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コモロの米生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、コモロの米生産量は1960年代に安定した成長を見せ、1980年代にはピークの15,000トン程度に達しました。しかし1990年代以降急激に減少し、2000年以降は著しく低い水準に停滞しています。直近のデータでは2022年に5トンという非常に低い数値を記録しており、生産量はほとんど消失した状態にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21
320.4% ↑
2022年 5
25% ↑
2021年 4
-20% ↓
2020年 5 -
2019年 5
-28.57% ↓
2018年 7 -
2017年 7
-12.5% ↓
2016年 8
-11.11% ↓
2015年 9
-10% ↓
2014年 10
233.33% ↑
2013年 3
50% ↑
2012年 2
-50% ↓
2011年 4
100% ↑
2010年 2
-99.27% ↓
2009年 274
-27.28% ↓
2008年 376
-23.41% ↓
2007年 491
-20.2% ↓
2006年 616
-17.43% ↓
2005年 746
-34.88% ↓
2004年 1,145
21.78% ↑
2003年 940
-5.9% ↓
2002年 999
-4.87% ↓
2001年 1,050
-4.03% ↓
2000年 1,094
-3.79% ↓
1999年 1,137
-3.55% ↓
1998年 1,179
-3.38% ↓
1997年 1,221
-3.26% ↓
1996年 1,262
-3.17% ↓
1995年 1,303
-3.09% ↓
1994年 1,345
-3.03% ↓
1993年 1,387
-2.98% ↓
1992年 1,429
-5.35% ↓
1991年 1,510
-89.99% ↓
1990年 15,085
0.57% ↑
1989年 15,000
15.38% ↑
1988年 13,000 -
1987年 13,000 -
1986年 13,000 -
1985年 13,000
-1.52% ↓
1984年 13,200
1.54% ↑
1983年 13,000 -
1982年 13,000 -
1981年 13,000 -
1980年 13,000 -
1979年 13,000 -
1978年 13,000 -
1977年 13,000
8.33% ↑
1976年 12,000 -
1975年 12,000
9.09% ↑
1974年 11,000
10% ↑
1973年 10,000
11.11% ↑
1972年 9,000
12.5% ↑
1971年 8,000
-20% ↓
1970年 10,000 -
1969年 10,000
-9.09% ↓
1968年 11,000
-8.33% ↓
1967年 12,000
-7.69% ↓
1966年 13,000
8.33% ↑
1965年 12,000
9.09% ↑
1964年 11,000
10% ↑
1963年 10,000
11.11% ↑
1962年 9,000 -
1961年 9,000 -

コモロの米生産量推移は、農業や食糧生産の歴史的変遷を象徴する興味深い事例を示しています。初期の1960年代から1980年代にかけて、コモロの米生産量は10,000~15,000トンの間で比較的安定していました。当時の農業基盤や労働力に支えられ、国内需要をある程度満たす水準を維持していたことが伺えます。しかし1990年代に入ると状況は大きく変わり、主に1991年以降の急激な生産量の激減がデータに明確に表れています。

1990年代の急減については、いくつかの要因が考えられます。まず、コモロはインド洋に位置し、地理的に頻繁に自然災害の影響を受けることから、サイクロンによる農地破壊の可能性が挙げられます。また、同時期に内外の経済的・政治的不安定が影響を及ぼした可能性も高いと考えられます。例えば、国際市場の影響により他国からの安価な米の輸入が進み、国内生産の生産意欲が低下した可能性も否定できません。これに加え、人口増加や都市化が進む中で、農業従事者の減少やインフラの整備不足が農業全体に打撃を与えたことも予想されます。

さらに2000年以降になると、米生産量はほぼゼロに近い水準に落ち込んでいます。この背景には、気候変動による不規則な降雨や長期的な干ばつ、新型コロナウイルスのパンデミックなどの外的要因が、もともと脆弱な農業基盤にさらに悪影響を与えたことが考えられます。また、コモロは輸出向けの主産物であるバニラやクローブなどに経済の軸足を置くため、米生産に対する政策的支援が縮小したことも関連があると推測されます。

この状況が続けば、国内の食糧自給率がさらに低下し、輸入依存が深まることで貿易収支が悪化するリスクがあります。また、気候変動や経済的制約による輸入価格の上昇が同時に進行すると、食糧安全保障の危機に直結する恐れもあります。

この問題に対処するためには、第一に農業生産基盤の再生が急務となります。例えば、耐久性のある農地基盤を確保し、灌漑技術を導入することで気候変動への対応力を高める施策が求められます。さらに、国際機関や先進国からの技術移転を積極的に受け入れ、農業教育を充実させることで、地域の農業従事者の能力向上も図るべきです。また、適切な補助金や融資を通じて、小規模農家が再び米生産に取り組むインセンティブを提供することも重要でしょう。

もう一つの重要な対策は、地域間での食糧協力と貿易支援の枠組みを強化することです。近隣諸国との連携を深めることで、食糧輸入の安定化を図りつつ、長期的な自給自足を目指す戦略を構築すべきです。気候変動に備えた地域的な災害支援ネットワークの整備も同時に進めるべきでしょう。

全体として、コモロにおける米生産量の推移は、過去数十年にわたる社会経済構造や外的要因の影響を強く反映しています。今後は環境変化や地政学的リスクに対応した包括的な戦略を採用することで、持続可能な農業振興と食糧安全保障のための道筋を切り開く必要があります。結論として、国内外の支援を活用しながら農業への投資を強化し、新しい農業モデルを導入することが、コモロが直面する課題を解決する鍵となるでしょう。