Skip to main content

オーストラリアの米生産量推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)が最新の2024年度データを用いてまとめたオーストラリアの米生産量に関する統計では、1960年代以降、米生産量は段階的に増加し、1990年代後半から2000年にかけてピークを迎えました。しかしその後、干ばつや気候変動の影響を受け、2020年前後の最低生産量へと減少する局面も見られました。直近の2022年には増加傾向にありましたが、それでも過去のピーク時の水準には到達していません。

年度 生産量(トン)
2022年 691,444
2021年 422,978
2020年 50,226
2019年 66,835
2018年 635,113
2017年 807,304
2016年 273,942
2015年 690,390
2014年 819,276
2013年 1,161,115
2012年 918,733
2011年 723,283
2010年 196,684
2009年 60,868
2008年 17,614
2007年 162,806
2006年 1,002,654
2005年 338,885
2004年 553,114
2003年 438,111
2002年 1,192,202
2001年 1,643,403
2000年 1,100,700
1999年 1,389,800
1998年 1,330,900
1997年 1,388,000
1996年 951,200
1995年 1,137,000
1994年 1,082,000
1993年 955,000
1992年 1,122,000
1991年 787,000
1990年 924,000
1989年 805,000
1988年 761,000
1987年 549,000
1986年 687,000
1985年 864,000
1984年 634,000
1983年 520,000
1982年 857,000
1981年 760,000
1980年 613,163
1979年 692,151
1978年 489,697
1977年 530,000
1976年 417,000
1975年 387,000
1974年 409,000
1973年 309,000
1972年 248,000
1971年 301,000
1970年 250,000
1969年 267,000
1968年 228,000
1967年 221,000
1966年 187,000
1965年 158,000
1964年 146,000
1963年 140,000
1962年 139,000
1961年 118,000

オーストラリアにおける米生産量のデータとその背景を分析すると、特に気候条件が生産量に大きな影響を与えていることがわかります。1961年の118,000トンから段階的に伸び続けた生産量は、1997年から1999年の1,388,000トンから1,389,800トンの間で初めて100万トンを超え、さらに2001年には1,643,403トンと記録的な数値を達成しました。この傾向は、農業技術の進化や国内インフラの整備がもたらした効率的な生産体制の恩恵によるものと考えられます。

しかしながら、2000年代中盤以降、オーストラリアは深刻な干ばつに見舞われました。このような極端な気候変動の影響は、2007年と2008年における生産量の大幅な落ち込み(それぞれ162,806トンと17,614トン)として顕著に現れました。水不足は特に稲作において深刻な課題であり、これが同国の農業セクターに与えた影響は計り知れません。また、オーストラリアの主要な農業地帯であるニューサウスウェールズ州とヴィクトリア州などの地域が経験する気候ストレスが、米の生産能力を大きく制約していることが分かります。

近年では、2020年の50,226トンという最低生産量を記録しましたが、その後は2021年と2022年にかけて持ち直し、422,978トンおよび691,444トンに達しています。この増加傾向には、天候の改善や水資源管理の改善が一定の効果をもたらしたと考えられます。ただし、この回復は一時的なものである可能性もあり、将来的な気候リスクを見越す必要があるでしょう。

オーストラリアの米生産量は国内消費だけでなく輸出にも影響を及ぼしており、特に日本や韓国などアジア市場での需要が相対的に高まっています。しかし、気候変動の長期的な影響や干ばつの頻発を考えると、これらの需要を持続的に満たすことができるかは不透明です。一方、中国やインドなど、世界最大の米生産国が抱える国内需要拡大の中で、オーストラリアがその影響を受ける可能性にも注目するべきでしょう。

米生産量の安定化には、特定の政策や技術が重要です。例えば、灌漑インフラのさらなる整備や、乾燥地帯にも適した耐干ばつ性の高い稲種の導入は効果的な対策として挙げられます。また、収穫量を増加させるためのスマート農業技術の導入や、地域ごとの気候条件に適合した計画的な生産スケジューリングも重要です。

さらに、地域間での農業協力や水資源の共有に向けた政策枠組みを国際的に強化することも有効です。また、極端な気候変動に備えて食料備蓄政策を強化し、輸入とのバランスを最適化する長期的な視点が求められます。

結論として、オーストラリアの米生産量の推移は、気候変動や地政学的な課題と深く結びついています。このため、政策立案者や農業の関係者はこれらの影響を念頭に置いた戦略を取り入れる必要があります。国際機関や研究者が一致協力して生産量増加を目指し、気候変動対応型の農業実践を推進することが重要となるでしょう。