世界の羊飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）による1985年度の羊飼養数統計によると、オーストラリアが1位を占め、約1億4974万匹の羊を飼養しています。次いで中国、ニュージーランド、インド、トルコが上位に入り、それぞれ約9519万匹、6785万匹、4693万匹、4039万匹を記録しています。一方、日本はランキングの中で下位に位置し、世界全体で119位、飼養数はわずか約2万3900匹に留まります。

順位	国名	地域	飼養数(匹)
1	オーストラリア	オセアニア	149,746,576
2	中国	アジア	95,193,008
3	ニュージーランド	オセアニア	67,853,616
4	インド	アジア	46,930,000
5	トルコ	アジア	40,391,008
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	40,000,000
7	南アフリカ	アフリカ	30,256,000
8	アルゼンチン	南アメリカ	28,750,000
9	パキスタン	アジア	25,037,008
10	イギリス	ヨーロッパ	23,946,000
11	ウルグアイ	南アメリカ	21,196,000
12	ブラジル	南アメリカ	18,658,960
13	ルーマニア	ヨーロッパ	18,636,800
14	スペイン	ヨーロッパ	17,520,000
15	アルジェリア	アフリカ	15,660,000
16	アフガニスタン	アジア	13,600,000
17	モンゴル	アジア	13,391,200
18	モロッコ	アフリカ	12,862,000
19	ペルー	南アメリカ	12,787,500
20	フランス	ヨーロッパ	12,676,000
21	ソマリア	アフリカ	11,800,000
22	イタリア	ヨーロッパ	11,097,900
23	シリア・アラブ共和国	アジア	10,993,000
24	アメリカ合衆国	北アメリカ	10,716,000
25	ブルガリア	ヨーロッパ	10,500,658
26	ナイジェリア	アフリカ	10,359,000
27	イラク	アジア	8,500,000
28	ギリシャ	ヨーロッパ	8,258,143
29	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	7,803,600
30	ケニア	アフリカ	7,000,000
31	サウジアラビア	アジア	6,684,283
32	メキシコ	南アメリカ	6,373,227
33	チュニジア	アフリカ	5,846,000
34	チリ	南アメリカ	5,800,000
35	リビア	アフリカ	5,500,000
36	マリ	アフリカ	5,000,000
37	インドネシア	アジア	4,885,000
38	ポーランド	ヨーロッパ	4,837,261
39	ブルキナファソ	アフリカ	4,354,000
40	モーリタニア	アフリカ	3,900,000
41	ドイツ	ヨーロッパ	3,827,111
42	ニジェール	アフリカ	3,783,382
43	エジプト	アフリカ	3,576,000
44	タンザニア連合共和国	アフリカ	3,487,408
45	イエメン	アジア	3,443,392
46	ポルトガル	ヨーロッパ	3,200,000
47	アイルランド	ヨーロッパ	3,081,800
48	ハンガリー	ヨーロッパ	2,832,000
49	チャド	アフリカ	2,684,000
50	セネガル	アフリカ	2,654,000
51	ナミビア	アフリカ	2,579,766
52	コロンビア	南アメリカ	2,500,000
53	ノルウェー	ヨーロッパ	2,414,500
54	カメルーン	アフリカ	2,248,276
55	ガーナ	アフリカ	2,000,000
56	ウガンダ	アフリカ	1,674,000
57	レソト	アフリカ	1,412,188
58	アルバニア	ヨーロッパ	1,318,000
59	ベナン	アフリカ	1,290,000
60	エクアドル	南アメリカ	1,253,500
61	ヨルダン	アジア	1,121,000
62	コートジボワール	アフリカ	1,040,000
63	オランダ	ヨーロッパ	814,342
64	コンゴ民主共和国	アフリカ	800,000
65	ネパール	アジア	785,152
66	トーゴ	アフリカ	716,371
67	アイスランド	ヨーロッパ	709,257
68	バングラデシュ	アジア	709,000
69	マダガスカル	アフリカ	587,100
70	ジンバブエ	アフリカ	569,000
71	カナダ	北アメリカ	513,500
72	ジブチ	アフリカ	477,000
73	ギニア	アフリカ	450,000
74	グアテマラ	南アメリカ	431,700
75	スウェーデン	ヨーロッパ	426,088
76	クウェート	アジア	393,263
77	パラグアイ	南アメリカ	378,312
78	キューバ	南アメリカ	378,000
79	ルワンダ	アフリカ	357,425
80	スイス	ヨーロッパ	356,800
81	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	350,000
82	キプロス	アジア	334,000
83	ミャンマー	アジア	332,000
84	ブルンジ	アフリカ	316,455
85	シエラレオネ	アフリカ	300,000
86	イスラエル	アジア	267,000
87	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	253,600
88	アンゴラ	アフリカ	250,000
89	リベリア	アフリカ	238,000
90	オーストリア	ヨーロッパ	220,159
91	オマーン	アジア	200,000
92	ボツワナ	アフリカ	199,700
93	ギニアビサウ	アフリカ	195,000
94	レバノン	アジア	185,000
95	マラウイ	アフリカ	184,711
96	アラブ首長国連邦	アジア	181,216
97	ガンビア	アフリカ	175,000
98	ガボン	アフリカ	137,500
99	モザンビーク	アフリカ	125,000
100	ガイアナ	南アメリカ	125,000
101	ハイチ	南アメリカ	112,000
102	中央アフリカ共和国	アフリカ	107,520
103	コンゴ	アフリカ	91,514
104	ドミニカ共和国	南アメリカ	86,350
105	マレーシア	アジア	78,805
106	カタール	アジア	67,661
107	フィンランド	ヨーロッパ	67,600
108	フェロー諸島	ヨーロッパ	65,038
109	マルティニーク	南アメリカ	59,000
110	タイ	アジア	57,877
111	デンマーク	ヨーロッパ	52,000
112	バルバドス	南アメリカ	42,000
113	ザンビア	アフリカ	41,060
114	赤道ギニア	アフリカ	34,500
115	フィリピン	アジア	30,000
116	エスワティニ	アフリカ	29,585
117	東ティモール	アジア	27,536
118	スリランカ	アジア	26,600
119	日本	アジア	23,900
120	ブータン	アジア	23,000
121	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	15,780
122	セントルシア	南アメリカ	14,900
123	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	14,300
124	グレナダ	南アメリカ	14,000
125	コモロ	アフリカ	13,000
126	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	12,500
127	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	10,500
128	バーレーン	アジア	9,000
129	バハマ	南アメリカ	8,000
130	ドミニカ	南アメリカ	7,200
131	モーリシャス	アフリカ	7,000
132	ホンジュラス	南アメリカ	6,229
133	プエルトリコ	南アメリカ	6,200
134	マルタ	ヨーロッパ	5,000
135	大韓民国	アジア	4,900
136	エルサルバドル	南アメリカ	4,400
137	グアドループ	南アメリカ	4,200
138	パプアニューギニア	オセアニア	3,529
139	ベリーズ	南アメリカ	3,476
140	フランス領ギアナ	南アメリカ	3,300
141	ニカラグア	南アメリカ	3,200
142	スリナム	南アメリカ	3,187
143	レユニオン	アフリカ	2,900
144	ジャマイカ	南アメリカ	2,900
145	ニューカレドニア	オセアニア	2,700
146	コスタリカ	南アメリカ	2,500
147	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,800
148	カーボベルデ	アフリカ	1,340
149	中国、台湾 中国省	アジア	576
150	フランス領ポリネシア	オセアニア	560
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1985年度の羊飼養数ランキングから読み取れる羊産業の状況は、各国の地理的特性、文化、経済環境を反映しています。オーストラリアが1位で突出した飼養数を誇る背景には、国土の大部分を占める広大な草地や、羊毛や肉用の輸出に特化した農業政策が挙げられます。また、中国とニュージーランドも上位にランクインしていますが、中国は多様な地理条件を利用した畜産業の発展、ニュージーランドは比較的小さな国土でありながら集中的な畜産経営が成功を収めている点が特色とされています。

一方、日本では羊の飼養数が比較的小規模にとどまっており、約2万3900匹のみです。この背景には、牧畜に適した広大な土地が少ないこと、そして食文化や産業構造において羊が重要な位置を占めないことが関係しています。同じ東アジア地域の韓国も低いランキング（約4900匹）となっているのは、日本と類似の理由が挙げられます。

さらに注目すべきは、羊の飼養が農村の経済や社会的自立に果たす役割です。例えば、アフリカ諸国や中東諸国では比較的少数規模の飼養が見られますが、これは地域住民にとって貴重な収入源であり、羊肉や羊乳が生活において重要な要素となっています。同時に、羊の飼養に依存する国々では、干ばつ、地域紛争、疫病などの影響が飼養の継続に悪影響を及ぼすことが懸念されています。イランやトルコがこのリスクを含む地域に位置しているにも関わらず、上位に入っているのは、畜産への積極的な政策や家畜管理技術が進んでいるからと考えられます。

とはいえ、人口増加や都市化の進展により、一部の国では羊の飼養数が今後も減少することが予想されます。特に、畜産に使用可能な草地が減少したり、消費者の食習慣が変化したりすることがこの変動に影響を与えるでしょう。他方、持続可能な牧畜経営として、近年では環境への負荷を軽減しつつ輸出産業を活性化させる技術革新の導入が進んでおり、これが飼養数や産業の安定化に寄与する期待もあります。

課題として、羊の飼養が家計の柱となる地域では、環境変化や生産低下に対する迅速な対応が求められる点があります。気候変動は草地の荒廃や水不足、病害をもたらし、とくに農業インフラの整備が遅れている地域では羊の飼養が困難になるリスクが高まっています。これを受けて、国際社会および各国政府が協力し、技術移転、灌漑設備の整備、疫病対応策の導入などを進めていくべきです。また、輸出入のバランスを重視した国際取引ルールも整える必要があります。

結論として、このランキングは地理や文化、経済条件が羊飼養の分布に強く影響することを示しています。持続可能な羊産業を推進するためには、飼養方法や品種改良への科学的アプローチ、農村コミュニティの経済支援、新規市場の開拓などが重要です。特に、牧畜業が地域の貧困削減や生計維持の要である地域において、環境と経済の調和を図る政策が求められます。