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ラトビアのヤギ飼養頭数推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表したデータによると、ラトビアにおけるヤギの飼養頭数は1992年から2022年にかけて変動しています。1992年の6,100頭から始まり、2004年の15,000頭に達した後減少傾向に入りました。近年では11,000~12,000頭前後の水準で推移しています。このデータは、ラトビアにおける家畜の飼養動態や農業経営の変化を示すとともに、EU加盟や経済変化が与えた影響を示唆しています。

年度 飼養頭数(頭) 増減率
2023年 10,340
-11.47% ↓
2022年 11,680
2.46% ↑
2021年 11,400
-0.7% ↓
2020年 11,480
-1.8% ↓
2019年 11,690
-4.49% ↓
2018年 12,240
-6.98% ↓
2017年 13,159
3.76% ↑
2016年 12,682
3.21% ↑
2015年 12,287
-2.48% ↓
2014年 12,600
-5.26% ↓
2013年 13,300
-0.75% ↓
2012年 13,400
-0.74% ↓
2011年 13,500
2.27% ↑
2010年 13,200
2.33% ↑
2009年 12,900
-0.77% ↓
2008年 13,000
-9.09% ↓
2007年 14,300
-4.03% ↓
2006年 14,900
1.36% ↑
2005年 14,700
-2% ↓
2004年 15,000
13.64% ↑
2003年 13,200
14.78% ↑
2002年 11,500
10.58% ↑
2001年 10,400
28.4% ↑
2000年 8,100
-22.86% ↓
1999年 10,500
17.98% ↑
1998年 8,900
5.95% ↑
1997年 8,400
-5.62% ↓
1996年 8,900
20.27% ↑
1995年 7,400
17.46% ↑
1994年 6,300
-1.56% ↓
1993年 6,400
4.92% ↑
1992年 6,100 -

ラトビアにおけるヤギ飼養頭数の推移を見ると、1992年から2022年にかけて大きな変動が見られます。1992年に6,100頭だった飼養頭数はその後増加し、2004年には15,000頭のピークに達しました。ただし、その後は減少傾向に転じ、近年では11,000~12,000頭前後で比較的安定した水準を保っています。この背景には、国内農業政策の変化、経済動向、EU加盟後の市場開放が影響を与えていると考えられます。

1992年からの増加は、当時の農村部で家畜を多様化する動きの一環として進んだ可能性があります。また、ヤギのミルクや肉といった製品が家庭用や地域での需要に応じて提供されていたと推測されます。しかし、2000年代以降、ラトビアがEUに加盟したことに伴い、農業の市場環境が大幅に変化しました。市場の競争が激化し、ヤギ飼育が相対的に採算性に劣ると判断され、飼養頭数が減少したことが推測されます。特に、2004年のピーク以降、2009年までに2,100頭以上減少したことは、農業規模の集中化や家畜の種類変更が進められたことを示唆します。

さらに、2010年以降のデータを見ると、ヤギ飼養の数は安定気味で推移していますが、年々わずかながら減少しています。これは、現代の農業において、効率性や収益性が重視され、ヤギ飼育がその優先課題から外れる場合があるためです。例えば、大規模酪農や他の高収益作物への移行が進行していることが考えられます。さらに、都市化による農村人口減少がヤギ飼育の衰退を後押ししたことも一因と考えられます。このような状況下で特に目立つのは、2020年以降新型コロナウイルスの影響による物資供給の混乱が農業経営への圧力を高めた可能性です。

ラトビアにおけるヤギ飼養の大局的傾向は、世界的な農産物市場の変動や、ローカル経済と市場政策の変化を反映しています。例えば、ドイツやフランスと比較するとヤギ飼育の重要性は低く抑えられており、一方、インドではヤギ製品が地域生活の主軸として扱われることが多い点で明確に異なります。この違いは国内消費者の需要や文化的な要因の影響も強いことを示しています。

課題として考えられるのは、ラトビアの農村経済の多様性保持です。一つの選択肢として、ヤギの飼育を食品以外の要素、例えば観光やエコ農業に結びつける展開が考えられます。さらに、地元消費者のみならずEU全体をターゲットとした高品質なヤギ製品のブランド化が試みられるべきです。他国の先例から学べば、例えばフランスのように高付加価値のチーズ生産や、インドのように皮革用途での利用を推進することも一案です。

将来を見据えて、ヤギ飼育が環境に与えるポジティブな側面、例えば小規模農業での持続可能性や、雑草管理の自然な方法としての役割を訴求する政策が有効かもしれません。また、新しい技術を農業分野に導入し、省エネルギー型や自動化を進めることで、ヤギ飼育の収益性向上が期待できます。さらに、地域協力として近隣諸国と連携し、飼育技術の共有や国際市場の開拓を進めることも必要です。

このデータから明らかなのは、ラトビアのヤギ飼養は市場環境や政策に強く影響されてきたということです。そのため、持続可能な農業形態を模索しつつ将来的な競争力を高めるためにも、地域社会全体での農業の再定義と新しい可能性への投資が求められます。