国連食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、コートジボワールの米生産量は1960年代から現在まで、長期的に増加傾向を描いています。特に2010年代に入って大幅な増加が見られ、ピークは2015年の約215万トンとなっています。しかし、その後、2019年以降減少傾向を示しており、2020年には約148万トンまで落ち込みました。その後、2022年には約199万トンに回復しましたが、依然として安定した生産を維持する課題が残されています。
コートジボワールの米生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 1,993,000 |
2021年 | 1,659,000 |
2020年 | 1,481,182 |
2019年 | 1,883,956 |
2018年 | 2,006,845 |
2017年 | 2,120,000 |
2016年 | 2,055,000 |
2015年 | 2,153,000 |
2014年 | 2,053,520 |
2013年 | 1,934,154 |
2012年 | 1,561,905 |
2011年 | 873,016 |
2010年 | 1,206,153 |
2009年 | 687,721 |
2008年 | 679,969 |
2007年 | 606,310 |
2006年 | 715,898 |
2005年 | 703,931 |
2004年 | 681,521 |
2003年 | 659,824 |
2002年 | 646,899 |
2001年 | 634,228 |
2000年 | 621,805 |
1999年 | 609,625 |
1998年 | 597,684 |
1997年 | 585,000 |
1996年 | 705,488 |
1995年 | 691,700 |
1994年 | 678,181 |
1993年 | 676,000 |
1992年 | 660,000 |
1991年 | 657,000 |
1990年 | 687,000 |
1989年 | 654,000 |
1988年 | 623,000 |
1987年 | 580,000 |
1986年 | 560,000 |
1985年 | 540,000 |
1984年 | 514,000 |
1983年 | 360,000 |
1982年 | 450,000 |
1981年 | 390,000 |
1980年 | 420,000 |
1979年 | 534,000 |
1978年 | 504,000 |
1977年 | 477,000 |
1976年 | 460,000 |
1975年 | 496,000 |
1974年 | 406,000 |
1973年 | 335,000 |
1972年 | 320,000 |
1971年 | 385,000 |
1970年 | 315,600 |
1969年 | 303,000 |
1968年 | 365,400 |
1967年 | 344,600 |
1966年 | 275,600 |
1965年 | 250,000 |
1964年 | 248,000 |
1963年 | 219,000 |
1962年 | 229,000 |
1961年 | 156,000 |
コートジボワールの米生産量は、経済成長や食糧安全保障の観点から重要な指標の一つです。このデータは、1960年代から最新の2022年までの約60年間の推移を示しており、農業技術、政策、自然環境の変動が生産量に大きな影響を与えてきたことが読み取れます。
1960年代から1980年代にかけては、生産量が緩やかに増加し、1989年には65万4,000トンに達しました。この期間には人口増加や食糧需要の増加に対応して、米の生産が農業政策の中で強化されていました。しかし、1990年代には増加ペースが鈍化し、特定の年には減少も見られます。1997年や2007年のような生産量の落ち込みは、気象条件や農業投入資材不足といった要因から来ている可能性があります。
一方、2010年代に入ると、コートジボワールの米生産量は飛躍的に増加しました。2010年に約120万トンだった生産量が、2015年には215万トンを超え、過去最大規模に到達しました。この増加の背景には、政府の農業支援政策や灌漑設備の整備、現代的な農業技術の導入が挙げられます。また、地域の紛争がある程度沈静化し、社会的・経済的安定が回復したことも影響していると考えられます。
しかし、このピーク以降の生産は安定せず、2019年には約188万トン、2020年には約148万トンへと低下しました。この減少の背後には、新型コロナウイルスの流行による物流の停滞や農作業への影響が挙げられます。また、カカオ等の他の主要輸出作物に農地や資源が集中し、米生産が優先されなくなっている可能性も考えられます。
さらに地理的なリスク要因として、コートジボワールでは気候変動の影響が大きな課題です。例えば、降雨量の安定性が失われた場合、灌漑技術や耐干ばつ性の高い米品種への依存度が増加することが予想されます。これに対応するためには、持続可能な農業技術の普及に加え、地域住民や農家への技術教育を強化することが求められます。
今後、コートジボワールの米生産を持続的に向上させるためには、以下の具体的な対策が必要です。まず、灌漑インフラのさらなる整備、そして気象指標を活用したスマート農業技術の導入を進めるべきです。また、地域全体で食糧安全保障を確保するため、国際機関や隣国と協力し、農産物市場や供給網の連携を強固にすることが重要です。さらに、政府や国際パートナーは、農業従事者への直接的な資金支援や低金利の融資制度を実施し、経済面での支援を強化する必要があります。
米はコートジボワール国内の主要食糧であり、その生産量は国民の栄養状態や国の経済安定にも直接関わっています。したがって、これらの課題を解決できれば、コートジボワールの米生産は将来的にさらに安定かつ効率的な供給が可能となり、食糧自給率の向上や貧困削減にもつながると期待されます。