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タイの米生産量推移(1961-2022)

タイの米生産量は1961年から2022年までの期間で一貫した増加傾向を示しています。特に1975年以降、生産量は毎年大幅な伸びを見せ、2000年には約25,840,000トンの生産に達しました。その後、2010年に約35,702,946トン、2021年には過去最高の32,977,775トンを記録しました。一方、近年では2019年の生産低下(約28,617,948トン)のように、一時的な減少も観察されています。新型コロナウイルスの感染拡大や気候変動の影響が要因と考えられる中、2022年には約34,317,028トンへと復調が見られています。このデータは、タイの農業生産の継続的な成長と、気候やその他の環境要因による制約の両方を示しています。

年度 生産量(トン)
2022年 34,317,028
2021年 32,977,775
2020年 31,734,268
2019年 28,617,948
2018年 32,348,114
2017年 32,898,903
2016年 31,857,000
2015年 27,702,191
2014年 32,620,160
2013年 36,762,277
2012年 38,100,189
2011年 38,102,720
2010年 35,702,946
2009年 32,397,856
2008年 32,022,992
2007年 32,477,032
2006年 29,990,602
2005年 30,648,248
2004年 28,873,975
2003年 29,820,271
2002年 28,321,137
2001年 29,099,915
2000年 25,843,878
1999年 24,171,412
1998年 22,998,414
1997年 23,580,080
1996年 22,331,638
1995年 22,015,481
1994年 21,110,714
1993年 18,447,260
1992年 19,917,299
1991年 20,400,000
1990年 17,193,216
1989年 20,601,008
1988年 21,262,896
1987年 18,428,272
1986年 18,868,160
1985年 20,263,872
1984年 19,904,816
1983年 19,548,944
1982年 16,878,512
1981年 17,774,320
1980年 17,368,096
1979年 15,758,000
1978年 17,470,000
1977年 13,921,000
1976年 15,068,000
1975年 15,300,000
1974年 13,386,000
1973年 14,899,000
1972年 12,413,000
1971年 13,744,000
1970年 13,850,000
1969年 13,410,000
1968年 12,410,000
1967年 11,198,000
1966年 13,500,000
1965年 11,164,000
1964年 11,600,000
1963年 12,171,000
1962年 11,250,000
1961年 10,150,000

タイは、長年にわたり世界有数の米輸出国として知られており、米生産量はその経済及び地域社会にとって極めて重要です。このデータからは、1961年の10,150,000トンから2022年の34,317,028トンまで、約3.4倍に増加したことが読み取れます。この持続的な生産量増加は、農業技術の進化、生産能力の拡張、政府の農業政策の強化が大きく寄与してきた結果と言えます。例えば、灌漑システムの普及や高収量品種の導入が、生産性向上に大きな役割を果たしました。また、1970年代後半から1980年代にかけて急激な増加が見られる背景には、輸出需要の増加やインフラ整備の充実が挙げられます。

しかし、データを見ると、全期間を通じて必ずしも安定的な成長を遂げているわけではない点も重要です。1990年には約17,193,216トンという急減が見られ、また2004年から2006年、2012年から2015年の期間にかけても減少傾向が確認されます。このような減少は、タイ国内外の経済的要因や気象条件の変動、特に近年影響を与える気候変動の影響による作柄の不安定さが大きな原因と推察されます。また、2019年には生産量が顕著に下落しましたが、これは長引く干ばつや地球温暖化の影響が強く、農民たちが水資源の管理に苦慮した結果とされています。

2022年までのデータを見ると、コロナ禍にもかかわらず、タイの農業基盤の強靭さは明らかです。一方で、将来に向けてはいくつかの課題も浮き彫りになっています。まず、気候変動が引き起こす環境変化への適応が喫緊の課題です。この問題に対処するためには、天候予測技術の導入や地元農業支援サービスの強化を進める必要があります。また、急速に進行する都市化により農地面積が減少する懸念もあり、持続可能な農業モデルの確立が求められます。

さらに、国際競争力を維持するためには、輸出市場での位置付けを強化する戦略が必要です。タイ米はアジアや中東、アフリカ市場で需要の高いブランドですが、近隣のインドやベトナムなど他の主要米輸出国からの競争が激化しています。このため、品質向上やブランド価値のさらなる強化を推進するとともに、一層の多様化した農産物輸出戦略を考慮する必要があります。

こうした方向性を進めるには、政府及び関係機関による政策支援が不可欠です。例えば、農家への技術支援や資金補助による「気候変動対応型農業」の導入、新たな灌漑設備の整備、農村部のインフラ向上などが挙げられます。また、ASEANをはじめとする地域協力の枠組みを活用し、農業技術や気候変動対策の分野で他国と連携を図る戦略も、有効な未来の道筋となるでしょう。

結論として、タイの米生産データからは、これまで繁栄してきた農業基盤の強さを確認できます。同時に、環境変化への適応や国際競争力の維持といった課題も浮き彫りとなります。これらの課題に対応するために農業の効率化と持続可能性の向上を目指す政策が、タイのみならず世界の食糧供給の安定にも寄与するでしょう。