国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、タンザニア連合共和国の米生産量は、1960年代以降漸増しており、2020年には4,527,500トンと過去最高を記録しました。しかし、その後の2021年と2022年には減少がみられ、2022年には2,856,500トンにまで低下しました。このデータは、タンザニアが長期的な農業発展を遂げながらも、気候条件や政策の変化により生産が変動し続けている現状を反映しています。
タンザニア連合共和国の米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 2,856,500 |
2021年 | 4,045,400 |
2020年 | 4,527,500 |
2019年 | 3,474,766 |
2018年 | 3,414,815 |
2017年 | 2,451,707 |
2016年 | 3,429,000 |
2015年 | 2,979,900 |
2014年 | 2,621,000 |
2013年 | 2,194,750 |
2012年 | 1,800,551 |
2011年 | 2,248,320 |
2010年 | 2,650,120 |
2009年 | 1,334,800 |
2008年 | 1,420,570 |
2007年 | 1,341,846 |
2006年 | 1,206,154 |
2005年 | 1,167,692 |
2004年 | 1,058,462 |
2003年 | 1,096,923 |
2002年 | 984,615 |
2001年 | 867,692 |
2000年 | 781,538 |
1999年 | 728,600 |
1998年 | 849,100 |
1997年 | 549,700 |
1996年 | 806,800 |
1995年 | 622,600 |
1994年 | 614,300 |
1993年 | 641,000 |
1992年 | 392,220 |
1991年 | 624,615 |
1990年 | 740,000 |
1989年 | 718,461 |
1988年 | 615,385 |
1987年 | 644,615 |
1986年 | 547,692 |
1985年 | 427,692 |
1984年 | 355,385 |
1983年 | 349,231 |
1982年 | 320,000 |
1981年 | 200,000 |
1980年 | 291,000 |
1979年 | 262,000 |
1978年 | 387,000 |
1977年 | 314,000 |
1976年 | 346,000 |
1975年 | 265,000 |
1974年 | 223,000 |
1973年 | 301,000 |
1972年 | 187,000 |
1971年 | 171,000 |
1970年 | 132,000 |
1969年 | 126,000 |
1968年 | 104,000 |
1967年 | 109,687 |
1966年 | 133,082 |
1965年 | 72,954 |
1964年 | 147,322 |
1963年 | 183,000 |
1962年 | 104,000 |
1961年 | 94,000 |
タンザニア連合共和国の米生産量は、1961年の94,000トンから始まり、2020年に4,527,500トンまで着実に増加してきました。この長期的な成長は、農業技術の向上や農業資材の投入量増加、農地面積の拡大によるものであり、食料自給と経済成長において重要な役割を果たしてきたと考えられます。しかし、一部の年度では著しい生産量の変動が観察されており、例えば、1985年から1987年の期間や2010年以降の推移などが挙げられます。特定の年に急激な減少が見られる理由として、干ばつや洪水などの自然災害、または市場価格の乱高下により農家の生産意欲が減退した可能性が指摘されます。
特に近年のデータでは、米生産量が2020年に4,527,500トンという過去最高を記録したのち、2021年には4,045,400トン、さらに2022年には2,856,500トンにまで減少しました。この逆転現象の背景には、気候変動の影響があると考えられます。タンザニアは東アフリカに位置し、地域全体が降雨量の変動や干ばつリスクにさらされやすい環境にあります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、サプライチェーンが混乱し、農業資材の供給や市場アクセスにも影響を与えた可能性があります。
加えて、政策の不安定さやインフラ不足も懸念されています。米生産は、タンザニア国内での飲食物消費だけでなく、輸出産業の基盤ともなっていますが、生産体制の脆弱性が輸出市場における競争力を制約しています。他国と比較すると、日本や韓国のようにインフラや技術が整備された国々では単位面積あたりの生産性が非常に高く、これが市場シェアの拡大や食料安全保障において有利な要素となっています。対して、タンザニアでは農地拡大に依存した形での生産増加が中心であり、効率的な技術導入が遅れている点が課題です。
今後の課題は、気候変動への適応とともに、効率的な農業技術の導入を推進することです。例えば、耐乾性の高い稲作品種の導入や、農業用灌漑インフラの強化が重要です。さらに、農家のための融資プログラムや市場アクセスの向上を図り、経済的な安定を確保する取り組みも求められます。また、周辺国との地域協力や、国際機関との連携を通じて、技術移転や知識共有を強化することも効果的です。
結論として、タンザニアにおける米生産量の推移は、潜在的な農業資源の豊かさと、それを生かしきれない現状を浮き彫りにしています。長期的かつ持続可能な農業発展を実現するには、科学的アプローチと政策支援、地域間協力の強化が不可欠と言えます。この取り組みは、国内食品供給の強化だけでなく、安定的な輸出収入の確保を通じて、経済全体の発展へつながると期待されます。