけ1990年代以降の増加が顕著です。特に近年では年平均3~4%程度の成長を記録しており、2020年代におけるインドは世界最大の米生産国の一つとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 206,727,000
5.34% ↑
2022年 196,245,700
1.05% ↑
2021年 194,200,000
4.13% ↑
2020年 186,500,000
4.6% ↑
2019年 178,305,480
2.05% ↑
2018年 174,716,730
3.3% ↑
2017年 169,136,415
2.79% ↑
2016年 164,539,000
5.07% ↑
2015年 156,604,000
-1.02% ↓
2014年 158,214,000
-1.09% ↓
2013年 159,960,000
1.37% ↑
2012年 157,800,000
-0.06% ↓
2011年 157,900,000
9.68% ↑
2010年 143,963,008
6.11% ↑
2009年 135,672,992
-8.35% ↓
2008年 148,036,000
2.4% ↑
2007年 144,570,000
3.9% ↑
2006年 139,136,992
1.05% ↑
2005年 137,690,096
10.42% ↑
2004年 124,697,104
-6.09% ↓
2003年 132,789,000
23.26% ↑
2002年 107,730,304
-22.99% ↓
2001年 139,900,000
9.76% ↑
2000年 127,464,896
-5.23% ↓
1999年 134,495,904
4.22% ↑
1998年 129,055,000
4.33% ↑
1997年 123,700,000
0.98% ↑
1996年 122,500,000
6.12% ↑
1995年 115,440,000
-5.87% ↓
1994年 122,640,000
1.86% ↑
1993年 120,400,000
10.46% ↑
1992年 109,001,200
-2.71% ↓
1991年 112,042,000
0.47% ↑
1990年 111,517,408
1.09% ↑
1989年 110,310,608
3.71% ↑
1988年 106,368,800
24.64% ↑
1987年 85,338,704
-5.99% ↓
1986年 90,779,408
-5.26% ↓
1985年 95,817,696
9.44% ↑
1984年 87,552,800
-2.77% ↓
1983年 90,048,000
27.24% ↑
1982年 70,771,696
-11.41% ↓
1981年 79,883,008
-0.53% ↓
1980年 80,312,000
26.52% ↑
1979年 63,475,696
-21.25% ↓
1978年 80,608,496
2.03% ↑
1977年 79,005,600
25.3% ↑
1976年 63,051,904
-14.04% ↓
1975年 73,352,000
22.97% ↑
1974年 59,650,000
-9.73% ↓
1973年 66,077,008
12.25% ↑
1972年 58,867,952
-8.88% ↓
1971年 64,602,000
2% ↑
1970年 63,337,808
4.44% ↑
1969年 60,644,544
1.68% ↑
1968年 59,641,808
5.71% ↑
1967年 56,418,304
23.57% ↑
1966年 45,657,008
-0.49% ↓
1965年 45,883,504
-22.18% ↓
1964年 58,962,000
6.24% ↑
1963年 55,497,008
11.38% ↑
1962年 49,825,552
-6.86% ↓
1961年 53,494,496 -

インドの米生産量の推移は、同国の農業政策、技術革新、経済の発展を反映する重要な指標です。1960年代のインドでは、緑の革命と称された農業改革が開始され、灌漑システムの整備、高収量品種の導入、化学肥料の普及が生産性向上に寄与しました。しかしながら、一部の年では大幅な生産量の減少も見られ、これは主に干ばつや洪水などの自然災害、または農業技術の普及が不十分であった結果だと考えられています。例えば1965年と1966年では、米の収穫量が4500万トン台に低迷しており、自然条件の厳しさがその背景にあったとされています。

1980年代後半から2000年代初頭にかけては、安定した成長期に入りました。この期間中、灌漑技術のさらなる発展や農業用機械の普及、政府の米補助金政策が順調な生産拡大を支えた要因です。しかしながら、2002年などの年では、やはり干ばつによる深刻な影響が現れており、生産量が1億トンを割り込むなどの課題も顕在化しています。

最近の2020年代は、インドの米生産量が過去最高値を記録する時期となっています。2022年には約1億9624万トンに達しており、豊かな農地と技術支援がその要因として挙げられます。一方で、地政学的背景や気候変動が与えるリスクも無視できません。インド内外における水資源の競争、特にインダス河流域でのパキスタンとの確執や地政学的な緊張は、農業における長期的なリスク要因として捉える必要があります。また、気候変動による降雨パターンの変化や極端気象イベントは、インドの米生産に深刻な影響を及ぼす可能性があり、特に雨季の不順によるリスクが懸念されています。

インドの米生産拡大は世界においても重要な意味を持っています。インドは国際米輸出市場においてトップシェアを占めており、多くの発展途上国における主食供給源として重要な役割を果たしています。しかし、国内の急速な人口増加に伴い、米の消費量が増加していることもまた事実です。将来的には輸出超過を維持しながら国内需要を賄うためのバランスが重要な課題となるでしょう。

このような背景を考慮すると、今後のインドの課題として、以下の点が挙げられます。まず第一に、気候変動適応型農業技術のさらなる導入が必要です。塩害や干ばつに強い米品種の開発を加速するとともに、精密農業技術を活用し、持続可能な農業体系を構築することが求められます。第二に、農業用水の効率的な利用を徹底する政策が重要です。政府主導でインフラの整備や農民支援プログラムを拡充することで、地元の水資源の適正使用が実現できるでしょう。さらに、国際協力の枠組みを利用して、気候変動に対応する国際資金の活用を図ることも一つの手立てです。

結論として、インドの米生産は現在、世界的に見ても高い水準にあり、その成長は今後も期待されています。しかし、気候変動や地政学的リスクに対応しながら、国内外の需要を満たし続けるためには、政府、学術機関、国際社会が連携し、持続可能な農業政策を維持・拡充していくことが不可欠です。