Food and Agriculture Organizationが発表した最新データによると、1960年代初頭から2022年までのコンゴのヤギ飼養頭数は、長期的には増加傾向が見られます。1961年にはわずか55,000頭だった飼養頭数が、2022年には328,871頭にまで増加しました。一方で、特定の期間では一時的な停滞や減少も観測されており、その背景には地政学的リスクや経済的要因が関与していると考えられます。
コンゴのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)
年度 | 飼養頭数(頭) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 326,711 |
-0.66% ↓
|
2022年 | 328,871 |
0.26% ↑
|
2021年 | 328,030 |
0.26% ↑
|
2020年 | 327,190 |
0.28% ↑
|
2019年 | 326,292 |
0.52% ↑
|
2018年 | 324,607 |
0.07% ↑
|
2017年 | 324,373 | - |
2016年 | 324,384 |
-0.03% ↓
|
2015年 | 324,472 |
-0.16% ↓
|
2014年 | 325,000 | - |
2013年 | 325,000 |
0.15% ↑
|
2012年 | 324,500 |
0.46% ↑
|
2011年 | 323,000 |
0.94% ↑
|
2010年 | 320,000 |
1.59% ↑
|
2009年 | 315,000 |
6.78% ↑
|
2008年 | 295,000 | - |
2007年 | 295,000 | - |
2006年 | 295,000 | - |
2005年 | 295,000 |
0.27% ↑
|
2004年 | 294,200 | - |
2003年 | 294,200 |
0.02% ↑
|
2002年 | 294,150 |
5.05% ↑
|
2001年 | 280,000 | - |
2000年 | 280,000 | - |
1999年 | 280,000 | - |
1998年 | 280,000 |
-2.1% ↓
|
1997年 | 286,000 |
-3.05% ↓
|
1996年 | 295,000 |
-0.34% ↓
|
1995年 | 296,000 |
-0.34% ↓
|
1994年 | 297,000 |
0.34% ↑
|
1993年 | 296,000 |
0.34% ↑
|
1992年 | 295,000 |
-0.84% ↓
|
1991年 | 297,507 |
7.12% ↑
|
1990年 | 277,726 |
3.77% ↑
|
1989年 | 267,627 |
6% ↑
|
1988年 | 252,478 |
6% ↑
|
1987年 | 238,187 |
6% ↑
|
1986年 | 224,705 |
6% ↑
|
1985年 | 211,986 |
6% ↑
|
1984年 | 199,987 |
6% ↑
|
1983年 | 188,667 |
6% ↑
|
1982年 | 177,989 |
6% ↑
|
1981年 | 167,914 |
5.33% ↑
|
1980年 | 159,410 |
22.62% ↑
|
1979年 | 130,000 |
9.43% ↑
|
1978年 | 118,795 |
10.67% ↑
|
1977年 | 107,346 |
9.57% ↑
|
1976年 | 97,970 |
6.33% ↑
|
1975年 | 92,138 |
10% ↑
|
1974年 | 83,762 |
6.03% ↑
|
1973年 | 79,000 |
5.33% ↑
|
1972年 | 75,000 |
7.14% ↑
|
1971年 | 70,000 |
7.69% ↑
|
1970年 | 65,000 |
8.33% ↑
|
1969年 | 60,000 |
9.09% ↑
|
1968年 | 55,000 |
10% ↑
|
1967年 | 50,000 | - |
1966年 | 50,000 |
-1.96% ↓
|
1965年 | 51,000 |
-1.92% ↓
|
1964年 | 52,000 |
-1.89% ↓
|
1963年 | 53,000 |
-1.85% ↓
|
1962年 | 54,000 |
-1.82% ↓
|
1961年 | 55,000 | - |
1961年に記録されたコンゴのヤギ飼養頭数は55,000頭で、1970年代以降、急激な増加が見られます。1970年には65,000頭だった数値が、1980年には159,410頭、1990年には約277,726頭と順調に伸び続けました。この期間における増加の理由として、小規模農家による農牧業の拡大や、食肉や乳製品の需要増加が挙げられます。また、1970年代後半から1980年代にかけては、地域の経済発展に伴い畜産業への投資も増えたことが影響していると考えられます。
しかし、1991年以降、一部の年では飼養頭数が停滞、もしくは減少する様子も見られます。1991年から1998年までの期間では約280,000頭で横ばいに留まり、それ以降も2001年まで同じ水準が続きました。この減少および停滞の主な背景としては、コンゴ民主共和国が直面した内戦や政治的混乱、さらに経済制裁の影響が挙げられます。ヤギは比較的環境の変化に強い家畜ですが、紛争や社会不安が続く中では、家畜の管理や繁殖にも支障をきたし、結果として飼養数が減少したと推測されます。
2002年以降、徐々に回復傾向が見られ、2010年に320,000頭を突破、2022年には328,871頭に到達しました。この回復基調は、政治の安定化とともに、農牧業における国際的支援や、地元コミュニティの努力が結果として現れているものと考えられます。一方、2015年以降は増加が緩やかになり、ほぼ横ばいの推移を示しています。これは、気候変動の影響、農牧業の近代化の遅れ、ならびに市場アクセスの制約といった課題が影響している可能性があります。
未来を見据える上での重要な課題として、食料安全保障の確立や、気候変動に対する適応策が挙げられます。2020年代におけるパンデミックの影響は直接的なデータ上には反映されていませんが、食料生産の制限や物流の停止は、ヤギの飼養頭数およびそれに関連する収入への間接的な影響が懸念されます。また、地域的な衝突のリスクが高まると、畜産業全体が逼迫する可能性があります。
そのため、コンゴにおける具体的な対策としては、まず小規模家畜農家への技術支援や資金援助を拡大することが求められます。さらに、家畜の健康管理や疫病予防に係る国際機関(例: FAOや世界銀行)との連携が鍵となります。また、ヤギを含む家畜資源の持続可能な管理を推進するため、気候変動に適応した飼育技術の研究・導入が重要です。加えて、地域間での協力体制を整備し、内戦や社会的不安に起因する農牧業への影響を極力軽減する制度の強化が必要です。
ヤギは、環境適応力が強く、高タンパク質な食材を提供するだけでなく、家畜としての経済的価値も高い家畜です。今後適切な支援と政策を講じることで、コンゴにおけるヤギの飼養頭数とその関連産業のさらなる発展が期待されます。国や国際社会が連携し、これらの対応を進めることで、持続可能な農牧業の成長と地域社会の安定に寄与することができるでしょう。