世界のヤギ飼養頭数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した2000年度のヤギ飼養頭数ランキングによると、1位は中国で148,163,000頭、2位はインドで123,533,000頭、3位はパキスタンで47,426,000頭が登録されました。これら3カ国が世界の総飼養頭数の重要な割合を占めています。一方、日本の飼養頭数は35,000頭で世界139位の順位となり、小規模な産業であります。

順位	国名	地域	飼養頭数(頭)
1	中国	アジア	148,163,000
2	インド	アジア	123,533,000
3	パキスタン	アジア	47,426,000
4	ナイジェリア	アフリカ	42,500,000
5	バングラデシュ	アジア	34,100,000
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	25,757,000
7	インドネシア	アジア	12,565,569
8	チャド	アフリカ	12,414,000
9	ソマリア	アフリカ	12,300,000
10	タンザニア連合共和国	アフリカ	11,888,955
11	モンゴル	アジア	11,033,900
12	ケニア	アフリカ	10,004,400
13	マリ	アフリカ	9,500,000
14	ブラジル	南アメリカ	9,346,813
15	ニジェール	アフリカ	9,237,038
16	メキシコ	南アメリカ	8,704,231
17	ブルキナファソ	アフリカ	8,647,280
18	エチオピア	アフリカ	8,597,770
19	トルコ	アジア	7,774,000
20	アフガニスタン	アジア	7,300,000
21	イエメン	アジア	6,918,000
22	南アフリカ	アフリカ	6,706,104
23	ウガンダ	アフリカ	6,396,000
24	ネパール	アジア	6,325,144
25	フィリピン	アジア	6,245,000
26	ギリシャ	ヨーロッパ	5,614,453
27	モーリタニア	アフリカ	5,086,826
28	モザンビーク	アフリカ	5,046,637
29	モロッコ	アフリカ	4,930,700
30	サウジアラビア	アジア	4,529,000
31	カメルーン	アフリカ	4,410,000
32	コンゴ民主共和国	アフリカ	4,131,231
33	セネガル	アフリカ	3,879,000
34	アルゼンチン	南アメリカ	3,490,200
35	エジプト	アフリカ	3,424,756
36	ジンバブエ	アフリカ	3,200,000
37	ガーナ	アフリカ	3,077,000
38	アルジェリア	アフリカ	3,026,731
39	スペイン	ヨーロッパ	2,627,000
40	中央アフリカ共和国	アフリカ	2,614,000
41	アメリカ合衆国	北アメリカ	2,300,000
42	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	2,276,000
43	ロシア連邦	ヨーロッパ	2,154,053
44	アンゴラ	アフリカ	2,150,000
45	ペルー	南アメリカ	2,034,914
46	ハイチ	南アメリカ	1,941,840
47	オーストラリア	オセアニア	1,905,000
48	ボツワナ	アフリカ	1,900,000
49	ナミビア	アフリカ	1,849,569
50	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	1,700,611
51	エリトリア	アフリカ	1,700,000
52	マラウイ	アフリカ	1,689,485
53	チュニジア	アフリカ	1,447,590
54	トーゴ	アフリカ	1,424,700
55	イタリア	ヨーロッパ	1,397,000
56	ミャンマー	アジア	1,392,482
57	イラク	アジア	1,300,000
58	アラブ首長国連邦	アジア	1,278,547
59	リビア	アフリカ	1,263,000
60	ザンビア	アフリカ	1,249,000
61	ベナン	アフリカ	1,240,225
62	フランス	ヨーロッパ	1,210,517
63	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	1,205,123
64	コロンビア	南アメリカ	1,185,000
65	アルバニア	ヨーロッパ	1,104,000
66	ウズベキスタン	アジア	1,103,100
67	コートジボワール	アフリカ	1,093,904
68	シリア・アラブ共和国	アジア	1,049,539
69	ブルガリア	ヨーロッパ	1,046,286
70	マダガスカル	アフリカ	1,033,270
71	ギニア	アフリカ	1,008,456
72	オマーン	アジア	979,000
73	カザフスタン	アジア	931,300
74	ブルンジ	アフリカ	868,039
75	レソト	アフリカ	830,258
76	ウクライナ	ヨーロッパ	825,200
77	ルワンダ	アフリカ	756,502
78	チリ	南アメリカ	740,000
79	キューバ	南アメリカ	715,100
80	タジキスタン	アジア	705,800
81	ポルトガル	ヨーロッパ	630,000
82	ルーマニア	ヨーロッパ	558,000
83	ベトナム	アジア	543,867
84	キルギスタン	アジア	542,713
85	ジブチ	アフリカ	511,320
86	トルクメニスタン	アジア	500,000
87	スリランカ	アジア	495,200
88	アゼルバイジャン	アジア	494,151
89	ヨルダン	アジア	472,459
90	大韓民国	アジア	444,833
91	ジャマイカ	南アメリカ	440,000
92	エスワティニ	アフリカ	421,800
93	レバノン	アジア	417,000
94	キプロス	アジア	378,600
95	ギニアビサウ	アフリカ	325,000
96	中国、台湾 中国省	アジア	315,045
97	パレスチナ国	アジア	308,845
98	コンゴ	アフリカ	280,000
99	フィジー	オセアニア	240,931
100	マレーシア	アジア	237,113
101	リベリア	アフリカ	220,000
102	シエラレオネ	アフリカ	200,000
103	クウェート	アジア	191,928
104	ポーランド	ヨーロッパ	190,000
105	ハンガリー	ヨーロッパ	189,000
106	ニュージーランド	オセアニア	182,840
107	カタール	アジア	178,490
108	ドミニカ共和国	南アメリカ	178,425
109	エクアドル	南アメリカ	178,367
110	オランダ	ヨーロッパ	165,000
111	ガンビア	アフリカ	145,112
112	タイ	アジア	144,227
113	ドイツ	ヨーロッパ	135,000
114	パラグアイ	南アメリカ	122,992
115	ラオス人民民主共和国	アジア	121,700
116	コモロ	アフリカ	113,150
117	グアテマラ	南アメリカ	111,400
118	カーボベルデ	アフリカ	110,000
119	モルドバ共和国	ヨーロッパ	99,815
120	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	97,700
121	ガボン	アフリカ	91,000
122	グルジア	アジア	80,100
123	クロアチア	ヨーロッパ	79,393
124	ガイアナ	南アメリカ	79,000
125	イギリス	ヨーロッパ	77,164
126	ノルウェー	ヨーロッパ	76,373
127	東ティモール	アジア	75,000
128	モーリシャス	アフリカ	73,000
129	スイス	ヨーロッパ	66,972
130	北マケドニア	ヨーロッパ	64,500
131	イスラエル	アジア	62,000
132	ベラルーシ	ヨーロッパ	58,300
133	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	58,160
134	オーストリア	ヨーロッパ	57,993
135	スロバキア	ヨーロッパ	51,075
136	コスタリカ	南アメリカ	50,000
137	アルメニア	アジア	40,977
138	レユニオン	アフリカ	37,594
139	日本	アジア	35,000
140	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	34,026
141	グアドループ	南アメリカ	33,880
142	チェコ	ヨーロッパ	31,988
143	ブータン	アジア	31,328
144	ホンジュラス	南アメリカ	31,000
145	カナダ	北アメリカ	30,000
146	リトアニア	ヨーロッパ	24,700
147	バーレーン	アジア	19,000
148	フランス領ポリネシア	オセアニア	16,500
149	ベルギー	ヨーロッパ	16,248
150	ウルグアイ	南アメリカ	15,000
151	スロベニア	ヨーロッパ	14,643
152	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	14,425
153	バハマ	南アメリカ	13,580
154	エルサルバドル	南アメリカ	13,000
155	トンガ	オセアニア	12,500
156	バヌアツ	オセアニア	12,000
157	マルティニーク	南アメリカ	11,391
158	ニューカレドニア	オセアニア	10,000
159	セントルシア	南アメリカ	9,800
160	ドミニカ	南アメリカ	9,700
161	プエルトリコ	南アメリカ	9,000
162	赤道ギニア	アフリカ	8,900
163	フィンランド	ヨーロッパ	8,564
164	ラトビア	ヨーロッパ	8,100
165	アイルランド	ヨーロッパ	8,100
166	グレナダ	南アメリカ	7,000
167	スリナム	南アメリカ	6,930
168	ニカラグア	南アメリカ	6,500
169	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	6,000
170	パナマ	南アメリカ	5,200
171	セーシェル	アフリカ	5,200
172	マルタ	ヨーロッパ	5,000
173	サントメ・プリンシペ	アフリカ	4,800
174	バルバドス	南アメリカ	4,600
175	ミクロネシア連邦	オセアニア	4,000
176	ブルネイ ダルサラーム	アジア	2,844
177	エストニア	ヨーロッパ	2,700
178	パプアニューギニア	オセアニア	2,300
179	クック諸島	オセアニア	2,025
180	フランス領ギアナ	南アメリカ	800
181	シンガポール	アジア	500
182	アイスランド	ヨーロッパ	416
183	ルクセンブルク	ヨーロッパ	297
184	中国、香港特別行政区	アジア	200
185	ベリーズ	南アメリカ	140
+ すべての国を見る

ヤギの飼養頭数は、主に各国の食文化、畜産業の形態、経済的背景、地理条件などが複雑に絡み合うことで大きな地域差が生じています。2000年度データによると、中国が圧倒的な首位に位置し、約1億4800万頭に上り、インド（約1億2300万頭）がこれに次いでいます。両国とも急速に増加する人口を支えるため、肉や乳の需要の向上がこうした大規模飼養の背景にあります。また、これらの国ではヤギは食用に加え、収入源や農村部での生計手段としても重要な役割を果たしています。

パキスタン（47,426,000頭）、ナイジェリア（42,500,000頭）、バングラデシュ（34,100,000頭）と続く上位5カ国は、いずれも農村人口が多く、ヤギの飼育が生活の基盤となっている地域です。これらの国では、ヤギの飼養が気候変動の対策や乾燥地帯での栄養供給源としても機能している点が特徴です。

対照的に、日本（35,000頭）はアジア圏の中でも極めて低い飼養頭数を記録しています。日本では、米や魚を中心とした食文化や、家畜の飼養に適した広い農地の不足が、ヤギ飼養の規模が小さい主な理由として挙げられます。また、現在の日本では、ヤギ飼育は主に観光地や教育機関での使用やペット目的に留まっているケースが多いことが見受けられます。

地域別に見てみると、最上位に挙がったアジアとアフリカの国々はヤギ飼養に適した気候条件を持ちつつも、家畜伝染病や家畜用飼料の供給不足、さらには地政学的リスクによる不安定な食料供給体制などの課題に直面しています。例えば、ナイジェリアやソマリアといったアフリカ諸国では、政治的紛争が畜産業全体にネガティブな影響を与え、飼養頭数の効率的な管理や輸出入政策が難しい状況にあります。

組成されるデータからもう一つ注目すべきは、上位の国は年間を通しての一定の収益を飼養業から得ていますが、下位の多くの国（例：シンガポール、ホンジュラスなど）は、その狭い国土やヤギへの需要の低さから、主に輸入に頼った食料供給体制を形成しています。これには輸送費の増大や特定地域への依存といったリスクが伴います。

今後の課題としては、飼養頭数が高い国々では、持続可能な飼料生産のさらなる発展、農村開発の支援、越境病対応の強化などを優先的に進める必要があります。特に気候変動に影響を受けやすい乾燥地帯の国々には、適切な水資源管理や耐乾性飼料作物の開発が重要です。一方で、低順位の国々については、国際市場を通じたヤギ製品の輸入の安定化と、国内における畜産技術の普及が提案されます。これにより、食肉や乳製品の安定供給を実現するとともに、農村部の所得向上を図ることが期待されます。

また、地政学的リスクと関連して、畜産業が紛争下で被る影響にも注意を払わなければなりません。それを踏まえ、国際社会および国連の協力の下で、ヤギをはじめとする家畜資源を平和構築のツールとして活用する新たな枠組みを模索することが望ましいです。

結論として、ヤギ飼養は特に発展途上国において、人々の生活を支える役割が極めて重要である一方で、さまざまな課題が山積しています。それを克服するためには、国際協力や地域内での政策調整、持続可能性を重視した畜産業の推進が必須です。ヤギの飼養頭数に見るような家畜データは、各国の農業政策と経済状況を理解する上で欠かせない指標といえるでしょう。