パラグアイの米生産量は、1961年の18,700トンから2022年の861,500トンまで、長年にわたり著しく成長してきました。特に2008年以降、生産量は顕著に増加し、2019年には1,069,200トン、2020年には過去最高の1,187,768トンを記録しました。しかし2022年は861,500トンと減少しており、今後の課題が浮き彫りになっています。
パラグアイの米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 861,500 |
2021年 | 1,180,600 |
2020年 | 1,187,768 |
2019年 | 1,069,200 |
2018年 | 894,600 |
2017年 | 924,000 |
2016年 | 858,000 |
2015年 | 857,771 |
2014年 | 804,000 |
2013年 | 617,400 |
2012年 | 396,000 |
2011年 | 408,246 |
2010年 | 315,213 |
2009年 | 215,000 |
2008年 | 144,692 |
2007年 | 130,000 |
2006年 | 126,000 |
2005年 | 102,000 |
2004年 | 125,000 |
2003年 | 110,250 |
2002年 | 104,973 |
2001年 | 106,179 |
2000年 | 101,049 |
1999年 | 128,093 |
1998年 | 80,921 |
1997年 | 81,465 |
1996年 | 76,282 |
1995年 | 80,146 |
1994年 | 72,146 |
1993年 | 68,358 |
1992年 | 44,180 |
1991年 | 33,917 |
1990年 | 85,701 |
1989年 | 87,466 |
1988年 | 81,394 |
1987年 | 105,239 |
1986年 | 62,406 |
1985年 | 97,207 |
1984年 | 79,700 |
1983年 | 72,641 |
1982年 | 63,100 |
1981年 | 44,500 |
1980年 | 40,800 |
1979年 | 56,894 |
1978年 | 58,233 |
1977年 | 68,677 |
1976年 | 56,748 |
1975年 | 55,869 |
1974年 | 50,688 |
1973年 | 41,614 |
1972年 | 38,800 |
1971年 | 47,200 |
1970年 | 45,218 |
1969年 | 27,157 |
1968年 | 20,802 |
1967年 | 18,170 |
1966年 | 10,100 |
1965年 | 21,600 |
1964年 | 20,000 |
1963年 | 16,000 |
1962年 | 16,800 |
1961年 | 18,700 |
国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パラグアイの米生産量は長期的に大きな成長を遂げています。1961年にわずか18,700トンだった生産量は、2020年には1,187,768トンと記録的な値を達成しました。この増加は、農業技術の改善や灌漑設備の拡充、農地面積の拡大などが要因と考えられます。また、パラグアイは輸出志向型の農業政策を推進しており、特に米の輸出は国内農業経済の重要な柱となっています。
しかしながら、この成長には波があり、特に2022年の生産量は861,500トンと、直近では減少傾向を示しています。この変動要因は、天候不順、経済的要因、そして地政学的リスクに起因している可能性があります。パラグアイは主に自然降雨に依存して農業を営んでおり、旱魃や異常気象が生産に深刻な影響を与えることがあります。また、新型コロナウイルスの影響やウクライナ危機などの国際情勢変化により、肥料など輸入農業資材の価格高騰も生産コストに影響を与えたと推測されます。
近隣のブラジルやアルゼンチンと比較すると、依然としてパラグアイの総生産量は少ないですが、成長率において顕著な伸びを見せています。一方で、これらの国々と異なり、規模の経済が完全に発揮できていないことが課題の一つとなります。特にパラグアイの小規模農家が多い構造上、効率的な生産体制の導入は進んでいません。
未来への課題として、まず気候変動の影響への対応が挙げられます。農業の安定性を確保するためには、灌漑や排水設備の整備、耐乾性の高い米品種の開発が求められます。さらに、生産性向上には肥料や種子の品質向上、農業機械の普及といった技術革新が必要です。世界銀行や国際協力機構(JICA)などの国際機関との協力を通じて、こうしたインフラ整備や技術供与を進めるべきです。
地政学的背景も無視できません。パラグアイは南米の中央に位置しており、周辺地域の情勢変化に大きな影響を受けやすい国です。例えば、主要輸出先であるブラジルやアルゼンチンの経済動向が米価格に及ぼす影響や、輸送インフラの未整備による輸出コストの高騰などは、国際市場の競争力を低下させるリスクとなります。このようなリスクヘッジとして、地域間協力の一環として、南米の貿易ブロック「メルコスール」を活用し、貿易条件を整える施策が急務です。
最後に、政策の視点から見ても、パラグアイ政府の農業補助政策の充実が鍵を握ります。農民への直接的支援や、教育・研修プログラムの実施による技術力向上が、米生産の基盤強化として重要です。また、気候変動や国際的な経済不安定要因に対応するため、国内の食料管理体制の強化を並行して進めることが必要です。
結論として、パラグアイの米生産量の成長は注目に値しますが、その持続可能性を確保するためには多岐にわたる課題への対処が必要です。国際機関や地域のパートナー国との協力を最大限に活用し、気候変動に強い農業インフラの整備を推進することで、今後も米生産量のさらなる安定的成長が期待されます。