Skip to main content

フランスの米生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、フランスの米生産量は1961年に133,690トンを記録し、以降一貫して変動を繰り返しています。2000年以降においては概して10万トン前後で推移していましたが、2018年以降、7万トン台から6万トン台へと減少傾向が見られます。一方、1960年代の約13万トンをピークとする長期的下落傾向も明確です。特に2021年と2022年は約6万トンと、データが示す中で最も低い水準に近い結果となっています。

年度 生産量(トン)
2022年 64,480
2021年 62,340
2020年 75,460
2019年 82,570
2018年 71,430
2017年 92,544
2016年 80,297
2015年 80,858
2014年 83,492
2013年 80,801
2012年 124,091
2011年 130,400
2010年 120,170
2009年 137,132
2008年 111,523
2007年 97,316
2006年 94,782
2005年 102,306
2004年 115,110
2003年 106,723
2002年 105,227
2001年 102,810
2000年 115,958
1999年 110,256
1998年 113,823
1997年 127,088
1996年 120,279
1995年 127,305
1994年 128,509
1993年 131,042
1992年 127,737
1991年 115,042
1990年 121,300
1989年 105,825
1988年 74,896
1987年 59,500
1986年 60,020
1985年 61,560
1984年 35,600
1983年 38,000
1982年 27,100
1981年 20,100
1980年 25,300
1979年 30,000
1978年 36,790
1977年 24,110
1976年 30,400
1975年 42,400
1974年 49,250
1973年 69,330
1972年 41,450
1971年 76,510
1970年 90,680
1969年 95,390
1968年 84,810
1967年 116,990
1966年 102,340
1965年 97,830
1964年 121,900
1963年 117,390
1962年 130,230
1961年 133,690

フランスの米生産量は、1961年に13万トンを上回るピークを迎えた後、1970年代を通じて急激に低下しました。1976年にはわずか30,400トンまで減少し、その後徐々に回復する傾向を見せたものの、1960年代のピークまで回復することはありませんでした。1990年代には年間約12万トン超の水準を維持していたものの、2000年代後半から徐々に下落し、2018年以降の急激な減少が特に目立ちます。2021年と2022年にはそれぞれ62,340トンおよび64,480トンとなり、安定した回復基調には至っていません。

長期的な観点で見ると、フランスにおける米生産の減少の一因として、国内での消費需要の低さが挙げられます。フランスは伝統的に米よりも小麦を主食とし、小麦生産が農業政策や生産インフラの中核を占めています。そのため、米については他国、特にアジア諸国からの輸入が中心となっており、国内生産の優先度が低い傾向にあります。加えて、生産コストの上昇や耕地の他作物への転用も生産量減少に影響を与えていると考えられます。

気候変動による影響も無視できません。南フランスの米生産地域であるカマルグ地方は、最近の乾燥傾向や降雨パターンの変化によって収穫量が減少しています。水資源の不足や塩害リスクの増加は、今後の農業生産にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。乾燥気候や温暖化に伴う収穫リスクはフランス農政における重要な課題であり、特に地中海沿岸地域での影響は大きいです。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ危機などの地政学的要因が、世界的な食糧供給チェーンに影響を与えました。輸入依存度の高いフランスの米産業において、輸入価格の上昇や国際供給の制約により、国内生産への強化が求められる局面も見られるようになっています。それでも過去数年間のデータを見る限り、生産の拡大には至っていません。

こうした状況を改善するためには、農業支援策の強化が重要です。たとえば、干ばつや塩害に対応できる耐久性の高い米品種の開発や、農業用水の効率化を通じた環境適応型農業への移行が必要とされます。また、国内米の需要喚起策として、地域経済への注目を高める取り組みや教育を通じて、フランス産米の価値を再認識させる努力が求められます。さらに、EU内での農業政策調整や、気候変動問題に対する地域協力枠組みの拡大も重要でしょう。

結論として、フランスの米生産量の推移は、地理的、経済的、気候的な要因が複雑に絡み合った結果といえます。持続可能な農業の推進や、輸入依存度を軽減しつつ国内生産を強化する努力が重要です。これを実現するためには、国を超えた協調や、特に気候変動への即応力が鍵となるでしょう。