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パラグアイの米生産量推移(1961年~2023年)

パラグアイの米生産量は、1961年の18,700トンから2022年の861,500トンまで、長年にわたり著しく成長してきました。特に2008年以降、生産量は顕著に増加し、2019年には1,069,200トン、2020年には過去最高の1,187,768トンを記録しました。しかし2022年は861,500トンと減少しており、今後の課題が浮き彫りになっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 978,450
13.58% ↑
2022年 861,500
-27.03% ↓
2021年 1,180,600
-0.6% ↓
2020年 1,187,768
11.09% ↑
2019年 1,069,200
19.52% ↑
2018年 894,600
-3.18% ↓
2017年 924,000
7.69% ↑
2016年 858,000
0.03% ↑
2015年 857,771
6.69% ↑
2014年 804,000
30.22% ↑
2013年 617,400
55.91% ↑
2012年 396,000
-3% ↓
2011年 408,246
29.51% ↑
2010年 315,213
46.61% ↑
2009年 215,000
48.59% ↑
2008年 144,692
11.3% ↑
2007年 130,000
3.17% ↑
2006年 126,000
23.53% ↑
2005年 102,000
-18.4% ↓
2004年 125,000
13.38% ↑
2003年 110,250
5.03% ↑
2002年 104,973
-1.14% ↓
2001年 106,179
5.08% ↑
2000年 101,049
-21.11% ↓
1999年 128,093
58.29% ↑
1998年 80,921
-0.67% ↓
1997年 81,465
6.79% ↑
1996年 76,282
-4.82% ↓
1995年 80,146
11.09% ↑
1994年 72,146
5.54% ↑
1993年 68,358
54.73% ↑
1992年 44,180
30.26% ↑
1991年 33,917
-60.42% ↓
1990年 85,701
-2.02% ↓
1989年 87,466
7.46% ↑
1988年 81,394
-22.66% ↓
1987年 105,239
68.64% ↑
1986年 62,406
-35.8% ↓
1985年 97,207
21.97% ↑
1984年 79,700
9.72% ↑
1983年 72,641
15.12% ↑
1982年 63,100
41.8% ↑
1981年 44,500
9.07% ↑
1980年 40,800
-28.29% ↓
1979年 56,894
-2.3% ↓
1978年 58,233
-15.21% ↓
1977年 68,677
21.02% ↑
1976年 56,748
1.57% ↑
1975年 55,869
10.22% ↑
1974年 50,688
21.81% ↑
1973年 41,614
7.25% ↑
1972年 38,800
-17.8% ↓
1971年 47,200
4.38% ↑
1970年 45,218
66.51% ↑
1969年 27,157
30.55% ↑
1968年 20,802
14.49% ↑
1967年 18,170
79.9% ↑
1966年 10,100
-53.24% ↓
1965年 21,600
8% ↑
1964年 20,000
25% ↑
1963年 16,000
-4.76% ↓
1962年 16,800
-10.16% ↓
1961年 18,700 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、パラグアイの米生産量は長期的に大きな成長を遂げています。1961年にわずか18,700トンだった生産量は、2020年には1,187,768トンと記録的な値を達成しました。この増加は、農業技術の改善や灌漑設備の拡充、農地面積の拡大などが要因と考えられます。また、パラグアイは輸出志向型の農業政策を推進しており、特に米の輸出は国内農業経済の重要な柱となっています。

しかしながら、この成長には波があり、特に2022年の生産量は861,500トンと、直近では減少傾向を示しています。この変動要因は、天候不順、経済的要因、そして地政学的リスクに起因している可能性があります。パラグアイは主に自然降雨に依存して農業を営んでおり、旱魃や異常気象が生産に深刻な影響を与えることがあります。また、新型コロナウイルスの影響やウクライナ危機などの国際情勢変化により、肥料など輸入農業資材の価格高騰も生産コストに影響を与えたと推測されます。

近隣のブラジルやアルゼンチンと比較すると、依然としてパラグアイの総生産量は少ないですが、成長率において顕著な伸びを見せています。一方で、これらの国々と異なり、規模の経済が完全に発揮できていないことが課題の一つとなります。特にパラグアイの小規模農家が多い構造上、効率的な生産体制の導入は進んでいません。

未来への課題として、まず気候変動の影響への対応が挙げられます。農業の安定性を確保するためには、灌漑や排水設備の整備、耐乾性の高い米品種の開発が求められます。さらに、生産性向上には肥料や種子の品質向上、農業機械の普及といった技術革新が必要です。世界銀行や国際協力機構(JICA)などの国際機関との協力を通じて、こうしたインフラ整備や技術供与を進めるべきです。

地政学的背景も無視できません。パラグアイは南米の中央に位置しており、周辺地域の情勢変化に大きな影響を受けやすい国です。例えば、主要輸出先であるブラジルやアルゼンチンの経済動向が米価格に及ぼす影響や、輸送インフラの未整備による輸出コストの高騰などは、国際市場の競争力を低下させるリスクとなります。このようなリスクヘッジとして、地域間協力の一環として、南米の貿易ブロック「メルコスール」を活用し、貿易条件を整える施策が急務です。

最後に、政策の視点から見ても、パラグアイ政府の農業補助政策の充実が鍵を握ります。農民への直接的支援や、教育・研修プログラムの実施による技術力向上が、米生産の基盤強化として重要です。また、気候変動や国際的な経済不安定要因に対応するため、国内の食料管理体制の強化を並行して進めることが必要です。

結論として、パラグアイの米生産量の成長は注目に値しますが、その持続可能性を確保するためには多岐にわたる課題への対処が必要です。国際機関や地域のパートナー国との協力を最大限に活用し、気候変動に強い農業インフラの整備を推進することで、今後も米生産量のさらなる安定的成長が期待されます。