国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、リベリアのヤギ飼養頭数は1961年の10万頭から緩やかに増加を続け、1980年代半ばには24万頭を超えました。しかし、1990年代には内戦の影響を受けて減少が見られ、その後2000年代に入ると長期間にわたり22万頭で横ばいになりました。2006年以降は増加に転じ、2022年には35万2,507頭と過去最高を記録しています。この推移から、農業や畜産における歴史的変動や政治的・社会的背景の影響がうかがえます。
リベリアのヤギ飼養頭数推移(1961-2022)
年度 | 飼養頭数(頭) |
---|---|
2022年 | 352,507 |
2021年 | 351,521 |
2020年 | 350,525 |
2019年 | 349,705 |
2018年 | 345,994 |
2017年 | 346,052 |
2016年 | 345,932 |
2015年 | 345,614 |
2014年 | 345,000 |
2013年 | 345,000 |
2012年 | 342,000 |
2011年 | 340,000 |
2010年 | 338,300 |
2009年 | 310,500 |
2008年 | 285,000 |
2007年 | 261,600 |
2006年 | 240,000 |
2005年 | 220,000 |
2004年 | 220,000 |
2003年 | 220,000 |
2002年 | 220,000 |
2001年 | 220,000 |
2000年 | 220,000 |
1999年 | 220,000 |
1998年 | 220,000 |
1997年 | 220,000 |
1996年 | 220,000 |
1995年 | 220,000 |
1994年 | 220,000 |
1993年 | 220,000 |
1992年 | 225,000 |
1991年 | 220,000 |
1990年 | 230,000 |
1989年 | 240,000 |
1988年 | 240,000 |
1987年 | 238,000 |
1986年 | 237,000 |
1985年 | 235,000 |
1984年 | 234,000 |
1983年 | 233,000 |
1982年 | 220,000 |
1981年 | 210,000 |
1980年 | 200,000 |
1979年 | 190,000 |
1978年 | 185,000 |
1977年 | 180,000 |
1976年 | 175,000 |
1975年 | 170,000 |
1974年 | 165,000 |
1973年 | 160,000 |
1972年 | 155,000 |
1971年 | 150,000 |
1970年 | 145,000 |
1969年 | 140,000 |
1968年 | 135,000 |
1967年 | 130,000 |
1966年 | 125,000 |
1965年 | 120,000 |
1964年 | 115,000 |
1963年 | 110,000 |
1962年 | 105,000 |
1961年 | 100,000 |
リベリアのヤギ飼養頭数の推移は、同国の経済や社会情勢を反映する貴重な指標です。ヤギはリベリアの農村部で重要な家畜であり、肉や乳製品の供給源、また収入源として利用されています。初期のデータである1961年から1970年代末まで、飼養頭数は一貫して増加し、この間、農業の拡大や畜産技術の向上が進んでいたことが反映されていると考えられます。しかし、1980年代後半から1990年代にかけての減少は、リベリアで発生した内戦による深刻な影響と密接な関連があります。この内戦は1990年に始まり、2003年の和平合意まで長期間にわたり国内を混乱させました。この期間、農業インフラの破壊、農村人口の都市部への移動、家畜の喪失が相次ぎ、ヤギの飼養頭数も減少しました。
2006年以降、再び増加が見られるのは、内戦終結後の国家再建プロセスや農業部門の復興政策が実施された結果と言えます。この期間において、特に2007年から2010年にかけて顕著な増加が見られることからも整備の成果がうかがえます。その後、2011年以降は比較的緩やかな増加にとどまっているものの、全体として安定した成長トレンドを維持しています。
しかし、この安定的な成長にはいくつかの課題が伴います。まず、現地での畜産技術や飼料供給体制は、依然として脆弱性を抱えています。特に、ヤギの病気管理や予防接種の面で十分な支援が行き届いていない可能性があります。また、内戦時から継続する農村部のインフラ不足は飼養規模のさらなる拡大を阻害しています。加えて、近年では気候変動の影響があり、干ばつや洪水などの自然災害がヤギ飼養に悪影響を及ぼすリスクも指摘されています。
これに対処するためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、ヤギを含む小規模畜産業者への技術支援を拡充することが重要です。飼料の質向上、疾病予防対策の指導、新しい畜産技術の導入を進めることで、飼養頭数の安定的な増加が期待されます。また、気候変動に対応するため、干ばつ耐性のある牧草の導入や水資源管理の強化などが有効です。さらに、地域ごとの協力を深め、共同防疫プログラムや畜産物の流通基盤整備を進めるべきでしょう。
ヤギ飼養に関するこのような取り組みは、単に生産量の向上を目指すだけでなく、農村地域の生活改善、食糧安全保障の確保、さらには経済の多角化にも寄与すると考えられます。FAOや他の関連機関と連携しつつ、長期的なプログラムを計画・実施することが、持続可能な畜産業の発展には欠かせません。また、国内の安定と農村復興がさらなる頭数増加の鍵を握ることを考えると、農業部門の強化策だけでなく、平和的で安定した社会環境の維持が不可欠です。
今後も継続してデータ収集を行い、ヤギ飼養動態のさらなる把握を通じて効果的な政策を導き出すことが求められます。このような取り組みが実を結べば、リベリアの農業部門、ひいては国全体の安定的な成長に貢献できるでしょう。