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サウジアラビアの米生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、サウジアラビアの米生産量は過去60年以上にわたり大きな変動を見せています。1960年代から1980年代初期にかけての年間生産量は数千トンを記録していたものの、その後大幅に減少し、2010年代にはほぼゼロに近づくケースも見られました。しかし、2019年以降、生産量は回復傾向にあり、2022年には815トンに達しました。この回復は、新たな農業技術の導入や政策の効果と関連があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 816
0.18% ↑
2022年 815
0.12% ↑
2021年 814
3.43% ↑
2020年 787
96.75% ↑
2019年 400
2122.22% ↑
2018年 18
50% ↑
2017年 12
-86.36% ↓
1980年 88
-83.64% ↓
1979年 538
39.74% ↑
1978年 385
-16.3% ↓
1977年 460
130% ↑
1976年 200 -
1975年 200
11.11% ↑
1974年 180 -
1973年 180
164.71% ↑
1972年 68
-95.53% ↓
1971年 1,520
-49.33% ↓
1970年 3,000 -
1969年 3,000 -
1968年 3,000 -
1967年 3,000 -
1966年 3,000
-28.57% ↓
1965年 4,200
68% ↑
1964年 2,500
11.21% ↑
1963年 2,248
6.04% ↑
1962年 2,120
-24.29% ↓
1961年 2,800 -

サウジアラビアの米生産量推移を確認すると、長期的には大きなアップダウンを繰り返していることが分かります。1960年代、数千トン規模の米生産が行われていましたが、1970年代以降は急激に減少し、一部の年では年間生産量が100トン以下にまで落ち込んでいます。この背景には、サウジアラビアの地理的特性や農業インフラの限界が影響していると考えられます。同国の大部分は乾燥地帯であり、水資源の制約が農業の発展を阻む大きな要因となっています。特に、米は水を多く消費する作物であるため、効率的な灌漑技術が必要不可欠ですが、この技術は十分に普及していませんでした。

しかし近年、特に2019年以降、状況は改善に向かっている兆候が見られます。例えば、2018年にはわずか18トンだった生産量が、2019年には400トン、2022年には815トンと持続的な成長を遂げています。この伸びは、新しい灌漑技術の導入や政府の農業支援政策が大きく寄与している可能性があります。例えば、雨水を効率よく利用する技術の普及や、水資源管理プロジェクトの推進が生産性を向上させたことで、この成果が現れたと考えられます。

しかし一方で、同国の農業セクターは、いくつかの課題を抱えています。まず、持続可能な水資源管理の確立が急務です。地下水や淡水は限られているため、脱塩技術や雨水収集などの取り組みがさらに必要となります。また、サウジアラビアは気温が高く、気候変動の影響を受けやすい環境にあります。これにより、水分蒸発量が増加し、農地の乾燥化が進む可能性があります。さらに、人口増加に伴う食糧需要の増大も、新たな課題となるでしょう。

比較してみると、米の主要生産国であるインドや中国は、年間数百万トンを生産しており、その規模には到底及びません。しかし、それらの国々が湿潤気候や豊富な水資源に恵まれているのに対し、サウジアラビアが乾燥地帯でこれほど生産を回復させたことは、注目すべき点です。このような背景を踏まえ、サウジアラビアは米生産をさらに拡大していくためには、他国から学ぶ技術移転や国際協力がますます重要になると考えられます。

将来的には、稲の省水型栽培技術の導入や、海水を利用した農業技術の研究が期待されています。また、水資源を国内で公平に分配する政策の強化や、農業従事者への教育・研修プログラムの充実も効果的です。これらに加え、輸入に過度に依存しない食糧自給率の向上という観点から、政府がさらなる投資を行う必要があります。

まとめると、サウジアラビアの米生産量推移は今なお多くの課題を伴いつつも、技術革新や政策の効果によって改善が見られます。この進展を持続させるために、効率的な水資源管理や国際的な協力が必要です。国際社会において資源の持続可能な利用に関する議論が盛んになる中、サウジアラビアの取り組みは他国のモデルケースとなる可能性があります。