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ドミニカ共和国のヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新データによると、ドミニカ共和国のヤギ飼養頭数は、1961年の22万頭から1980年にピークの45.1万頭に達した後、1998年まで急減し、その後ゆるやかな回復を見せ、直近2022年では約22.8万頭となっています。この長期的な推移には、経済的要因、農業政策の変化、自然災害の影響が関与していると考えられます。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 229,502
0.69% ↑
2022年 227,932
-1.21% ↓
2021年 230,716
1.88% ↑
2020年 226,456
-0.68% ↓
2019年 228,010
-3.88% ↓
2018年 237,211
0.05% ↑
2017年 237,089
0.09% ↑
2016年 236,864
0.16% ↑
2015年 236,490
0.21% ↑
2014年 236,000
0.43% ↑
2013年 235,000
1.29% ↑
2012年 232,000
0.87% ↑
2011年 230,000
2.22% ↑
2010年 225,000
-5.14% ↓
2009年 237,200
-2.35% ↓
2008年 242,900
0.29% ↑
2007年 242,200
-0.53% ↓
2006年 243,500
0.79% ↑
2005年 241,600
9.57% ↑
2004年 220,500
16.98% ↑
2003年 188,500
0.26% ↑
2002年 188,012
0.31% ↑
2001年 187,425
5.04% ↑
2000年 178,425
9.14% ↑
1999年 163,489
-9.17% ↓
1998年 180,000
-14.29% ↓
1997年 210,000
-12.5% ↓
1996年 240,000
-7.69% ↓
1995年 260,000
-7.14% ↓
1994年 280,000
-6.67% ↓
1993年 300,000
-6.25% ↓
1992年 320,000
-5.88% ↓
1991年 340,000
-5.56% ↓
1990年 360,000
-5.26% ↓
1989年 380,000
-5% ↓
1988年 400,000
-4.76% ↓
1987年 420,000
-4.55% ↓
1986年 440,000
-4.86% ↓
1985年 462,500
-0.54% ↓
1984年 465,000
0.43% ↑
1983年 463,000
0.87% ↑
1982年 459,000
0.44% ↑
1981年 457,000
1.33% ↑
1980年 451,000
7.38% ↑
1979年 420,000
6.33% ↑
1978年 395,000
5.33% ↑
1977年 375,000
5.63% ↑
1976年 355,000
2.9% ↑
1975年 345,000
1.47% ↑
1974年 340,000
1.49% ↑
1973年 335,000
2.13% ↑
1972年 328,000
2.83% ↑
1971年 318,978
2.9% ↑
1970年 310,000
3.33% ↑
1969年 300,000
3.45% ↑
1968年 290,000
3.57% ↑
1967年 280,000
3.7% ↑
1966年 270,000
3.85% ↑
1965年 260,000
4% ↑
1964年 250,000
4.17% ↑
1963年 240,000
4.35% ↑
1962年 230,000
4.55% ↑
1961年 220,000 -

ドミニカ共和国のヤギ飼養頭数の推移を分析すると、1961年の22万頭から1980年までの急激な増加が際立っています。この時期には農村地域での畜産業の発展が進み、ヤギの飼育が食料や収入源としての重要性を増していました。特にヤギは、乾燥地や栄養分の乏しい土地でも比較的容易に育つため、農業用地が限られる地域では適した家畜として重宝されてきました。このため、飼養頭数は順調に増加し、1980年には45.1万頭に達しました。

しかし、1980年以降、飼養頭数は急速に減少し、1998年には16.3万頭まで落ち込みました。この背景には複数の要因が考えられます。まず、農村部での都市部への人口流出が進み、畜産業に従事する人々が減少しました。また、食生活の変化や輸入肉の台頭により、肉用としてのヤギの需要が減少しました。さらに、ハリケーンや干ばつといった自然災害が家畜に深刻な打撃を与え、飼育環境や生産力に影響を与えた可能性があります。ドミニカ共和国では頻繁にハリケーンに見舞われるため、家畜業における災害への脆弱性が歴史的に課題となっています。

1999年に最も低い水準となった16.3万頭以降は一定の回復傾向が見られましたが、この回復の速度は緩やかで、依然として1980年のピークには及びません。この間、飼養頭数の増加において、2004年以降に一時的な改善が見られたものの、2010年代以降は再び横ばいあるいは微減の傾向を示しています。2022年の頭数は約22.8万頭で、飼養頭数がほぼ安定しつつも、1961年の水準に戻っていることが分かります。

この減少および伸び悩みの要因として、現代における持続可能な畜産環境の構築の不十分さが挙げられます。十分な技術支援や家畜育成における効率向上策が不足している可能性があります。また、輸入に依存する食品市場において地元産のヤギ肉や乳製品が競争力を欠く現状も、飼養頭数の増加を妨害する要因となっています。

未来に向けた課題と提言として、まずヤギ飼育の持続可能なモデルを確立するための投資が必要です。特に、気候変動が農業セクターに与える影響を軽減する方法を模索することが欠かせません。例えば、灌漑施設の整備や気候変動対応型の飼育技術の導入が求められます。また、小規模農家を支援し、地域産業としてのヤギ飼育の発展を促進する政策が重要です。このような対策によって持続可能な畜産業を実現することで、ヤギ飼養頭数の安定化と増加を目指すことが可能です。

さらに、地元産品の付加価値を高めるための市場戦略を強化し、地元消費者や観光客に向けてヤギ肉や乳製品の魅力を発信することも考えられます。他国では例えばフランスが品質を保証するレベルで地域特産品としてヤギ乳製チーズを普及させているように、こうした事例を参考にすることができます。これにより、国内外の市場においてドミニカ共和国産の家畜生産物が競争力を持てるようになります。

ヤギ飼養頭数の推移データは、ドミニカ共和国の農業や畜産業の課題を浮き彫りにしています。これを踏まえ、国内外の連携や支援の下、持続可能性を重視した政策を推進することで、国民の生活の向上と地域経済の発展を両立させる道が開けると考えられます。