国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、多民族国家であるボリビアの米生産量は、1961年の34,320トンからスタートし、2022年には608,681トンにまで増加しました。1960年代から緩やかな増加傾向を見せつつ、1970年代から変動が激しくなり、2000年代以降はさらに不安定な動きを示しました。しかし、特に2018年以降は上昇傾向が顕著で、2022年には過去最高値を記録しました。
ボリビア (多民族国家)の米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 608,681 |
2021年 | 550,182 |
2020年 | 487,427 |
2019年 | 600,044 |
2018年 | 541,157 |
2017年 | 478,578 |
2016年 | 406,954 |
2015年 | 527,341 |
2014年 | 484,057 |
2013年 | 442,912 |
2012年 | 474,664 |
2011年 | 428,007 |
2010年 | 442,017 |
2009年 | 410,994 |
2008年 | 337,800 |
2007年 | 352,104 |
2006年 | 446,462 |
2005年 | 479,246 |
2004年 | 331,336 |
2003年 | 423,278 |
2002年 | 259,452 |
2001年 | 332,437 |
2000年 | 299,083 |
1999年 | 256,789 |
1998年 | 296,253 |
1997年 | 255,586 |
1996年 | 343,520 |
1995年 | 264,612 |
1994年 | 247,333 |
1993年 | 222,594 |
1992年 | 229,292 |
1991年 | 240,770 |
1990年 | 211,263 |
1989年 | 226,852 |
1988年 | 171,485 |
1987年 | 164,230 |
1986年 | 136,760 |
1985年 | 173,156 |
1984年 | 163,863 |
1983年 | 61,725 |
1982年 | 86,660 |
1981年 | 101,225 |
1980年 | 95,225 |
1979年 | 76,125 |
1978年 | 89,315 |
1977年 | 121,335 |
1976年 | 113,045 |
1975年 | 126,560 |
1974年 | 85,200 |
1973年 | 77,800 |
1972年 | 85,200 |
1971年 | 85,335 |
1970年 | 72,530 |
1969年 | 83,375 |
1968年 | 73,560 |
1967年 | 56,651 |
1966年 | 51,714 |
1965年 | 51,286 |
1964年 | 47,142 |
1963年 | 42,857 |
1962年 | 38,571 |
1961年 | 34,320 |
ボリビアの米生産量の推移を見ると、半世紀以上にわたり全体的には増加の傾向が見られます。このデータは、人口増加や貧困削減のための食料自給体制の強化、さらにはグローバル市場への輸出を目的とした農業拡大が背景にあると考えられます。特に1960年代から1980年代にかけては緩やかに増加しましたが、1975年には急激に126,560トンへと伸び、その後も波を描きながらも全体的な底上げが続きました。
1980年代後半から1990年代にかけては、生産量が顕著に増加しました。1989年の226,852トンから1996年の343,520トンまで大きく躍進し、これは農業技術の発展や灌漑設備の拡充が効果を発揮した結果だと推測されます。しかし、1997年以降は再び増減の幅が大きくなり、230,000~340,000トン近辺を前後する不安定な時期が続きました。
2000年代初頭からは再び増加基調に戻り、特に2003年には423,278トン、2005年には479,246トンという飛躍的な増加が起こりました。一方で、2007年には一時的に生産量が落ち込むなど、長期的な安定性が課題であることも浮き彫りとなっています。2010年代は再び生産が安定して増加の道を歩み、2019年には600,044トンもの大規模な生産量を達成しました。
2020年には新型コロナウイルスのパンデミックが自然災害レベルのインパクトをボリビアの経済や農業にもたらし、生産量が一時的に487,427トンに減少しましたが、その後の2021年と2022年には再び回復を見せ、最終的に608,681トンに到達しています。
これらの推移を背景とした課題として、まず挙げられるのは気候変動の影響です。ボリビアはアンデス山脈や熱帯雨林、平地といった地理的多様性を持つ国ですが、この地理的条件は気候によるリスクの影響を一層強く受けやすい土壌でもあります。たとえば、干ばつや洪水といった極端な気象現象が農業生産を妨げている点は、注目すべき問題です。また、農業従事者への支援が充分でない場合や、経済的不安定さが種子や肥料などの投入資源の利用を妨げることも課題と言えるでしょう。
未来に向けての対策として、まず初めに挙げられるのは生産量の更なる安定化に向けた灌漑システムや水資源管理の改善です。近隣諸国や国際機関との協力を深め、効率的かつ持続可能な農業技術を導入することも重要です。また、米の生産加工業の自動化や輸出ルートの多様化を図り、地域経済全体の収益性を向上させる努力が求められます。
このほか、気候変動が特に影響を及ぼす地域においては、災害リスク軽減プログラムの強化も必要です。例えば、温室効果ガス削減を目標に掲げ、新興農業テクノロジーを導入することで、持続可能性を担保することができます。さらに、地域ごとの特産品を活用した付加価値の高い製品づくりにより、国内外での市場競争力を強化することも可能でしょう。
全体として、ボリビアが米生産量を安定的に増加させることができれば、食料安全保障の向上や国内経済の発展はもちろん、国際市場での地位向上にもつながる可能性があります。今後も地元農民を中心とした生産体制の強化と、天候リスクへの柔軟な対応が鍵となるでしょう。