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ブラジルの米生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、ブラジルの米生産量は1961年の5,392,477トンから2022年の10,776,268トンまで、大きな増加を遂げてきました。このデータは、ブラジルが重要な農業国としての地位を強めていることを示しています。一方で、年次ごとの変動も少なくなく、近年では2017年の12,464,766トンをピークに若干の減少傾向が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 10,285,663
-4.55% ↓
2022年 10,776,268
-7.58% ↓
2021年 11,660,605
5.14% ↑
2020年 11,091,011
6.97% ↑
2019年 10,368,639
-12.19% ↓
2018年 11,808,412
-5.27% ↓
2017年 12,464,766
17.35% ↑
2016年 10,622,189
-13.65% ↓
2015年 12,301,201
1.03% ↑
2014年 12,175,602
3.34% ↑
2013年 11,782,549
2.01% ↑
2012年 11,549,881
-14.3% ↓
2011年 13,476,994
19.94% ↑
2010年 11,235,986
-11.19% ↓
2009年 12,651,144
4.89% ↑
2008年 12,061,465
9.05% ↑
2007年 11,060,741
-4.04% ↓
2006年 11,526,685
-12.63% ↓
2005年 13,192,863
-0.63% ↓
2004年 13,277,008
28.47% ↑
2003年 10,334,603
-1.07% ↓
2002年 10,445,986
2.57% ↑
2001年 10,184,185
-8.54% ↓
2000年 11,134,588
-4.91% ↓
1999年 11,709,694
51.76% ↑
1998年 7,716,090
-7.61% ↓
1997年 8,351,665
-3.47% ↓
1996年 8,652,328
-22.93% ↓
1995年 11,226,064
6.5% ↑
1994年 10,540,789
4.29% ↑
1993年 10,107,310
1.01% ↑
1992年 10,006,292
5.46% ↑
1991年 9,488,007
27.85% ↑
1990年 7,420,931
-32.72% ↓
1989年 11,029,800
-6.58% ↓
1988年 11,806,450
13.25% ↑
1987年 10,425,100
0.2% ↑
1986年 10,404,680
15.29% ↑
1985年 9,024,555
-0.03% ↓
1984年 9,027,367
16.61% ↑
1983年 7,741,753
-20.47% ↓
1982年 9,734,553
18.31% ↑
1981年 8,228,326
-15.83% ↓
1980年 9,775,720
28.71% ↑
1979年 7,595,214
4.1% ↑
1978年 7,296,142
-18.87% ↓
1977年 8,993,696
-7.82% ↓
1976年 9,757,079
25.39% ↑
1975年 7,781,538
15.04% ↑
1974年 6,764,038
-5.53% ↓
1973年 7,160,127
5.91% ↑
1972年 6,760,641
2.54% ↑
1971年 6,593,179
-12.71% ↓
1970年 7,553,083
18.12% ↑
1969年 6,394,285
-3.88% ↓
1968年 6,652,388
-2.06% ↓
1967年 6,791,990
17.07% ↑
1966年 5,801,814
-23.46% ↓
1965年 7,579,649
19.46% ↑
1964年 6,344,931
10.54% ↑
1963年 5,740,065
3.3% ↑
1962年 5,556,834
3.05% ↑
1961年 5,392,477 -

ブラジルは、農業が経済と国民生活に深く根付いた国であり、米の生産は国の食糧安全保障と輸出産業において重要な役割を果たしています。FAOのデータによれば、1961年から2022年にかけてブラジルの米生産量は全体的に増加してきました。特に、1970年代後半や1980年代後半には大幅な増加を記録しており、技術革新や農業政策の強化により生産の効率化が進んだと考えられます。

1990年代には再び若干の減少を見せましたが、2000年以降は持続的な成長を見せる年が多く見受けられます。例えば、2004年には13,277,008トンと最高値を記録し、その後も12,000,000トンを超える安定的な数値を示しています。ただし、2017年以降のデータを見ると、約12,000,000トンをピークに徐々に減少傾向が見られることから、生産の下支えとなる要素に変化が生じている可能性があります。

この変動の背景には、いくつかの要因が絡んでいると考えられます。一つは、気候変動の影響です。気温の上昇や降水量の不安定化は、農業生産に直結する問題であり、ブラジルの米産業もその影響を受けていると推察されます。また、自然災害や地域的な干ばつが生産を抑制する要因になった年もあるかもしれません。

もう一つの理由として、国際市場での価格変動が挙げられます。米の価格が低迷する場合には、農家は他の収益性の高い作物への転換を検討する可能性があり、それが生産量の減少として反映されることがあります。また、他国、特にアジア諸国との競争が激化する中で、ブラジル産の米が国際的に持つ価格競争力は課題となり得ます。

さらに、地域的な労働力不足やインフラの問題も見逃すことはできません。米を含む作物の生産性を向上させるためには、十分な労働力の供給と流通網の整備が不可欠です。都市集中化の進行により農村部の労働力が減少する傾向にあることは、ブラジルの農業全般において将来的な課題となるでしょう。

これらの課題に対応するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。第一に、気候変動に対応するための農業技術の革新が必要です。例えば、干ばつに強い品種の開発や効率的な灌漑システムの導入がその一助となるでしょう。第二に、輸送インフラの整備により、生産した米を効率的に国内外市場へ供給できる仕組みを構築することが重要です。また、国際市場での競争力を維持するために、産地ブランド化や国際貿易協定を活用した新たな輸出機会の創出も視野に入れるべきです。

ブラジルの米生産の未来をより確実にするには、国内のみならず国際的な協力体制も鍵を握ります。他国の成功事例や先進技術を取り入れることで生産現場を改善しつつ、地政学的なリスクや市場動向にも柔軟に対応していく必要があります。例えば、中国やインドといった主要な米生産国との協力プログラムを通じて、生産技術や市場戦略を共有することは、ブラジルにとっても有益になるでしょう。

結論として、ブラジルの米生産量は、過去数十年間で著しい成長を遂げる一方で、近年の減少傾向は今後の注意点として捉えるべきです。持続可能な農業を実現するためには、新たな技術導入、輸出市場の多様化、そして気候変動への適応といった、複合的なアプローチが求められます。