国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、ザンビアの米生産量は1968年にはわずか191トンであったのに対し、2022年には62,280トンにまで増加しています。特に2000年代後半以降、生産量が急増した傾向が見られ、2021年には65,876トンと過去最大の生産量を記録しました。一方で、2022年時点ではやや減少傾向にあり、長期的な波動も観察されます。このデータはザンビアの農業発展や持続可能な食料供給の可能性を測る重要な指標となっています。
ザンビアの米生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 62,680 |
0.64% ↑
|
2022年 | 62,280 |
-5.46% ↓
|
2021年 | 65,876 |
90.23% ↑
|
2020年 | 34,630 |
17.05% ↑
|
2019年 | 29,584 |
-31.3% ↓
|
2018年 | 43,063 |
12.08% ↑
|
2017年 | 38,423 |
44.04% ↑
|
2016年 | 26,675 |
4.55% ↑
|
2015年 | 25,514 |
-48.6% ↓
|
2014年 | 49,640 |
10.93% ↑
|
2013年 | 44,747 |
-1.27% ↓
|
2012年 | 45,321 |
-8.28% ↓
|
2011年 | 49,410 |
-4.35% ↓
|
2010年 | 51,656 |
23.2% ↑
|
2009年 | 41,929 |
74.54% ↑
|
2008年 | 24,023 |
31.15% ↑
|
2007年 | 18,317 |
31.17% ↑
|
2006年 | 13,964 |
4.7% ↑
|
2005年 | 13,337 |
-22.41% ↓
|
2004年 | 17,189 |
59.99% ↑
|
2003年 | 10,744 |
-7.72% ↓
|
2002年 | 11,642 |
-0.03% ↓
|
2001年 | 11,645 |
-16.44% ↓
|
2000年 | 13,936 |
-5.2% ↓
|
1999年 | 14,700 |
129.72% ↑
|
1998年 | 6,399 |
-48.7% ↓
|
1997年 | 12,473 |
-6.19% ↓
|
1996年 | 13,296 |
9.79% ↑
|
1995年 | 12,110 |
90.47% ↑
|
1994年 | 6,358 |
-54.56% ↓
|
1993年 | 13,993 |
68.94% ↑
|
1992年 | 8,283 |
-43.27% ↓
|
1991年 | 14,602 |
58.49% ↑
|
1990年 | 9,213 |
-21.48% ↓
|
1989年 | 11,734 |
20.96% ↑
|
1988年 | 9,701 |
17.7% ↑
|
1987年 | 8,242 |
-26.46% ↓
|
1986年 | 11,207 |
-0.23% ↓
|
1985年 | 11,233 |
21.16% ↑
|
1984年 | 9,271 |
-3.74% ↓
|
1983年 | 9,631 |
82.68% ↑
|
1982年 | 5,272 |
97.23% ↑
|
1981年 | 2,673 |
20.79% ↑
|
1980年 | 2,213 |
19.49% ↑
|
1979年 | 1,852 |
-36.68% ↓
|
1978年 | 2,925 |
57.26% ↑
|
1977年 | 1,860 |
-22.92% ↓
|
1976年 | 2,413 |
38.52% ↑
|
1975年 | 1,742 |
128.91% ↑
|
1974年 | 761 |
50.4% ↑
|
1973年 | 506 |
-4.53% ↓
|
1972年 | 530 |
12.77% ↑
|
1971年 | 470 |
3.52% ↑
|
1970年 | 454 |
8.87% ↑
|
1969年 | 417 |
118.32% ↑
|
1968年 | 191 | - |
ザンビアの米生産量推移を振り返ると、初期の1960年代後半から1970年代にかけては生産規模が非常に小さく、トン単位であったことがわかります。しかし、その後の10年間で緩やかな拡大が見られ、1980年代には初めて大幅な増加を記録するようになりました。特に1983年から1985年にかけて生産量は9,631トンから11,233トンに上昇しており、この時期に何らかの農業政策の影響や品種改良などが行われた可能性が示唆されます。
1990年代に入ると、生産量はある程度の波動を持ちながらも上昇傾向を維持し、2000年代後半以降は大幅な成長が目立つようになりました。2009年には前年度から急上昇し、41,929トンに達しましたが、この上昇は気候条件の好影響や政府および国際援助のもとでの農業インフラ強化が背景にあると考えられます。その後も増加基調は続き、2021年には過去最大の65,876トンを記録しました。このような急激な増加は、ザンビア国内の食料自給の強化にも寄与しています。しかし、2022年には62,280トンに伸び悩む結果となっており、農業生産における一定の課題が残されていることも見て取れます。
ザンビアの米生産は、アフリカ全土で重要視される食料安全保障と深く関連しています。米は重要な主食ではないものの、都市部を中心とした食文化の多様化や輸出収益の向上に寄与する可能性があります。ザンビア国内での米の生産は主に降雨条件や灌漑インフラに依存しており、特に気候変動がもたらす干ばつや洪水といった自然災害が米生産量に大きな影響を及ぼしています。2015年の急減からの回復は、政府主導で行われた灌漑施設の改善や技術教育プログラムが役立ったと考えられています。また、2021年の記録的な生産量は、降雨が豊富だったことも貢献要因の一つと言えるでしょう。
しかし、長期的な持続可能性を確保するためにはいくつかの課題があります。一つは、生産量の変動を平準化するための農業インフラ整備のさらなる推進です。特に灌漑システムの改善や農地への適切な配分が必要です。また、農家の教育や技術支援を強化し、新品種導入や栽培技術の革新を進めることが重要です。さらに、地域ごとの降雨パターンに対応するための気候変動適応策も求められます。
国際的な視点から見ると、ザンビアの米生産はアジアの主要生産国、例えば中国やインドとは比較にならない規模ですが、地域経済の発展や貧困削減において戦略的な係数になる可能性があります。ザンビアはアフリカ南部地域における食糧輸出の重要国となりうるため、隣国との協調を図りながら農業分野での共通の課題解決を進めるべきです。これには、輸送インフラの整備や輸出手続きの簡素化も含まれます。
今後、国や国際機関が注力すべき課題として、食糧供給の安定化や環境持続性の確保が挙げられます。具体的には、気候変動の影響を軽減するための予測技術の導入や水資源の効率的な利用、そして農産物市場との連携強化が求められます。これにより、ザンビアの米生産はさらなる成長を遂げ、国内外の食料需要を満たす一助となるでしょう。